カップラーメン大好き、気分が落ち込む…「寂しさ、生きづらさを感じる人」の特徴と対策

文・大久保愛 — 2023.10.13 — Page 1/2
夜が長くなり、哀愁漂う秋。なんとなく不安感や寂しさ、生きづらさを感じることはありませんか。なかにはどっぷり落ち込んでしまう人もいるかもしれません。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、心を不安定にさせるNG習慣とすぐにできる対策を教えてくれます!

秋になると寂しさ、生きづらさを感じるのはなぜ?

秋 寂しい 切ない 悲しい 生きづらい 不安感

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 235


寒いなと感じたら、すでに10月だった…と時が過ぎるスピードの速さに驚くかたも多いかもしれません。そう、今年も残すところ3か月を切ったのです。今年、自分は何をしたんだろうか、今年の残った時間で有意義なことができるのだろうかと、理由もわからず不安感や寂しさ、切なさ、生きづらさなどを感じてしまうタイミングがチラホラと出てきてしまうのがこの時期。ただ、漢方医学でもこの時期には、悲しさや切なさを感じる人が増えるということが、はるか昔から言い伝えられてきました。

なので、悲しいなと感じたら、秋が始まった合図なんだなと考え、秋のレジャーや読書、食、スポーツなどを楽しむ準備をしていくのが理想ですね。そこで、今週は秋を楽しむ準備をししつつ、寂しさや生きづらさの対策となる食薬習慣を紹介していきます。

今週は、寂しさや生きづらさを感じた時の食薬習慣

涼しくなると秋特有の切なさ、悲しさ、生きづらさを感じることがあります。これは、昔から統計的によくあることとして、漢方医学では季節の風物詩のように考えられています。皆さんは、そんな感覚になったことはないでしょうか。どんな時でも、安定して明るく元気! というかたもいらっしゃるかもしれませんが、多くの人が秋の心の変化を感じたことがあると思います。

今年も終わりに近づいてきたなと実感し、今年残された3か月に対して、再度どんなふうに活用しようかなと目標設定するための心からのお知らせだと考えても良いかもしれませんね。

ただ、生活に支障が出るほど気分が落ち込んだり、涙が出てしまうような場合には、対策が必要となります。漢方医学では、『肺』が弱いタイプの人にこういった感情が強く表れやすいと考えています。どんなタイプかというと、腸内環境が乱れているタイプの人です。季節の変わり目に喉がやられたり、感染症にかかってしまうこともあるタイプです。

そこで、今週は『肺』を強くし、心と体の基礎を丈夫にしていくために『気血』を補うことをおすすめします。ということで、今週食べるとよい食薬は、【鮭とキャベツの味噌蒸し焼き】です。逆にNGな習慣は、『胃熱・湿熱』を生じさせる【カップラーメンや総菜パン】を常食とすることです。

食薬ごはん【鮭とキャベツの味噌蒸し焼き】

消化を助ける働きやストレスで大量発生する活性酸素の除去に役立つ働きも兼ね揃えている『気血』を補うレシピ。また、キャベツや味噌、マイタケなど腸活に役立つ食材をふんだんに使うことで、腸内環境を整え、秋に弱くなりやすい『肺』の働きをサポートしていきます。

<材料>
キャベツ 6枚
鮭    2切れ
舞茸   1パック
味噌・みりん  各大さじ1
水・酒     各大さじ2

<作り方>
1.フライパンにキャベツと舞茸をしいて、鮭をのせる。
2.調味料を溶き、全体に回しかけ、10分くらいしたら完成。

NG行動【カップラーメン・総菜パン】

3回の食事のタイミングは、空腹と欲望を単純に満たすのではなく、足りなくなってしまった栄養素を補充するタイミングでもあります。そのため、カップラーメンや総菜パンを食事とみなすのではなく、嗜好品と考えることが体を元気にするための基本となります。とくに心が不安定なときにはカップラーメンや総菜パンだけで食事を済ますというようなことは、なるべく控えておくことが理想です。

寒くなるにつれて、寂しさや生きづらさを感じることは、秋の特徴としてよくあること。とはいえ、季節に翻弄されっぱなしでいるよりも、自分で主導権を握り季節を楽しむように生きる方が楽しいと思います。気の赴くままに楽なものを食べるのではなく、体の内側から元気になるような食事を取ぜひり入れていくようにしましょう。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。


Information

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<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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