日曜は朝から暴れちゃう…人妻同士が語り合う「赤裸々性生活」 レスなひとびと

文:三松真由美 イラスト:犬養ヒロ — 2019.5.2
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、セックスレスになって久しい32歳人妻。夫婦生活がなくて当たり前と思っていたが、友人たちのセックス話を聞いて性欲再燃。でも、夫はつれなくて……。三松先生のアドバイスは?

【レスなひとびと】vol. 27

恭子(32歳)まわりがセックスフルなのに
セックスレスは自分だけかよ。それって、おかしいことか。

27

「うちは、週末は出かけることが多いから残業がない水曜夜はエッチデーなの。エロウェンズデー、EWって言ってるのよ」

栞が嬉しそうに言う。

「我が家はプレミアムフライデーよ。じゃあPFだね。夫がどんなに遅く帰っても私から乗っかるの。二人目欲しいしね」

ハルカがポットティーをみんなのカップに注ぎながら笑う。

「私は平日、ずっと仕事に追いかけられてるから土曜は休んで、日曜朝から暴れるの。子どもがいないからリビングのソファでもできちゃう。うちのダーは、土曜にステーキとかうなぎとか食べているわ」

美栄が抹茶マカロンをつまんでひと口かじる。
『……うそ……日本人はみんなセックスレスってネットで読んだし……うちら夫婦がフツーだと思ってた』

昔からの仲良し達との定例女子会で恭子は背中が寒くなった。共働きの夫、和也とは3年間なにもない。保育園に通っている綾美が生まれてからゼロ回。

EW栞が長い髪をかき上げて遠い目になる。

「やっぱりさ、女はセックスで色気が増すのよね。夢中で貪っている夫の顔見てると、ああ、求められてるううって感じるもん。わざとネットリした声出すと、相手もますます興奮してくるしね。セックスのときは男を自由に操ることができる」

PFハルカが大きくうなずく。

「そうそうそう。それに愛されてる感あるよね。喧嘩してても、一発すると仲直りできちゃう」

恭子はSM美栄にたずねる。ちなみにサンデーモーニング。

「美栄、子どもをつくるために朝からエッチしてるの?」

「ううん、子どもは考えてない。ただ、すっごく楽しいの。ソファに座ってるダーの上でガンガン動くと、日頃のストレスぜ~んぶ飛んでく。部長の小言も、ミスばっかする部下へのいらだちも、焼き尽くされる。夜は熟睡できるし、ダーとは絆が深まるし、一石三鳥」

「……」

恭子は軽いショックを受けた。その夜、和也にビールを買って帰った。発泡酒でなく、第3のビールではなく、本物ビール。つまみの生ハムも買った。3パック350円じゃないスペイン産生ハム。

「あれ、今日、結婚記念日?」

『なわけないだろ、一回、死ね』
恭子は本意を隠して笑みを浮かべる。

「カズくーん。うちら、俗にいうセックスレス夫婦だよね」

「ああ。そうだな。仲良しならいいじゃない。綾美もできたんだし」

「でも、32歳でそういうことなくなるのは寂しいかも…」

「ほかにすることいっぱいあるだろ。綾美と遊ぶとか、ビジネス書読むとか、賞を取った映画を観るとか。家事だって手抜きせずにやろうよ。あ、僕、土曜に換気扇の掃除するよ」

『いやいや、夫婦のセックスより換気扇掃除がポイント高いんかよ』

以来、何度も恭子からさりげにアプロ−チするも玉砕。3年間レスのことなど意識していなかったのに、女子友との刺激的な会話で恭子の薄れていた性欲がムックリ動き始めることに。

どうする、恭子。


たしかにセックスレス夫婦のほうがメジャーですよ。しかしながらいることはいるのです。セックスを楽しく継続しているご夫婦も。潤滑油という表現をする方も多いです。ひとの心理は不思議なもので、周りの色に染まりやすい。多数意見に引きずられることがよくあります。オーガニックフードしか食べないひとは、同じような友達ができる。添加物ばかり食べているひとを別世界のひとと思うこともある。セックスに置き換えても大差ない心理では。

セックスレスで悩むひとには、同じ悩みを持ったひとが共感してくれます。恭子さんのように周りと自分ひとりが明らかに違う現状と気づいたら、そっちに引っ張られてしまうかもしれない。本当に”セックスは必要ない”という確固たる信念があるなら全く平気でしょうが、心の声に耳を傾けた時「3年エッチなくってだいじょぶか」と不安な声が聴こえたら切り替え時です。

今、夫と(妻と)「うちの寝室事情」をテーマに真剣な会議をしておかないと、手遅れになります。

10年後、性欲が急に目覚めてきたらどうするのか。時すでに遅し。EW栞さん達が言うように「求められる感」「愛されてる感」「女としての承認感」など、セックスにはオーガズム快楽以外の特典が隠されていることに気づくと、老後の夫への気持ちが変わってくること間違いなし。

「ひとの意見に流されるな。心の声に耳を澄ませよ。
セックスがなくて寂しい? 不安? あるいは楽ちん? 情報に惑わされてセックスレスを放置するとえらいこっちゃの老後になる」

三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にhanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン作成委員。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。

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http://fufunaka.com/

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