「購入? 賃貸? 家とお金【前編】」お金の教科書Vol.42 #お金の基本

2024.4.20
毎日の暮らしや将来に必要なお金のこと、きちんと把握してますか? 「わからない」ゆえの不安は、知ることで解消できるはず! “お金初心者”3人と一緒に、お金の勉強を始めましょう。「お金の教科書」、今回のテーマは「購入? 賃貸? 家とお金【前編】」です。

購入? 賃貸? 家とお金【前編】

石岡 茜(いしおか・あかね)さん ことり不動産代表。女性ならではの視点と“幸せな家選び”をモットーに、物件選びをサポート。著書に『持ち家女子はじめます 人生に「いいこと」が起こるおうちの買い方』(飛鳥新社)が。

貯蓄未知子(ちょちく・みちこ/34歳・会社員) 都内の賃貸で一人暮らし中。毎月の貯蓄は財形2万円+口座に残った分のみ。奨学金は完済。家を買うべきか悩み中。

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単身女性でも家を買うのはアリ!?

未知子:そろそろ今のマンションが更新で、引っ越しを考えています。購入も検討したいので、家のお金のこと、教えてください!

石岡:近頃は、単身女性でも購入を選択する方が増えています。総務省統計局「全国消費実態調査」(平成26年)によると、単身の持ち家比率は、男性より女性の方が2割ほど高いんです。家を持つと人生の選択肢が広がる面もあるので、これを機に考えてみては?

未知子:私は独り身だし、家を買うと逆に身動きが取れなくなりそうな気もするんですが…。

石岡:そんなことはありません! 賃貸の場合は大家さんに家賃を支払いますが、購入すればローンとして返済するので、ゆくゆくは自分の資産に。パートナーができたら一緒に住むこともできますよね。

未知子:なるほど!

石岡:将来的に家族が増えたら賃貸にして家賃収入を得たり、売却したり…。買った家に一生住み続ける必要はないので、逆に選択肢が広がるのではと思います。

未知子:たしかに。でもローンを組むなんて、不安なんですが…。

石岡:現在の家賃を、家を購入したときの毎月の支払額(毎月のローンと諸経費の合計)に換算した場合、どのくらいの家なら負担なく支払いできそうか調べてみると、よい判断材料になると思います。

未知子:たしかにこれまで払った家賃を考えると、買えてたかも…。

家を購入するのにベストなタイミングは?

未知子:最近、都市部のマンション価格が高騰しているというニュースを耳にしますが、それでも購入はアリなんでしょうか?

石岡:たしかに、バブル期以来の高値と言われることも。でも購入物件の価格と賃貸の価格は比例するので、実は賃貸物件の相場も少しずつ値上がりしているんですよ。

未知子:え!? じゃあ今の家賃も上がるかもしれないってこと?

石岡:現在住んでいる家の家賃が急に上がることはないので大丈夫。ですが次に引っ越す際、同じ家賃や間取りで探しても従来より条件の悪い家しか借りられない…という事態は起こりつつあります。

未知子:ひぇー!(怖)

石岡:なので家を買う時期は、時勢よりも自分のタイミングを大事にした方がいいというのが私の考え。改めて自分が今後どんなライフプランで、どういう暮らしをしたいのかを考えてみては?

未知子:たしかにこれまであまり考えずに生きてきました…。

石岡:人生やお金のことに真剣に向き合ってみると、きっと住まいのことも見えてくるはずです!

物件購入にまつわるギモンに答えます!

Q. 結局、どちらがおトクですか?
A. さまざまな観点で考えてみて。

金銭面では賃貸で10年住んだ場合の支払総額と、同じ期間住宅ローンを返済した場合の支払額を比較するのが近道。視点を変え、家を持つという精神的な安心感や人生の選択肢の広がりなどの面で比較するのも◎。「持ち家だと人生の変化に強いのは確か。目安として、年収400万円以上の人は検討の価値があると思います」

Q. 購入のメリット&デメリットは?
A. 人によるのでぜひ比較を。

賃貸用物件より購入用物件の方が、キッチンやバスなど設備面の充実度が高く、満足度は上がる傾向に。「ペットと暮らしたい、好みの空間にリノベーションしたいなどの目的がある人はメリットが大きいかも。一方、留学や転職などの目標があったり、ローンを組むことで毎月の出費が上がる人には、デメリットになるかもしれません」

Q. 将来設計がまだなのですが…。
A. 早めに考えてみるのがおすすめ。

パートナーや子供の有無、仕事などのライフプランは、住まいと密接な関係が。「家の購入を考えることは、人生について考えることとほぼ同義。将来どんな暮らしをしたいか、そのためにはお金がいくら必要か…、一度真剣に考えると見えてくるものがあるはず。持ち家だと、何かあったときでも臨機応変に対応しやすい側面もあります」

→住まいを考えることは、自分を見つめること。一度は本気で、購入を検討してみては?
家を買うことによって選択肢が増え、人生の変化に柔軟に対応できる場合も。まずは理想の暮らしや人生設計を描いてみて。

★次回は、2396号(5月1日発売)掲載予定です!

※『anan』2024年4月24日号より。イラスト・小迎裕美子 取材、文・宮尾仁美

(by anan編集部)