岡崎体育「“岡崎体育の地方の壁”を作ってしまいました」 デビュー当時の後悔を語る

2023.11.12
岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「地方の壁」です。
Entame

いわゆる“推し活”をする際、地方在住の方々にとっては“地方の壁”があるといわれています。自分の住む地方では推しの出演する番組が放送されなかった、推しのイベントが都市部でしか開催されず遠征費がかかる、発売日が他のエリアと違って1日以上遅れる…など、地方に住んでいるがゆえに恵まれない状況であることを指す、悲哀のある表現だそうです。

ミュージシャン側からみても“地方の壁”はあります。僕たちミュージシャンは全国でライブを開催します。そうすると、こっちの地方はお客さんがたくさん集まってくれやすいけれど、あちらの地方だとどうも集客が弱い…と、地方によってかなり差が生じてしまいます。僕の場合は、もともと活動のベースだった京都や奈良などホームといえるエリアはチケットが売れなくて困るということはあまりありません。一方で、東北や北陸などこれまであまり回ることができていなかったエリアだと、なかなか集客に勢いが出ないという現実にぶち当たることがあります。人が集まらないとライブはできない、でも、ライブをやらないとその地方に僕のファンの方は増えません。これは悩ましい壁です。

通常、こういう地方をくまなく回る顔見せ興行みたいなことは、デビューしたてのころにしておくべきことです。僕は、生来の出無精の性格がたたって、デビュー当時、東名阪でしかライブをしてこなかった。もう少しがんばっても、福岡や広島、札幌、仙台に足を延ばすくらい。7大都市で精一杯でした。それ以外の地方に在住するみなさんには「比較的近い都市に出てきてください」とお願いすることしかできていなかったんです。その結果、ライブハウスツアーを開催するとこれまで回れていなかったエリアでは、集客が厳しい結果になるという“岡崎体育の地方の壁”を作ってしまいました。現在、僕が取り組んでいるライブハウスツアーは、その壁をなくすためのものです。お客さんが集まりにくいとしても地方のみなさんが住む場所一つ一つを丁寧に回って、「僕のライブ、楽しいのでぜひ観に来てください」と、こちらが足を運んでお願いするしかない。そう思って取り組んでいます。なので地方にお住まいのみなさん、近くのライブハウスで僕の名前をみかけたら1回だけでもいいので遊びに来てください。いいセットリストを組んでいますし、損はさせないと思います!

おかざきたいいく コンセプト・アルバム『OT WORKS III』とアナログ盤12インチシングル『サブマリン』が発売中。全国17都道府県19公演のライブハウスを巡る「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」(12/23まで)が開催中!

※『anan』2023年11月15日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND) 文・梅原加奈

(by anan編集部)