TENDRE「未来への可能性を表現できたらいいな」 最新アルバム発売

2021.10.3
セッションミュージシャン、プロデューサーとしても活躍するマルチプレイヤー河原太朗によるソロ・プロジェクトTENDRE。始動は4年前。ほどよい抜け感と温もりのあるウェルメイドなサウンドは多くのリスナーの耳にすでに届いているが、ついにこの春からメジャーレーベルに所属。最新作『IMAGINE』はメジャーからの1stアルバムというひとつの“門出”となった。
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「形式が変わるだけで、僕のやることは変わらないんです。ただ、ここまでTENDREという活動を続けたことで、思いを綴って届けるというシンガーソングライターとしてのスタンスが自分の中でしっくりと染み付いてきた。それをこれからもより自然体でできたらいいなと思っています」

昨年リリースされた前作のアルバム『LIFE LESS LONELY』は己の孤独感や内省的な感情と向き合った、自身の軸を模索するような一枚だった。その次の構想はすぐには出てこなかったという。

「正直、自分の内側と向き合ったあとはもっと開けたものが見たいというムードになるかなと思いました。が、世の中はまだまだ閉塞感が続いているし、自分自身もそこまで開放的にいこう! という感覚はなかったんです。だけど、じゃあそこにポジティブな感情がないかというとそうではなくて。なにか未来への可能性を表現できたらいいなと思ったんです。『PARADISE』に“掴めない虹の美しさを語ろうじゃない”って歌詞があるんですけど、これを考えていた時に、虹ってよくあるモチーフですがいいなって思ったんです。いつ見られるか、消えるかわからないし、日常ではその存在のことだって忘れている。でも、偶然見られたら悪い気はしないじゃないですか。そういう押し付けがなくて、でも忘れがたいものっていいな、と。音楽もそういうふっと心に触れるものであってほしいと思ったんです」

確かに、虹が懸かった空を見上げるような清々とした空気感はこのアルバム全体から感じとることができる。とくに、その核となるのが「未来」について力強く、優しく歌う表題曲の「IMAGINE」だ。

「今、僕が言いたいことが詰まっている一曲です。このアルバムのだしが全部、入ってる(笑)。先日のフジロックでステージに立った時も思いましたが、表に立つことを悩んだり、恥ずかしがっている暇はもうないって思うんです。自分の意思や声明をきちんと出していかないと。そういう気持ちも込めています」

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先行配信曲「PIECE」「PARADISE」含む全10曲収録。「ENDLESS feat. SIRUP」では盟友SIRUPとコラボレーションも。『IMAGINE』【デラックスエディション(CD+2DVD)】¥8,580 【通常盤(CD)】¥3,080(ユニバーサルミュージック)

テンダー 1988年生まれ、神奈川県出身。2017年12月にTENDRE名義での活動をスタート。Yogee New Waves、sumikaなどのバンド、レコーディングに参加するほかChara、堀込泰行、三浦透子らに楽曲提供、プロデュースなども行う。

※『anan』2021年10月6日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・高野友里 取材、文・梅原加奈

(by anan編集部)