スゴ腕シェフが作る“モダンなフランス料理” クリエイションを味わう

2020.11.2
レストランジャーナリスト・犬養裕美子さんの「今日、どこで何、食べる?」。今回ご紹介するのは、『Libre(リーブル)』のランチコースです。
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9月より、オーナーシェフの田熊一衛氏がカウンター席の前で料理を作っている。「コロナの影響でテイクアウト中心に変更しなければならなかった時期は厳しかったけれど、ようやく仕切り直しです」。『リーブル』がオープンしたのは2018年6月。昼はお菓子屋、夜はレストランというユニークなスタイルで始めたが、同時期に福岡にスイーツの店を出し、さらには東京でグランメゾンを開く話まで持ち上がっていた。そんな注目度の高さの理由はシェフの経歴にある。通算10年にもなるフランス料理人歴。最後の1年はパリの3ツ星レストランで、スーシェフ(副料理長)に迎えられた。営業中は厨房内とダイニングの動きに神経を集中し、営業後は新作を考える日々。

その経験は田熊氏にとって大きな財産になったと思う。フランス料理は伝統を守りながらも、常に進化していく。そのためにシェフに求められるのがクリエイション(創造)だ。庶民が大好きな豚の血のソーセージ「ブーダン・ノワール」。『リーブル』では、豚足と生クリームを加えたなめらかな味わい。さらに牛乳チップス(牛乳を湯葉のような膜状にして乾燥させたもの)を飾り、柚子の酸味と香りを散らしたモダンな一皿に。その繊細なクリエイションをぜひ味わってほしい。

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Libre 東京都港区白金1‐15‐36 TEL:03・6447・7077 ランチ12:00~16:00(14:00LO)、ディナー18:00~23:30(21:00LO) 水曜休

ランチコース¥5,000より。左・太刀魚とビーツと冬瓜の前菜。軽く炙った太刀魚に冬瓜、ビーツの組み合わせは秀逸。右・ブーダン・ノワール、唐津の牛乳チップスと柚子のジュレ。牛乳が味を引き立てるブーダン・ノワールはエレガントなレストラン料理のお手本。どちらも田熊シェフのスペシャリテ。ランチコースはアミューズ、前菜3品、メイン料理、デザート。

いぬかい・ゆみこ レストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。

※『anan』2020年11月4日号より。写真・清水奈緒 取材、文・犬養裕美子

(by anan編集部)