サウナで“ととのう”の正体とは? 入り方から注意点まで、サウナの基礎Q&A

ライフスタイル
2023.04.09
熱波の向こうにあるめくるめく楽園に浸るためのサ活術とは? “ととのい”のエキスパートに入り方から注意点までサウナの基礎を尋ねた。

座って汗を流すだけでボディメンテができる。

「サウナはもっとも手軽な健康インフラでもあるんですよ」と話すのは、医師で日本サウナ学会代表理事の加藤容崇さん。“ととのい”の先にはたくさんの恵みで満ち溢れているそう。

「幸せホルモン・オキシトシンの分泌アップや体温調節機能の向上など、蒸されることで享受できるものは計り知れません。恒常的な悩みから春に起こりがちなココロのモヤモヤ、夏の熱中症予防といった季節のトラブルにも強くなる。サウナ&水風呂という手軽な行為でタフになっていく。運動が苦手な人にとって最適なボディメンテ術ではないでしょうか」

サウナ欲が高まるQ&A

Q デビューにあたってベストな施設は?

A 適温のサウナ室&水風呂に加えて休憩スペースが確保されているところ。
“ととのい”には環境も重要。「室温80~85°Cで湿度が高いと望ましい。水風呂は16~17°Cの循環式ではないタイプが、冷たさをやわらげます。休むための椅子も備えられていると完璧」

Q 時間が経つにつれて息苦さを覚えた場合は?

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A 体調だけでなく換気が十分でない可能性もあり。
ヒノキのアロマに包まれ、深呼吸をしたくなる場所のはずが息苦しい。「構造の問題であることも多いです。湿度だけが上がっていく環境では息はしづらいもの。換気状況を確認してみて」

Q どんな時でも入って大丈夫?

A 飲酒後、満腹時や風邪など体調がすぐれない時は控え、持病がある人は主治医に相談して。
不調のリセットにもパワーを発揮しそうだが。「先の2例は脱水症状や消化不良を招きます。温度センサーが狂う風邪は熱さに対して鈍くなり体力の消耗が進むうえに、人にうつすのでNG」

Q 裸でベンチに腰掛けるのに抵抗がある時の対処法は?

A タオル持ち込み可の施設など、ストレスを感じない場所を選ぶ。
“ととのい”への好奇心は膨らみつつも、一糸纏わずの状況にひるんでしまう。「バスタオルやポンチョを駆使してみては。ただし、断熱効果があるのでいつもより温まるのに時間がかかります」

Q 一人でじっと座っている状況に飽きてしまったら?

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A 誰にもじゃまをされない好チャンス! 奥底に眠る想いを掘り起こすなど、内なる声に耳を澄ませて。
手持ち無沙汰の局面をどう乗り切ろう。「見方を変えるとスマホも手放せる貴重な時間です。日頃は素通りしていた事柄を改めて振り返るなど、自分と対話するうちに一瞬で過ぎますよ」

Q 効果を得るための基本的な入り方は?

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A サウナ→水風呂→休憩を1セットに、3~4回繰り返す。
「3ステップを踏むことで、“ととのい”への道が開けます。セットを重ねるたびに体はなじみ、心地よさも増していく。サウナ室では背中の中央が熱くなるか脈拍が軽い運動時と同程度になるまで待つ。次の水風呂で肩まで浸かり、気道がスースーし始めたら出ましょう。締めの休憩は足の末端がひんやりしてきたら終了。ただし無理は禁物。熱さを我慢して耐える、過度な回数をこなすのは負担が大きく、月経不順を招くケースも。体慣らしに、1セット目では2分ほど湯船に入ってからサウナ室へ向かうのもアリです」。手順の基礎はインプットしつつ、体調と相談しながら楽しんで。

Q “ととのう”ってどういうこと?

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A ハイ&リラックスが同居。秘めた能力も発揮されやすくなる。
よく宙に浮いていると例えられるけれどその正体は? 「脳が覚醒する一方で体の表面と深部の体温差を埋めるべく副交感神経が活性化。興奮と平穏が同時に訪れ独特の快感が広がります」

Q “ととのい”以外にもご利益はある?

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A ぐっすり眠れる、痩せ体質になる、ツヤ肌を生む…。メリットは盛りだくさん。
「交感神経と副交感神経の切り替えがうまくなり、体温調整や血流もうまくコントロールできるように。その結果が睡眠の質向上、痩せ体質、美肌となって表れます」。一石八鳥くらいの効果が!?

Q サウナから出た後の注意点は?

A クリームやオイルで肌や髪を丹念に保湿しよう。
更衣室に上がったらボディケア! 「保湿成分を含んだ汗の蒸発を防ぐためにも、バリアをしましょう。肌と嗅覚にやさしいシンプルな成分と無香料がおすすめ。私はワセリンを愛用しています」

Q 汗がかけない時はどうすればいい?

A 発汗については半分は結露。汗の量はそこまで重要ではない。
巡りが滞っているから汗も控えめになる? 「汗腺の多さや自律神経の状態で量は変わりますが、特殊な環境なので心配無用。ちなみに高湿度サウナでの滴りの大半は結露によるものです」

Q サ活を続けるコツはある?

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A お風呂に入る感覚で。気負いすぎない。
3セットこなすための所要時間は約90分。頻繁に通うにはハードルが高い…。「常にフルセットの必要はないです。少ない機会で完璧を目指すよりも、1セットだけでも回数の多い方が続きます」

加藤容崇さん 医師、医学博士。サウナを科学して発信する団体・日本サウナ学会代表理事。ほぼ毎日、サウナ室で蒸されているそう。著書に『医者が教えるサウナの教科書』(ダイヤモンド社)がある。

※『anan』2023年4月12日号より。イラスト・伊藤ハムスター 取材、文・松岡真子

(by anan編集部)

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