宇賀なつみ×平野紗季子が“ご褒美グルメ”をセレクト

2022.10.8
本誌「Food topics」で連載中の宇賀なつみさんと平野紗季子さんが元気になりたい、癒されたい日に足を運ぶお店とは? ご近所から地方まで、大好きな味を語り尽くします。
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宇賀なつみ:自分をいたわる、といって思いつくのはホテルのラウンジ。ゆったりとした空間で好きなものを好きなときに…って最高ですよね。特に平日朝の帯番組を担当していたときは、早くから飲んで早く寝たかったから(笑)、夕方早めから飲めるのもありがたくて。

平野紗季子:ふらっと入れる通し営業のお店は天使ですよね。どこのラウンジが好きですか?

宇賀:パレスホテル東京のラウンジはお濠端の景色が気持ちよくて好き。トリュフ風味のフライドポテトがおいしいの!

平野:フライドポテト、私も好きです! ホテルのラウンジといえば、ホテルニューオータニのパーフェクトプレート。この世のうまいものが集まったようなすごい一皿で。

宇賀:気になる! さすが知ってるなぁ。

平野:いえいえ。でも仕事柄先々までお店の予約を入れてるから、予定がない日は今日の気分で店を選んでいいんだ! ってうれしくなっちゃう。それで最近自由が丘のイタリアンに行ったんですけど、そこの手打ちパスタが食べるほどにお腹がすくような軽やかさで…! あの重力のないかんじ、好みでした。

宇賀:そのときの気分で食べるものを選べること自体も幸せだよね。紗季子ちゃんは究極に疲れた! ってときは何食べるの?

平野:うーん…甘いもの。それも複雑な層とかなくて、味の数が少ないもの(笑)。田村町木村屋さんのバナナケーキはまさに理想の味です。宇賀さんは…お酒ですか?

宇賀:はい。で、そういうときは箸も持ちたくないから串!(笑) 夕方からふらっと焼き鳥屋さんに行って、おとーさんが串を焼くのを見ながら周りの会話を聞くみたいな。

平野:ガヤガヤした店に一人身を置くって、没入感というか瞑想感がありますね。

宇賀:そう。スマホには手を伸ばさずに、ただただその状況を受け止める(笑)。

平野:そういう職場と家の間の一呼吸みたいな場所が失われたのが自粛期間でした…。

宇賀:夜8時以降の街は暗かった(涙)。

平野:心の澱を抱えたまま寄り道せずに帰るのはつらくて、成城石井が心のオアシス。

宇賀:成城石井の焼売、おいしいよねぇ。

平野:いまでこそお仕事で出張にも行けるようになりましたけど、ローカルガストロノミー好きの私にとって地方で行くレストランはまさに心の洗濯。神戸の郊外にある『SETTAN』っていうフレンチに行ったんですけど、目の前が田んぼ! その風景を前に炭火で旬野菜を焼いてくれるんですけど、その香りに心洗われて、泣けてきちゃった。

宇賀:そういう感動は地方に多いかもね。佐賀で行った「鍋島」の酒蔵のレストラン『草庵 鍋島』は、蔵の日本酒とのペアリングも楽しめてよかった~。昨日は大阪でふらっと入った煙もくもくのお好み焼き屋さんで大瓶2本飲んで大満足(笑)。その日のごはんって、その日しか食べられない。だからどこにいても、絶対おいしいものを食べると決めてる。

平野:私も会社員時代、深夜残業でよれよれになって入った西麻布の食堂で店主が出してくれた春菊のすり流しは染み渡ったなぁ…。以来、どんなに疲れててもおいしいものを食べて一日を終えようと決めたんです。そうだ“ご褒美”といえば…私、『富麗華』の北京ダックをお腹いっぱい食べるのが夢なんですよ。

宇賀:おいっしいよね~! もちもちの皮にパリパリのダックをくるりと巻いて…。

平野:あのダックは最高パリパリ感度を記録してますよね。まさに棒グルメ界の神様!

宇賀:存分に食べるなら、アラカルトでの注文がおすすめ! あとそういう手で食べるものには五感に訴えかける幸せがあるよね。

平野:手で食べるといえば稲毛にある『ペルテ』のピザ! 本来はナイフとフォークで食べるものだけど、ジューシーすぎてとろけちゃうから店主が「手で食べていいよ」って。

宇賀:おいしそ! 今日聞いた情報は今後のご褒美候補だな。特に稲毛のピザ!

平野:行ってほしい~! 私は最近、少し先の休暇に行くお店を予約したので、それを励みにがんばります。結局前々から予約して行く店も、その日の気分で行く店も幸せ。

宇賀:なんか、ご褒美グルメって自分のマインド次第よね。今日は大阪からここに来るとき駅弁を買ったの。しかも前夜から「焼き鯖寿司を食べたい!」って思ってそれを買って、新幹線の車内で買ったおいしい静岡茶とともにいただいて来ました。なんでもいいやって買ったらただの駅弁だけど、食べたいという意思で選んだら、それは立派なご褒美。

平野:ご自愛のプロ! 場所やお値段は関係なく好きなものを食べて「うまい!」って心が躍る。その時間を毎日に取り入れることが、自分にご褒美をあげるということかも。

宇賀:そう。好奇心を持って見渡せば、おいしいものはいたるところにあるから!

【宇賀’s Choice】『パレスホテル東京 ザ パレス ラウンジ』のトリュフとトリュフソルトを添えたフライドポテト

Food

トリュフのかぐわしい香りとほくほく感に手が止まらない。
皇居外苑のお濠を望むロビーラウンジの、知る人ぞ知る名品。トリュフオイルにトリュフ塩、さらにトリュフスライスも添えた、まさにトリュフづくし。「思わずむしゃむしゃ無心で食べてしまう(笑)、止まらないおいしさ。優雅な空間とトリュフの香りが口いっぱいに広がる贅沢感も間違いなく上がります!」(宇賀さん)。デイタイム¥1,600、ディナータイム¥1,700(サービス料別)。東京都千代田区丸の内1‐1‐1 パレスホテル東京1F TEL:03・3211・5309

【平野’s Choice】『ホテルニューオータニ ガーデンラウンジ』のパーフェクトプレート

Food

この世の美味を詰め込んだ!? 夢のデラックスプレート。
ブッフェ級の満足感をもたらす新名物。「6種のサンドイッチに黒酢酢豚や油淋鶏、ドリア…などなど、この世の“おいしい”を全部盛り込んだ夢の一皿です」(平野さん)。「真ん中に野菜も入っているのがいいね!」と宇賀さんも興味津々。コーヒー、紅茶付き¥5,200、女性限定優待価格¥4,500(サービス料別)。提供は11:30~17:30。東京都千代田区紀尾井町4‐1 ホテルニューオータニ ガーデンタワー ロビィ階 TEL:03・5226・0246

【平野’s Choice】『田村町木村屋』のバナナケーキ

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シンプルにおいしい。だから癒される。
新橋で愛され続ける、1900年創業の老舗洋菓子店の1番人気商品。「もふもふのクレープ生地に、すっごく甘みの豊かなバナナとねっとりと濃厚なカスタードクリーム。この3つの味のみで構成されているがゆえにシンプルで削ぎ落とされた味わい。いつも変わらないその素朴な甘さが、心身ともに疲れた心をしっかりと受け止めて甘やかしてくれるんです…!」(平野さん)。1個¥302。テイクアウトも可能。東京都港区新橋1‐18‐19 TEL:03・3591・1701

【宇賀’s Choice】『やきとり基久屋』の焼き鳥とホッピー

Food

ご主人夫婦の気遣いも温かい、町の焼き鳥屋さん。
局アナ時代の超多忙な宇賀さんを支えた、池尻大橋の老舗焼き鳥店。「おしゃれな店が並ぶエリアに、そこだけタイムスリップしたような佇まい。さりげなく気遣ってくれるご主人夫婦の人柄とお二人を慕って集まるお客さんの雰囲気も温かい店です。串を4~5本食べてぱっと帰るもよし、長居してもよし」。焼き鳥のおともは決まってホッピー。「自分で割りながら飲むから、お酒の量を調整できるので(笑)」東京都世田谷区池尻2‐20‐8 TEL:03・3410・5929

【宇賀&平野’s Choice】『成城石井』の自家製 国産豚のジューシー焼売(小)

Food

粗挽き豚の肉々しさと小粒のおつまみ感が◎。
一度挽きで肉感を生かした国産豚肉と、淡路島産玉ねぎの甘さが際立つベストセラー焼売は、宇賀さんも平野さんも大好きな味。「身がきゅっと締まっていて小粒のおつまみサイズで私にぴったり。味もしっかりあるので醤油をつけてなくてもそのままでおいしいんですよね」(宇賀さん)。「トマトとモッツァレラチーズの鶏焼売などクリエイティブ系の味も好き。ほっとする味わいの成城石井のデリはありがたい存在ですね」(平野さん)。12個入り¥712

【平野’s Choice】『ペルテ』のピザ

Food

ジューシーにとろける焼きたてマルゲリータ。
「大会で500点満点を獲得したピッツァイオーロの店主、鈴川充高さんのマルゲリータは絶品。焼きたてを手づかみでじゅるじゅるになりながら無心で頬張る瞬間は幸せすぎて、ちょっと記憶が飛んでしまうほどです(笑)」(平野さん)。「マルゲリータ500」¥2,700。原則要予約。予約受付日はインスタグラムで発信されるのでこまめにチェックしたい。千葉県千葉市稲毛区小仲台2‐12‐15 TEL:非公開

宇賀なつみさん(写真左) アナウンサー。大衆酒場にホテルのラウンジ、地方の締めラーメンまで、お酒にまつわる美食は全方位的にカバー。現在MCを務める『土曜はナニする!? 』(フジテレビ系)が放送中。

平野紗季子さん(写真右) 1991年生まれ。フードエッセイスト。著書に『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)ほか。現在ポッドキャストにて『味な副音声』を配信中。ラジオは『VOICE OF FOOD~AJI NA FUKUONSEI~』。

※『anan』2022年10月12日号より。写真・市原慶子 スタイリスト・近藤和貴子(宇賀さん) ヘア&メイク・室橋佑紀(ROI/宇賀さん) 伏屋陽子(平野さん) イラスト・渡邉 唯 取材、文・大澤千穂

(by anan編集部)