パリの“街角”が舞台のおしゃれな写真で旅行気分 ロベール・ドアノーの展覧会

2021.2.2
代表作《パリ市庁舎前のキス》で世界的に有名となった写真家ロベール・ドアノー。ありふれた日常から愛すべき瞬間を切り取ってきた彼は「イメージの釣り人」と呼ばれ、没後25年以上が経った今も人々を魅了し続けている。

「写真家ドアノー/音楽/パリ」は、パリを舞台に多くの傑作を生み出したドアノーの作品の中でも、音楽シーンを題材に構成した初の試み。1930年代から’90年代にかけて撮影された、日本初公開作品を含む約200点の作品群はまさに必見だ。

展覧会は、彼の孫で映画監督でもあるクレモンティーヌ・ドルディルの監修により、8章で展開される。第1章では“街角”がテーマに。ある時、下町のビストロや酒場でシャンソンを歌ったり演奏したりする流しの女性に出会い、すっかり魅了されたドアノー。数日間、店から店へと移動し、彼女に密着・撮影した。彼が生活の雑踏へ足を踏み入れたことで残された音楽家の写真からは、その楽しげな音色が聞こえてきそう。

また、夜のパリ左岸でワルツを踊るカップルや、バレエ『カルメン』の衣装合わせの様子から窺えるのは、彼が音楽にまつわる様々な場所に足を運んでいたということ。そうして出会い、多大な影響を受けてきたアーティストたちの、素の魅力溢れるポートレートにも注目したい。

海外旅行もままならない、そんな今だからこそ、ドアノーの写真を通してパリの街角へ旅に出かけてみるのはいかが。

Who’s Robert Doisneau?
ルノーのカメラマンを経てフリーに。1994年に亡くなるまで、ファッションはもちろん、若い世代のジャケット撮影なども積極的に手がけた。

art1

ロベール・ドアノー《パリ祭のラストワルツ》パリ 1949年7月14日 ゼラチン・シルバー・プリント ©Atelier Robert Doisneau/Contact

art2

ロベール・ドアノー《流しのピエレット・ドリオン》パリ 1953年2月 ゼラチン・シルバー・プリント ©Atelier Robert Doisneau/Contact

art3

ロベール・ドアノー《ロベール・ドアノーのセルフポートレート》ヴィルジュイフ 1949年 ゼラチン・シルバー・プリント ©Atelier Robert Doisneau/Contact

「写真家ドアノー/音楽/パリ」 Bunkamura ザ・ミュージアム 東京都渋谷区道玄坂2-24-1 2月5日(金)~3月31日(水)10時~18時(金・土曜~21時予定、変更の場合あり。入館は閉館30分前まで) 会期中無休 一般1500円ほか TEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)

※『anan』2021年2月3日号より。

(by anan編集部)