スリッパは履いちゃダメ! 「部屋も体もポカポカになる」温活19選
冬の部屋が寒い原因と対策
おうち時間が増え、今まで感じなかった冬場の部屋の寒さを実感している人も多いはず。家の悩みを解決する住宅リフォームを数々手がけてきた、一級建築士の尾間紫さんに、冬の部屋が寒い原因と対策を聞きました。
尾間紫さん 室内の寒さの原因は主に3つ。窓、壁、そして床からの冷気です。持ち家ならリフォームも視野に入れた本格的な改善ができますし、賃貸の場合でも、冷えるメカニズムを知った上でポイントを押さえた対処をすれば、今より快適な部屋に変わるはずです。
対策1:窓
冷気の入り口と暖かい空気の出口。窓を制して冷えにくい部屋づくり。
最近の窓は気密性が高いサッシが大半だけど、断熱性能が低いガラス窓は、冬場の冷気をダイレクトに部屋にもたらす最大の原因。
尾間紫さん 部屋を暖めても、窓に当たった空気が急激に冷えて、その冷気が下に流れて床に広がっていく“コールドドラフト”という現象が起こります。気密性の高いサッシ窓なら隙間風の心配はほとんどないので、足元が寒いと思うなら、窓からの冷気が原因かもしれません。
冬場のカーテンは厚手の織物タイプにチェンジ。
冷気対策として手っ取り早いのが、カーテンの素材の見直し。厚手の織物などしっかりした素材に替えると、冷気がカーテンを通り抜けにくくなる。オレンジや赤など暖色系の色を選べば、視覚的にも暖かさを感じられる。
裾足らずはもってのほか。床まで余裕のある丈に。
カーテンの裾が短く、床との間に隙間があると、冷気がそこから流れ出て、床付近に広がってしまう。大きな窓はもちろん、できれば腰高の窓のカーテンまで床につく長さに変えれば、冷気対策はより万全に。
対策2:玄関
一日中暗くて寒い玄関から、部屋の暖かさを守っていこう。
玄関は日当たりが悪いことが多く、ドアを閉めきっていても、本体とドア枠の間にわずかな隙間が生じていて、微量ながら24時間常に外気が入り込んでくるもの。また、金属製のドア自体が冷気を発するなど、寒くなる条件が満載。
尾間紫さん 冷気を防ぐため、玄関と部屋を隔てるドアは必ず閉めましょう。また、室内と玄関の間に廊下などがあれば、冷気の直接の侵入を防げますが、玄関を開けてすぐキッチンや部屋になっている造りだと、家の中の寒さが増します。玄関近くにカーテンなどを吊るし、冷気を妨げる工夫をしましょう。
間仕切りカーテンで空気の層を作り出す。
玄関からすぐ部屋になる間取りの場合は、厚手の間仕切りカーテンを取り付け、玄関ドアと部屋の間に空気の層を作り、冷気を遮断。透明のアコーディオンカーテンやビニールカーテンなら、部屋が狭く見えない。
対策3:室温
快適さの鍵を握る湿度にも注目。換気も行って心地よさをキープ。
冬に快適な室内温度は18~22°C、湿度は50%前後といわれている。湿度が低いと寒さを感じやすくなるので、心地よい部屋を維持するために、温度と湿度をコントロールする家電を上手に使いたい。
尾間紫さん 部屋の室温を一気に上げるなら、エアコンが最適です。ただ、冷房代より暖房代の方が高くつくので、サーキュレーターや扇風機を使って、天井に溜まりやすい暖かい空気を循環させ、早く室温が上がる工夫をしましょう。エアコンをつけている間は、サーキュレーターはつけっぱなしが基本です。また、湿度が低くなりすぎないよう加湿器も必需品といえます。
エアコンは自動運転が結果的に省エネに。
エアコンは、室内温度を設定温度にするまでが電力を多く消費するもの。初めから弱めの設定だと、室温が設定温度になるまで時間がかかり、逆に電気代が高くなる可能性が。自動運転で一気に室温を上げる方が効率的。
サーキュレーターはエアコンの真下に置く。
エアコンの働きをサポートしてくれるサーキュレーター。暖かい空気は上の方に溜まるので、エアコンの真下に置くこと。そこから上向きに風を送れば空気の循環が進み、エアコンの消費電力もセーブできる。
尾間 紫さん 一級建築士。住宅リフォームコンサルタント、インテリアプランナー、インテリアコーディネーター。「一級建築士事務所 Office Yuu」代表。セミナー講師としても活躍。
※ 『anan』2020年12月9日号より。イラスト・別府麻衣 取材、文・板倉ミキコ(by anan編集部)
※ 2020年12月6日配信
冬の夜は温活ルーティン
医学博士の福田千晶先生と医師の芦澤裕子先生に、ぜひ取り入れたい夜の温活ルーティンを教えていただきました。
寝る4時間前:ルーティン意識を入れる導入時間
仕事が終わったら、まずは気分をプライベートモードに切り替えよう。ルームウェアに着替えたら、体を温かくキープするような工夫を取り入れて。熱が逃げやすい場所は重点的にカバーを。
部屋着で、冷えやすい肩と首をカバーする。
福田千晶先生 首は熱が放出されやすく、また、肩や二の腕は寒さを感じた時に縮こまりやすいパーツなので、しっかりと保護するようにしましょう。ウェアにプラスしてブランケットをかけたり、ケープを取り入れるのもおすすめです。
足底&かかとをカバーしてくれるルームシューズを履く。
福田千晶先生 ソックスだけでは床下からの冷気に対応できない可能性が大きいので、シューズを取り入れましょう。スリッパタイプは、かかと部分から暖かい空気が逃げやすいため、足全体をしっかりと包むルームシューズを選んでください。
寝る3時間前:お風呂前の整え時間
食事をした後は少しの休憩を挟んでから、温かく眠るための準備をスタートしよう。体がポカポカになる適度なエクササイズをしたり、寝具を温めておくのはこの時間に。ほんの少しの行動で、冷えをグッと改善!
体が温まる簡単なエクササイズをする。
福田千晶先生 ストレッチやDVDを見ながらのダンス、エクササイズ系のゲームをするなど、自分が気軽にできるもので温まりましょう。おすすめは、みんなが知っているラジオ体操です。通してきちんとやると、想像以上に体が熱くなりますよ。
寝る前に適度に温まっているよう、布団を温めておく。
芦澤裕子先生 快眠へと導く布団の温度は、体温より少し低い33°Cくらいといわれています。入浴前に布団乾燥機や湯たんぽを使って温めておきましょう。ただ、温度が高すぎると眠りにくくなるため、布団に入る前には外してください。
寝る2時間前:お風呂で温めの仕上げ時間
HOTナイトルーティンにおける要ともいえるのが、毎日のバスタイム。より効果を高めるための温度や入浴法、プラスαで行いたいマッサージや忙しい人にぴったりのフォローテクも紹介します。
お風呂は40°C前後のお湯に20分ほど浸かる。
福田千晶先生 額に汗がにじむくらいが、体が温まった目安です。
湯船に浸かる時間がない人は、パーツ温めとホットドリンクで補てん。
芦澤裕子先生 43°Cくらいの熱めのお湯に手をつける手湯や、足浴をすることで血流が良くなります。
湯船では耳、頭皮のマッサージをし、血の巡りを良くしておく。
芦澤裕子先生 手のひらで頭を覆って頭皮を動かしたり、生え際や頭頂部、耳の上あたりを優しくほぐすと、頭の血行が良くなり体全体が温まります。また、耳には冷え対策となるツボがたくさんあるので、耳全体や耳たぶを、優しく揉んで刺激してください。
寝る1時間前:ぐっすり眠るためのリラックス時間
入浴後は、深い睡眠が得られるように、体を休めながら温める時間にするのが正解。寝室を眠りやすい環境に整えることやリラックス効果のあるストレッチを、入眠儀式として取り入れてみよう。
室温をチェックし、睡眠に適した温度に調整する。
芦澤裕子先生 そのためには部屋が暑すぎてもいけません。熱の放散がうまくできるよう、暖房を18°Cくらいにしておきましょう。
湯上がりの冷えを防ぐため、腰にカイロを貼る。
芦澤裕子先生 腰にある仙骨という骨のあたりにカイロを貼って温めてみてください。大きな血管が通っているため体全体に熱が届きやすく、ポカポカします。
激しい動きにならない、リラックスストレッチで体をほぐす。
芦澤裕子先生 手足の冷えを感じている人は、ベッドに仰向けになり、手と足を垂直に上げて、30秒~1分程度ぶらぶらと揺らしてみてください。体全体の7割の毛細血管が集中している手足を心臓より高く上げることで、手足と体の両方が温まります。
福田千晶先生 医学博士。健康科学アドバイザーとしても活動。『40代からはじめるもっと太らない体づくり』(笠倉出版社)など監修書、著書多数。
芦澤裕子先生 医師。市川メンタルクリニック院長。『GOOD SLEEP BOOK 365日ぐっすり快適な 眠りのむかえ方』(翔泳社)など書籍の監修も行う。
「夜の温活ルーティン」の解説を詳しく読む※『anan』2020年12月9日号より。イラスト・ery 取材、文・重信 綾(by anan編集部)
※ 2020年12月6日配信
“おうち温灸”はドライヤーを使ってスイッチひとつで簡単あたため。
東洋医学の治療法のなかでも、特に冷え解消効果が高いことで知られる“お灸”。でも、鍼灸院にわざわざ通うのは面倒だし、自分でお灸をすえるのは火を使うから怖い…という人のために、おすすめしたいのが“ドライヤーお灸”。東京有明医療大学教授の川嶋朗さんにポイントを教えてもらいました。
川嶋朗さん 悩みに対応するツボに、40~50°Cのドライヤーの低温風をあてるだけ。『熱い!』と感じたら、すぐに吹き出し口を離しましょう。この時、熱さを感じる小さなポイントが弱っているツボです。ツボの位置が厳密にわからなくても、ドライヤーなら広い範囲に温熱を与えることができるので問題ありません。3~5回繰り返しましょう。
<ルール>
- 10cmほど離したところから近づける。
- 必ず自分でやること!
<おすすめ温活ツボ>
【1】三陰交(さんいんこう)
内くるぶしの骨から指の幅3本分ほど上に進んだ、骨と筋肉の境目。冷えやむくみ、生理痛に効果がある。
【2】足三里(あしさんり)
膝の皿状の骨の下にあるごつごつとしたふくらみから、指の幅2本分外側にある。胃腸の冷えに対策に。
【3】湧泉(ゆうせん)
足の裏をつかんだ時にできる“人”の字のようなしわのちょうど真ん中。足の冷えや不眠に効果を発揮。
川嶋 朗さん 東京有明医療大学教授。一般財団法人・東洋医学研究所附属クリニックで自然医療部門も担当。著書に『キレイが目覚めるドライヤーお灸』(現代書林)など。
※『anan』2018年12月19日号より。イラスト・原田桃子 取材、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
※ 2018年12月14日配信
冷えの原因は姿勢の乱れにアリ? 正しい座り方で猫背をリセット
「やわらかせなか.com(R)」の代表山本たか子さんに冷え知らずになる「正しい座り方」を教えていただきました。骨盤を前に倒して、猫背のクセをリセットしましょう。
あたため姿勢:座る
冷えにつながる座り方の代表格といえば、猫背。リセットするには、骨盤を前に倒すこと。それにより、前面の筋肉が伸びて背筋が縮むという猫背と逆の姿勢がとれる。
【1】足を肩幅に広げ、お尻を突き出す。
骨盤を反らせるには、お尻を突き出すのが◎。まずは椅子の前に立ち、足を肩幅に開き、お尻を突き出そう。
【2】お尻を突き出した状態で座る。
【1】でお尻を突き出したポーズを維持しつつ、椅子に座る。手は太ももの付け根に置いて、背筋を伸ばそう。肘は体より後ろの位置にセット。
【3】斜め45度に体を倒す。45秒KEEP。
太ももの付け根を支点に、肘を後ろに引きつつ、上体を斜め45度前傾させる。呼吸は自然に。鼠径部に圧がかかるので、戻すとじわっと血が巡る。
※NG:尾骨がつぶれている!
お尻を突き出して座らないと尾骨が巻き込まれ、骨盤が反らせない。
「冷え知らずになる正しい座り方」の解説を詳しく読む※ 『anan』2018年12月19日号より。写真・中島慶子 スタイリスト・仮屋薗寛子 ヘア&メイク・Nagisa(W) モデル・田中シェン 取材、文・保手濱奈美(by anan編集部)
※ 2018年12月16日 配信
冷え知らずになる正しい立ち方と呼吸法
引き続き「やわらかせなか.com(R)」の代表山本たか子さんに、冷え知らずになる「正しい立ち方と呼吸法」を教えていただきました。
あたため姿勢:立つ
お尻から脚をまっすぐに整え、巡りをよくする。
立っている時に気をつけたいのが、下半身。下半身が歪むと上半身も歪んでしまう。お尻を上げるポーズで脚をまっすぐに揃えれば、姿勢が整い、巡りもスムーズになる。
【1】かかとをつけてお尻を締める。
かかとをつけ、つま先をこぶし1個分ほど開いて立ったら、お尻に力を入れて内側にギュッと締める。かかとの上に脚がまっすぐ乗るイメージで。
【2】お尻を締めたまま引き上げる。45秒KEEP。
そのままお尻をグッと引き上げる。この時、ももの内側が中央に引き寄せられるのを感じて。エレベーターの中など、ちょっとした合間に行おう。
あたため姿勢:呼吸
深呼吸で肺の周りの筋肉を収縮させて熱を生み出す!
姿勢が悪いと浅くなってしまうのが呼吸。胸を開いて深呼吸すると肺の周りの大胸筋が大きく収縮するので、熱の発生量がアップ。呼吸が深いと巡りもよくなるという一石二鳥。
まずは、大胸筋の収縮を意識してみよう。
指先を肩口に近い鎖骨の下に置く。大胸筋の付け根を触りつつ、鼻から息を吸う。
これ以上吸えないくらい息を吸ったら5秒息を止め、口からゆっくりと吐ききる。
【1】息を大きく吸い、大胸筋を伸ばす。
椅子に深く腰かけ、足を肩幅に開く。肘を曲げ、指は上の写真の形にする。普段あまり使わない小指の筋肉が使えて巡り上昇。そして、息を吸う。
【2】息を吐ききり大胸筋を縮める。15秒×3回。
鼻から背中に息を入れるように限界まで吸ったら息を5秒止め、ゆっくり口から吐ききる。目をつぶって、大胸筋が収縮する様子に、集中しよう。
山本たか子さん 「やわらかせなか.com(R)」代表。サロン『京都やわらかせなか』を拠点に、姿勢の改善方法を指導。著書は『1日45秒でつくる! やわらかせなか』(ポプラ社)。
ニット¥18,000(カオス) パンツ¥22,000(カトリーヌ ハメル) パンプス¥76,000(ニナ リッチ)以上カオス表参道 TEL:03・6432・9277
※ 『anan』2018年12月19日号より。写真・中島慶子 スタイリスト・仮屋薗寛子 ヘア&メイク・Nagisa(W) モデル・田中シェン 取材、文・保手濱奈美(by anan編集部)
※ 2018年12月15日配信
温活を習慣化して、ポカポカになろう
紹介した温活をすべて取り入れるのはちょっと難しいかもしれません。だけど、少しずつ習慣化することは可能です。冷えは万病の元とも言います。体を温めて、寒い冬を少しでも快適に過ごしましょう。