「会社員でもできる節税」お金の教科書Vol.29 #節約 #貯める

2023.10.2
毎日の暮らしや将来に必要なお金のこと、きちんと把握してますか? 「わからない」ゆえの不安は、知ることで解消できるはず! “お金初心者”の3人と一緒に、お金の勉強を始めましょう。「お金の教科書」、今回のテーマは「会社員でもできる節税」です。

会社員でもできる節税

高山一恵さん ファイナンシャルプランナー。Money&You取締役。Webメディア「FP Cafe」「Mocha」の運営ほか、多くの働く女性のマネーのお悩みを解決、サポート。頼藤太希さんとの共著に『はじめての資産運用』(宝島社)がある。

貯蓄未知子(ちょちく・みちこ/34歳・会社員) 都内の賃貸で一人暮らし中。毎月の貯蓄は財形2万円+口座に残った分のみ。奨学金は完済。今夏のボーナスは昨年よりややアップで喜ぶも、使い道は「貯金」一択。

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医薬品を購入する際は識別マークの確認を。

未知子:先生、お久しぶりです。季節の変わり目ですけど、体調に変わりはないですか?

高山:おかげさまで。未知子さんは、具合が悪そうですけど…。

未知子:夏の疲れがどっと出たようで、熱が出たり、ぎっくり腰になったり、秋の花粉症にも悩まされたり…。薬に頼ってばかりで、出費がかさんでいます~(涙)。

高山:市販薬って、1回の出費はそうでもないけれど、積み重なると結構高くつきますよね。

未知子:そうなんです! 本当は処方薬に頼りたいんですけど、仕事が忙しくて病院に行く時間がなくて。仕方なく、会社の1階にあるドラッグストアに通ってます。

高山:あらら。では、「セルフメディケーション税制」の適用を受けてみては?

未知子:それはいったい?

高山:簡単に言うと、医薬品の購入金額の合計額が1万2000円を超える場合、その超えた部分について最大8万8000円まで所得控除を受けることができる制度です。

未知子:医薬品はなんでもOK?

高山:「スイッチOTC医薬品」といって、多くの商品パッケージに識別マークがついています。鎮痛剤をはじめ、花粉症に効く抗アレルギー薬や血行を促進させて肩こりや腰痛を改善させる薬ほか、ニキビ治療薬まで、その対象範囲は幅広いんですよ。

税金の負担は「所得控除」で減らすことができる。

未知子:えー知らなかった! 「セルフメディケーション税制」は誰でも利用できるんですか?

高山:定期健康診断や予防接種を受けるなど、“一定の取り組み”を行っていればOKです。

未知子:年に1回の会社の健康診断も、インフルエンザの予防接種も毎年受けています!

高山:ただ、「セルフメディケーション税制」と医療費控除は併用できないので注意。

未知子:今年は歯医者さんくらいしか病院には行ってないです。

高山:1年間の医療費が10万円を超える場合は、どちらがお得かシミュレーションしてみるとよいですね。

未知子:やった! 会社員でもできる節税ってあるんですね!

高山:会社員の所得税は、まず「税込み年収」から「給与所得控除」を算出。所得税は、そこから「所得控除」を引いた金額にかかる。つまり、「所得控除」が多くなるほど、所得税が減るわけです。下に挙げたように、「所得控除」を受けられる項目は身近なところにもあるんですよ。

こんな所得控除がある!

【医療費控除】1年間の医療費の合計を、家族分も含めて計算を。
自分に限らず、家族を含めて病気や怪我による通院、歯科治療などにかかった費用が控除される(1年間で医療費が10万円を超えた場合(※)。上限控除額は200万円)。その費用には、介護や妊娠・出産も含む。※総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%。

◎医薬品の購入費が年間1万2000円超なら要チェック!
セルフメディケーション税制…確定申告での手続きが必要。その際、セルフメディケーション税制の明細書に加え、「一定の取り組みを行ったことを証明する書類」として健康診断の結果通知書なども一緒に提出。

【生命保険料控除】万が一に備えた保険にも所得控除が適用される!
一般の生命保険、介護医療保険、個人年金保険などの掛け金のうち、それぞれ最高4万円、上限は合計12万円までが控除される。「病気や怪我、入院や手術に備えて複数加入している」人、「将来に備えて個人年金保険に入っている」という人は控除対象になる可能性大。

【地震保険料控除】関東大震災から100年。備えの意識が高まり中。
今後30年以内に約70%の確率で起きると予測されている、マグニチュード7クラスの大地震。年々、防災意識が高まる中、地震保険への加入を検討している人も増えているよう。支払った地震保険料が5万円以下の場合は、全額控除されると覚えておこう。

【寄附金控除】災害地域への支援だって、れっきとした控除対象。
日本赤十字社をはじめ、ウクライナなどで人道支援活動を行う認定NPO法人など、特定の団体への寄付が対象。「総所得金額等の40%」または「その年の寄付の合計額」のどちらか低いほうから2000円を引いた額が控除される。クラウドファンディングは原則対象外。

★次回は、2368号(2023年10月11日発売)掲載予定です!

※『anan』2023年10月4日号より。イラスト・小迎裕美子 取材、文・一寸木芳枝

(by anan編集部)