「朝エッチ最高…」フリーランスカップルが手に入れた「極上のセックスライフ」

ぼたん（23歳）、鬱っぽくなって退職してお仕事レス。でも、会社以外で稼ぐ方法を見つけたぞ

【レスなひとびと】vol. 232

「辞表出してきた」

ぼたんはベッドに突っ伏す。とあるアパレルブランドのデザイナーとして働くぼたんは、毎日深夜までの激務に耐えかねて、ついに仕事を辞めることにしたのだ。ちょこっと鬱っぽくなってると気づいたのだ。ブラック会社鬱。

「ええ？　実家帰るってことなん？」

レイが、驚いた様子で問いかける。

同じシェアハウスに住むレイとは、半年前から付き合っている。彼はマシンピラティスのインストラクター。個人顧客の多い東京から離れることはできないらしい。

「そう。だって、収入がなきゃ家賃も払えないじゃない」

それが１か月前のこと。シェアハウスを出て始まった、東京と愛知の遠距離恋愛。レイとの関係は続いているけど、画面越しには触れ合えない。ぬくもりが欲しいよ。でも、ヤル気が出なくて。しばらく働ける気がしなかった。

久しぶりの実家。母親に「せっかく家にいるんだから、昔の雑貨とかおもちゃとか片づけてくれない？　ほこり溜まっても掃除できないから」と言われ、しぶしぶ腰を上げる。

片づけ中、ふと、高校生まで部屋に飾っていたシルバニアが目に留まる。昔から服が好きで、動物たちに、ちっこい服を作って着せてあげてたんだ。

懐かしいなと思って、写真を撮ってXにアップした。

そうしたら、いいねが5000越え。そのあと、DMがくる。

「うちのぬいに、緑の服作ってくれませんか」
「このフィギュア、着せ替えたいんですけど」などなど。

Amazonギフト券をもらって、依頼をこなす。すると彼女は「ぼたんさんが作ってくれました！」と、写真とアカウント名付きでポストしてくれた。それがバズって、またまた他の人からも依頼が。バズりにバズる。

どうやら最近は推し活をする人が多く、ぬいに着せる衣装の需要があるらしい。オンラインのスキルマーケットで、募集をはじめると、すぐに何十件もの注文が入った。まだ会社員時代の月収ほどには届かないけど、自分のペースでやれて、ノンストレスだ。むしろ楽しくてしょうがない。

レイにそのことを報告した。そうしたら、涙声で言われた。

「…戻ってきて。一緒に住も」

ふたりともフリーランスだから、なかなか物件探しは難航した。でも、なんとか２DKが見つかる。

「おはよう」
朝、目が覚めて一番にレイが目に入る。ほっぺをくっつけて笑いあってキスをする。

「ね、今日のレッスンは午後からなんだ」

「うん」

「だから、しよ」

レイは、ぼたんのスウェットに手を滑りこませる。

「んんッ」

「ぼたん、うちらの部屋だから声抑えなくていいよ」

そう言われるとまじ恥ずかしい。でも、声を我慢しなくちゃいけなかったシェアハウス時代よりさらにエッチが気持ちよくなってる。

会えなかった時間を埋めあうように、結局ほとんど毎朝こうやってくっついてる。

「これがあると、1日がんばれるよね」

ああ、レイと一緒にいられるようになって、よかった。

【三松さんからのコメント】

ぬいのお洋服作家デビュー、よかったよかった！　もともとデザイナーをしていたぼたんさんには、ぴったりのお仕事ですね。推し活、SNS、シェアハウス、ブラックからの脱出…新しい時代の要素てんこもりの恋愛話で気持ちが華やぎます。

身も心もボロボロになってまで、会社員を続ける必要はありません。でも、収入がないと生活ができない。ジレンマで、そのまま辛い職場に残る方たちの声も聞いています。
ぼたんさんの場合、舞い込んできた手作りお洋服依頼！　偶然が重なったラッキーもありますが「これはシン・仕事になるかも？」とオンラインスキルマーケットに登録した行動力がすばらしいです。波に乗る前の直感って大事。
組織に縛られず活躍する、ぼたんさんとレイさんはかっこいいですね。
この働き方のいいところは時間を自由に使えるところ。朝エッチは、なかなかできないカップルが多いですが、時間の融通が効くふたりにはぴったりです。朝エッチって、１日の幸福度も代謝も肌の調子もあがるので、いいことづくしなんですよ。ちなみに、朝は短時間で切り上げて体力を温存しようってことで、私はSMS（ショートモーニングセックス）を提案してます。

「お仕事レスは辛いけど、自分のスキルや特性をフル稼働でシン・仕事を創り出すのもあり。時間ができると愛するひととSMSができるよ」

新刊『アンダー40 ―どうする結婚』　原作：三松真由美　画：こまだまこ（小学館）
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『相互アリバイ妻　ママ友同士で浮気のアリバイ作ってます』（KADOKAWA)
原作：三松真由美　漫画：カナメキヌコ
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三松　真由美　
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター４万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』（kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。

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