意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「岸田総理、中東歴訪」です。

各国が陣営に取り込もうと必死。日本の勝算は?

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岸田総理は7月にサウジアラビア、UAE、カタールを訪問しました。この3か国とバーレーン、オマーン、クウェートは互いの防衛と経済発展のために「GCC(湾岸協力理事会)」を1981年に設立。日本とGCC諸国との結びつきは極めて強く、輸入額は15兆円以上、その多くがエネルギーです。また、車や鉄鋼、建設用機械など約2兆円規模の輸出を行っています。

GCCに対しては、中国は昨年末に共同でサミットを開催し、安全保障分野やエネルギーでの協力を約束しました。ロシアは7月にGCC諸国と共同声明を発表。エネルギーの供給で合意を交わし、関係を強化しています。アメリカは6月にブリンケン国務長官がGCC・米国合同閣僚会議に出席し、連携を確認するなど、各国が自分たちの陣営に引き入れようと必死なんです。

GCC諸国はいまは化石燃料でもっていますが、それらの需要が減少する将来を見据え、EUとの結びつきを強めて、再生可能エネルギー分野の研究開発を積極的に行っています。

今回の岸田総理の中東訪問は、経済界からの強い要請があり実現しました。日本は2006年ごろからGCC諸国と自由貿易協定を結ぼうと協議を始めていましたが、10年近く交渉が進まない状態でした。それは、サウジアラビア皇太子の、ジャーナリスト殺害への関与や、女性に対して抑圧的など国際的に批判が集まるような人権問題が起きていたため、交渉が途絶えていたのです。他国に後れをとってはならないと、経団連が政府に協議の再開を求め、今回総理は企業団を多く引き連れ、大企業だけでなく、中小企業の技術の売り込みなども打ち出しました。日本の技術が、以前のような存在感を示しているとは言い難いですが、注目を集めているのはアニメやゲームなどのコンテンツ分野です。特にサウジアラビアはゲーム産業に投資し、eスポーツ事業に本格的に参戦しています。

GCC諸国は、日本にとっては大切な貿易相手国。しかし、人権意識など、自由主義国とは違う価値観を持つ権威主義的な国々と、透明性のあるフェアな関係を築けるのか。非常に難しい舵取りを迫られているんですね。

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ほり・じゅん ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。

※『anan』2023年9月6日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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