【サウナ温活】我慢して熱さに耐えるのは逆効果!? “ととのい”への近道4STEP

2022.12.11
一時のブームに終わらず、ますます人気が盛り上がっているサウナ。発汗を促すだけでなく、さまざまな健康効果も話題に。今こそサウナと温活の関係にあらためて注目してみよう。

熱波を浴びることでカラダに起きる変化とは。

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サウナはもともとは高温の室内にこもって発汗を促す温浴法。ポカポカボディを手に入れたければ、すぐさま蒸された方がいい! とはいえ、具体的にはどのような効果が? 自らのサウナ体験とさまざまな実験を通じてサウナの健康効果のエビデンスを取る、医師の加藤容崇さんに、サウナがカラダとココロにもたらす恩恵を教えてもらった。

「まずは、体温調整を司る自律神経の働きが劇的に上がります。血液の巡りが良くなるので自ずと冷えは解消される。末端が温まると当然、肌のコンディションも良くなりますよね。さらにはぐっすりと寝られるように。良質な睡眠は平熱のアップや美容をはじめ、日中のパフォーマンスやメンタルにも影響を及ぼすので、すごく大事です」

座って汗を流すだけで得られるメリットは、計り知れない。

「サウナの恩恵を最大限に享受するにはテクニックが必要。同時に心地よさを引き出すには環境も左右するので、それらのコツも覚えておきましょう」

医学的にも正しい! サウナ温活ここがスゴい。

「サウナ室でカラダの芯まで熱くし、続けて水風呂でクールダウン。そうすると体表面は冷たいのに深部はぬくぬく、という両極端の状態に。脳がスッキリし、カラダはその状態を元に戻そうと副交感神経が活性化してディープリラックスへ。興奮とリラックスが同居した、この状況を“ととのう”と呼びます」

下で詳しく紹介するサウナの恩恵とあわせて、覚えておこう。

自律神経の機能が上がり、体温を調整してくれる。

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冷え症の根本的な原因には自律神経の機能低下がある。「サウナに入ると自律神経が鍛えられて、普段から交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズに。体温調整や血流のコントロールも正しくできるようになります」

まるで赤ちゃんみたい! お肌のトーンが健康的に。

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顔の皮膚温を上げる効果を比較すると、サウナは岩盤浴やお風呂より優れている。「サウナに習慣的に入ると皮膚の毛細血管の密度が高まります。その血管内では酸素がたっぷりの新鮮な血液が巡るので、頬はピンク色に」

短時間でぐっすり熟睡! 睡眠の質が良くなる。

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「ベッドに入って眠りに落ちるまでの時間が短くなり、最初のノンレム睡眠が伸びます」。サウナから出て90~120分後に就寝するのがベストタイミングだとか。「さらに目覚めから起き上がるまでの間隔も短くなります」

ご利益を逃さない! 最も効果的なサウナの入り方。

カラダの芯からぽかぽかになるためには、正しい流れがある。

「お風呂→サウナ→水風呂→外気浴という順序を守ることが大切です。この流れでカラダの芯までキチンと温めることが“ととのい”への第一歩に。また、温冷交代浴の効果を得るためにはある程度の負荷も必要。ただし、無理は禁物です。冷え知らずになりたい一心で、サウナ室の強烈な熱さを我慢して耐えるのは却って逆効果。無理せず、快適に、セットを重ねるたびに少しずつ熱さに慣れていくことが“ととのい”への近道です」

毎日入っても大丈夫?

「1日1回、1時間程度であればOK。5日連続で朝晩入っていたら月経不順になった報告もあるので、過度な利用には注意を。とにかく体調に合わせて無理をしない。風邪のひき始めや二日酔いといったときは負荷が掛かりすぎるので控える。また、サウナ後の髪とカラダは乾燥しているので、すぐに保湿を」

気をつけること

  • 水分と脂が奪われて肌が乾燥するので、ととのった後はしっかりと保湿を。
  • 体調のバイオリズム(月経周期など)に合わせて、無理をしない。
  • 水風呂が苦手な場合は水シャワーでもOK。15分程度の長めの休憩を挟んで2セット目へ。

STEP1:お風呂

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ビギナーや熱さに耐えられない人に。
「“湯通し”と呼んでいるのですが、素早く巡りを良くするお風呂の利点を活かします。1~2分ほど浴槽に浸かって足先などの末端を温めて向かえば、サウナ室で過ごす時間を短くしても大丈夫。熱さになじんできたら2セット目以降はスキップしていいです」

STEP2:サウナ室

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時を忘れて思いのままに過ごす。
「汗を流すのに決まった分数はありません。それよりも、カラダが熱さを感じたら我慢せずに出る。室内では時計よりも体感をチェックしましょう。ベンチは上段と下段で温度帯が分かれます。下の方が低温なので、長く滞在できる分、しっかりと温められますよ」

STEP3:水風呂

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温活視点でも浸かった方がベター。
「血液が全身を巡るのに必要な20秒~1分でOK。適温は16~18°C。それより高ければ炭酸水を飲んで入ると内側から冷ませます。ゆっくりとカラダを温めるには入った方がいい。どうしても難しい場合は、水シャワーや休憩を長くするなどしてアレンジしましょう」

STEP4:外気浴

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水風呂のアリナシで間隔を調整。
「水風呂にきっちり入ったら体温は下がるので、5~10分でOK。水シャワーであれば10~15分は外で過ごす。いずれもスキップした場合は20~30分は休まないとカラダは落ち着きません。外気浴タイムはセットごとに感覚が研ぎ澄まされていくのが顕著に」

※1~3セット

理想的なサウナとは? 見分けるポイントを教えて。

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潤いを与えてくれるサウナ室がおすすめ。
ビギナーが心地よく過ごせるサウナ施設はどんなもの?

「サウナストーンに自動的に水が注がれるオートロウリュで、湿度が保たれているといいです。ベストな温度の目安は80~90°C。外の空気を吸える休憩スペースの有無も確かめましょう」

ミストサウナでも大丈夫?

「低温のため深部まで温めるのに長い時間が必要になります。一方、ドライタイプは髪の毛へのダメージに注意が必要です」

何よりも続けることが肝要。

「習慣化には通いやすさも条件の一つ。でも近場で理想の一軒に巡り合うことは稀です。熱すぎると感じたら髪の毛と顔をタオルで覆うなど、施設に応じて調整する柔軟性も大事です」

ここがポイント

  • 湿度があって、温度が高すぎない。
  • 外気浴ができるスペースがある。
  • 近くにウォーターサーバーがある。
  • 条件が揃ってなければ、入り方を工夫しよう。

加藤容崇さん 医師、医学博士。サウナを科学して発信する団体〈日本サウナ学会〉代表理事。ほぼ毎日蒸されに行っているそう。著書に『医者が教えるサウナの教科書』(ダイヤモンド社)。

※『anan』2022年12月14日号より。イラスト・山中玲奈 取材、文・松岡真子

(by anan編集部)