とある大学の部室に突如現れたタイムマシンを巡って起こる、学生たちのしょーもないSFな日々を描いたコメディ『サマータイムマシン・ブルース』。作・演出の上田 誠さんにお話を伺いました。

劇団の初期の代表作、青春SFコメディ再び。

舞台

撮影:原田直樹

本広克行監督で映画化もされたヨーロッパ企画の代表作のひとつであるこの作品が、劇団結成20周年の今年、再演される。

「ここ10年くらい新作が続いたんですけれど、久々に再演に手を出してみたら…楽しいですね。過去に書いた作品も、折に触れて自分の頭の中で転がしていたりするんですが、実際に手を入れることでクオリティを上げられるし、一番しんどい部分は終わっているし、禁断の果実に手を出してしまった気分です(笑)」

しかも今回は、15年後を描いた続編で新作の『サマータイムマシン・ワンスモア』との交互上演に。

「以前から、本広監督に冗談で『書いてよ』と言われていたんです。ただ、ファンの多い作品だけに、下手に続編を作って、当時せっかく頑張って作った代表作に傷をつけてしまうのを恐れていたんです。でも、いまはもう、どんなものを作っても、当時の自分に変な影響をもたらすことはないだろうって思える。ワンスモアのほうに15年前のシーンは出てきますけれど、並べて観ていただけたらいいかなって思います」

演劇という場で、「面白いことをやりたい」と言う上田さん。

「僕の場合、世の中に訴えたいこととか、伝えたいメッセージとかがあるわけじゃないんです。たとえば、だまし絵のコメディをやろうと思いついて、1930年代のパリを舞台にしようとひらめいたら、あとは徹底して、面白いことを整えて見せるための構成を考える。アーティストというより、作り方はデザイナーに近いと思います。役者も、漫才の立ち位置じゃないけれど、できるだけ収まりのいいレイアウトや組み合わせで配置してるんですよ」

そんなヨーロッパ企画の舞台には、変わった形のパズルが少しずつはまっていく時の心地よい楽しさがある。

「演劇は生ものですから、同じ作品でも、その日の客席や役者の体調で揺らぎが出る。その空気も全部閉じ込めた作品をやりたいんです」

SF研究会の部員たちがたむろしている部室に、ある日、タイムマシンが置き去りにされていた。相談の結果、昨日に戻って壊れる前のクーラーのリモコンを持ち帰ることに(『サマータイムマシン・ブルース』)。あれから15年後、SF研究会の元メンバーたちが、再びあの部室を訪れる(『サマータイムマシン・ワンスモア』)。8月17日(金)~9月9日(日) 下北沢・本多劇場 作・演出・上田誠 前売り4500円 当日5000円(共に税込み)ほか サンライズプロモーションTEL:0570・00・3337(10:00~18:00)8月9日~12日に京都公演あり。また9月以降には地方公演も。上演スケジュールの詳細はHPにて。
www.europe-kikaku.com

舞台

うえだ・まこと 1979年生まれ。全劇団公演の作・演出のほか、アニメ『四畳半神話大系』のシリーズ脚本なども担当。昨年、『来てけつかるべき新世界』で岸田國士戯曲賞受賞。

※『anan』2018年8月8日号より。写真・土佐麻理子 文・北條尚子

(by anan編集部)


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