クリーム、パンも好き…「お腹パンパンでおならがクサイ人」の特徴と対策

文・大久保愛 — 2023.9.29 — Page 1/2
食欲の秋といえば、あれもこれもとおいしいものを食べたくなってしまうもの。ですが、この時期によく食べるものの中には、お腹の張りや臭いおならの原因となり、秋冬太りにつながってしまう要注意グルメがあるのだとか。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、気をつけるべきNG習慣とすぐにできる対策を教えてくれます!

食べ過ぎたときのお腹の張りやクサイおならが気になっていませんか?

おなら 臭い 膨満感 偏食 食べ過ぎ

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 233


焼き芋やモンブランなど秋の食材を使ったスイーツにクリームパスタ、グラタン、ドリア、クリームシチューなど、体がポカポカしそうな濃厚な味わいで、想像しただけでお腹が減ってしまいそうな食材たちをいたるところで目にするようになってきました。秋の味覚を何から食べつくしていこうか迷ってしまいますよね。ただ毎日、甘くて、こってりしたものばかり食べていたら、気になってくるのがプヨプヨしたお腹やお尻のたるみではないでしょうか。

秋冬といえば、イベントが多く、食べることも多く、ぬくぬくして一回り大きく成長してしまう人が多いと思います。もし毎年、寒い時期に太ってしまうという人は、今から気を引き締め、欲望にだけに従うのではなく、理性的に体形や体調の管理をしていきましょうね。

そんな人のために、自分をセーブするための一つの指標として「お腹の張り」があります。お腹がポンポンに張ったり、臭いおならが出てしまうというときには要注意! ということで、秋のはじまりは、お腹の張り&おなら対策をすることがポイント。今週は、お腹の調子を整えて秋冬太りを予防する食薬習慣を紹介していきます。

今週は、お腹の調子を整えて秋冬太りを予防する食薬習慣

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
今年も食欲の秋がはじまりましたね。松茸や上海ガニなどの高級食材もありますが、ホクホクとしたお芋や栗、カボチャ、キノコ類、そしてカキ、イチジク、リンゴなどの果物、寒い時期に連想するクリームやチーズなどこってり濃厚系の食べ物もなじみ深いですよね。タンパク質や脂質、炭水化物など栄養バランスを乱さない範囲で楽しむのはよいと思います。

ですが、限定品だから、旬だからといって食べ過ぎてしまうと、太りやすくなったり、便秘になったり、だるさを感じたりしてしまうことになります。秋は、食欲以外にも、読書や行楽、スポーツ、芸術などアクティブに楽しむことも想定されている季節。不快感はできるだけ減らしておきたいですよね。

そこで、偏食や食べ過ぎた時に知らせてくれるポイントがあります。それは、おならや膨満感です。小麦を使ったもの、砂糖を使ったもの、油が多いものなどをたくさん食べ、食物繊維が少ない場合には、腸内環境が乱れ、お腹の張りや臭いおならを発生させてしまいます。また、口の中の舌を見ると、舌苔が増えたり、口臭が強くなったり、舌先が赤くなったり、舌自体がむくんでいることもあるかもしれません。

漢方医学には、舌の状態をみて体調や生活習慣を予測する『舌診』というものがあります。何気なく過ごしていると、習慣化ゆえに偏食に気が付かないこともあるかもしれませんが、おならや便、舌の状態に違和感があるときは、偏食がないか見直しの合図と思い行動を改めてみてはいかがでしょうか。ということで、今週は偏食によって生じる『湿熱・痰湿』を取り除く食薬を取り入れてみましょう。

食べるとよい食薬は、【タコとワカメの梅肉和え】です。逆にNGな習慣は、『痰湿・湿熱』を生じさせ、膨満感と秋太りにつながる【濃厚クリーム系パスタ&グラタン】などの食べ過ぎです。

食薬ごはん【タコとワカメの梅肉和え】

タウリン、鉄、タンパク質、食物繊維をたくさん含む組み合わせ。胃と腸の働きを助け『脾胃』を整え『痰湿・湿熱』を取り除く梅干し、ワカメ、ゴマがおすすめ。タコは刺身でも茹タコでもOK。すぐに完成する1品なので、こってりした味覚に慣れ始めてきたらお試しください。

<材料>
梅干し  1個(包丁で叩く)
タコ   好きなだけ
乾燥ワカメ  大さじ1(ふやかしておく)
醤油・みりん 各小さじ1
すりゴマ   大さじ2

<作り方>
材料をよくあえたら完成。

NG行動【濃厚クリーム系パスタ&グラタンの食べ過ぎ】

この時期は、クリーム系のパスタやグラタンなどのラインナップがどんどん登場し、全種類食べたくなりますよね。連続的に食べていると、糖質過多になり、腸内では悪玉菌への餌付けばかりしてしまうことに。そして、単純にカロリーが高いだけではなく、糖質のとりすぎは、代謝ビタミンといわれるビタミンB群の消耗にもつながり、太りやすくなったり、疲れやすくなってしまいます。一日の中で1食偏食になるようなら、朝晩で調整したり、翌日の食事で調整したりと慢性的に続かないように気をつけましょうね。

これから食欲の秋、忘年会、クリスマス、大晦日、正月、バレンタインと長期的に食べるイベントが続き、食べ癖がついてしまう機会が増えていきます。みんなで美味しいものを食べるときには、しっかり楽しんで、何もない日には、栄養バランスをとるように生活し、食欲をコントロールして秋とつきあっていきましょう。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。


Information

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<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。


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