熱々コーヒー好き、夜更かししがち…「冷えのぼせの人」の特徴と対策

文・大久保愛 — 2023.12.15 — Page 1/2
本格的な寒さが続く今の時期、冷え性対策には温活が効果的です。ですが、体調が整っていないと逆に身体に負担をかけてしまうことも…。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、自ら熱を作り出す力を養う食事と、気をつけたいNG習慣を教えてくれます! 下半身の冷えを感じるかたに!

つらい「冷えのぼせ」に悩んでいませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 244


寒い日が続きますね。お尻やふくらはぎ、足先など腰から下の冷えを強く感じる人も多いと思います。そして、突然ですが今、足を組んでいませんか? 長時間座っていたり、足を組んでいたり、姿勢を悪くしていることはないでしょうか。忙しい毎日が続くと、同じ姿勢で過ごしてしまう時間が増えますよね。同じ姿勢でいること自体が血流を低下させたり、冷えを感じさせる原因となりますが、足を組んだり、片方に体重をかけたような偏った姿勢で過ごしていると、より筋肉が凝り固まり、血流が低下してしまいます。それに加え、下半身に比べ上半身の血流が多いということで、冷えのぼせに悩むこともあるかもしれません。

ということで、今週は冬のこの時期、少しでもポカポカに過ごすことができるような食薬習慣を紹介していきます。

今週は、温活のための食薬習慣 

マフラーや手袋、ダウン、レッグウォーマー、カイロなど、体を温めるグッズが手放せない季節がやってきましたね。この時期になると偏食になったり、運動量が減ったり、ストレスで自律神経が乱れたり、同じ姿勢で過ごす時間が増えたり、睡眠時間が減ったりと、体のコンディションが万全という方は減っていきます。外気が冷たいにも関わらず温かさをキープし続けるためには、体のコンディションが良い状態であることが必要となります。ですが、寒い時には端的に熱いものを触ったり、飲んだり、辛いものを食べたりして、その場をしのごうとすることが多いのではないでしょうか。

これからの時期、忙しかったり、イベントが増えて食べ過ぎたり、夜更かししすぎたり、生活が乱れることが多いですよね。冷えがきついなと感じたら、単純に温めることと並行して、自ら熱を作り出す力を養うように栄養の消化吸収をサポートする食材を摂ったり、タンパク質やビタミンB群など熱を生み出すために必要な食材を摂ったり、背筋を伸ばし内臓や神経を圧迫しないように筋肉を使うようにするなどして、根本的に冷えない体を作るための行動もチョイスしていきましょう。

漢方医学では、冷えやすい状態のことを血流が悪い『瘀血』や熱を作り出すことのできない『脾腎陽虚』などと呼びます。大切なのは、『血』の巡りを促し『気』を補う食薬習慣です。今週食べるとよい食薬は【キムチ豚汁】です。逆にNGな習慣は、【アツアツのお茶やコーヒー】です。

食薬ごはん【キムチ豚汁】

血流を促すカプサイシンを含み『活血』に役立つキムチや、熱を作り出すビタミンB群やアリシンを含み『補気』に役立つ豚肉やニンニクを使って、味噌汁で温活をしていきましょう。春菊を使うとβカロテンが多く含まれているため、バリア機能を高め風邪対策にもなります。

<材料>
豚肉   150g
ニンニク 1片(スライス)
キムチ  75gくらい(一口大)
春菊   1/2束(3センチくらい)
酒    50ml
水    400ml
味噌・すりゴマ  大さじ1くらい

<作り方>
材料を良く煮込んでから味噌を溶いたら完成。

NG行動【アツアツのお茶やコーヒー】

体が冷えた時に、アツアツの飲み物に頼る人も多いと思います。内臓から温まる気がしてほっとしますよね。一般的に温かい飲み物といえば、スープや味噌汁などは60℃くらい、お茶やコーヒーはそれよりも高温になっているといわれています。ただ、お茶やコーヒーは80~90℃の熱めの温度を好む人が多いようです。特に寒い季節であればあるほど、高めの温度で飲むことが多いと思います。

ただ、国際がん研究機関では65℃以上の熱い飲み物は、食道がんのリスクを高めると注意喚起しています。寒い時期でも、温かいなぁとホッコリするくらいの適温にしてから飲むようにしましょう。(※1)

冷えるときには、単純に熱いものを触れたり、飲んだりすることが手っ取り早いですが、姿勢を正したり、適度に動いたり、栄養を適切に摂取して体の中から温められる体を作っていくことも忘れないようにしましょうね。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。

※1 農林水産省サイト「アツアツな飲み物にご注意!」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/syoku_anzen/baransu/r0212/hot.html
リンクはこちらから


Information

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<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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