知りたくなかった怖い話…なぜ? 誰もいない病室からのナースコール #9

文・イラスト 犬養ヒロ — 2019.4.5
世の中には、科学では証明できないこともあるようです。憑依体質の漫画家・犬養ヒロさんが聞いてしまった【知りたくなかった怖い話】を紹介します。今回は、ナースコールにまつわるゾッとするお話……。

【犬養ヒロの知りたくなかった怖い話】vol. 9

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ナースコール

知りたくない度★☆☆

(P.N ナースの妹もナース 女 看護士)の体験談

看護士の姉が、若かった頃の話です。

入院している患者さんに、若くてイケメンの男性入院患者がいたそうです。

毎日毎日顔を合わせているうちに、徐々に親しくなり「彼女がぜんぜんお見舞いに来ないけどフラれたの~?」とか、冗談を言い合うぐらいに仲良くなったそうです。

姉は美人でサッパリした性格なのでよくモテていましたが、勤め先の病院で患者さんとの恋愛なんてありえないので、その男性患者のことも恋愛の対象としては全く考えていませんでした。

でも、その男性患者には恋人がいなかったので、いつも姉の顔を見る度「退院しても会いに来ていい?」とか、「病気が治ったら一緒にどこか行こうよ」と、冗談っぽく笑いながら言ってきて、姉も「退院したらね~」と軽くあしらっていたそうです。

姉曰く、本当にちっとも気が付かなかったそうです。いつの間にかその患者が姉に恋愛感情を抱いていたということに…。

そんなある日、姉が出勤するとその男性患者の病室がキレイに片付けられていました。

予定よりも早く退院したのかと思って先輩に聞くと、「あなたが休んでいる間に容体が急変して、発作を起こして夜中に亡くなったのよ。まだ若いし男前だったのに気の毒よねぇ」

つい先日まで、あんなに元気だったのに……。まさか亡くなるなんて……。

その患者が亡くなってから数日後、姉の身の回りでおかしなことが起こり始めました。

夜勤の時、ずっと後ろから誰かに見られているような、人の視線を感じるらしいのです。でも振り向いても誰もおらず、仕事中なので気にしないようにしていました。

そんなある夜のこと。

夜中にナースコールが鳴ったので病室にかけつけると……そのベッドは空きになっていて誰もおらず、そこはあの男性患者が生前に使っていたベッドでした。

「誰もいないのに、なぜ……?」

誰もいないはずのベッドのナースコールが鳴るなんて。壊れているはずはないし……。

同じことが、夜勤の度に起こりました。いつも決まって鳴るのは、夜中の三時で、それは偶然なのかあの男性患者が亡くなった時間でした。

そんなある夜勤の日、またナースコールが鳴ったので見に行くとその日は様子が違っていました。

ベッドの横に、亡くなったはずの男性患者が下を向いて立っていたのです……!

「ヒ…ッ!」驚いて姉が立ちすくんでいると、その男性患者がゆっくりと顔をあげ、

「……治ったから……一緒に行こう……」

笑いながらユラユラと近付いてきたそうです。

そして姉の目の前に来たかと思うと、ぎゅうっと、急に胸が苦しくなって、息が詰まりそうになったのです…!

「……一緒に……一緒に……」

どんどん息が苦しくなっていくので、これはマズいと思い、

「……無理!! あなた死んでるから無理!!」

力を込めてそう言い返しました。

すると、フッと呼吸が楽になり、その患者は一瞬悲しそうに顔を曇らせたかと思うと、すぅーっと消えたそうです。

それ以後、夜勤の時に視線を感じることもナースコールが鳴ることも、一度も無くなりました。

そんなことがあった姉ですが、

「その患者さんはお気の毒だけど、こっちは仕事だからしつこくされてもねぇ~」

そう言いながら煎餅をバリバリ食べていて、逞しいなと思いました……。

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