救出に24時間かかりました…猫さまが飼い主と出会った運命の場所とは

取材、文・Manabu Matsunaga — 2023.4.30
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第130回目は黒白猫のテルマ(Thelma)さま。

飼い主との出会いは運命だった、猫さまの物語

【フレンチ猫さま】vol.130
猫さまの話をもっと聞かせて!
テルマさまは1歳の女性猫さま。


猫 保護猫 フランス 猫のいる暮らし


テルマさまが語ります。
私の1日は、飼い主と同じ時間に起きて、食事をとることから始まります。それから窓の前に立って、庭と通りを眺めます。その後、ベッドで居眠りをしてお昼には元気に目を覚まします。犬のタリアと遊んだり、家の中を走り回ったりしています。その後、昼寝を再開し、午後4時頃に起きておやつを食べ、また遊びます。夕方になると、静けさを利用して再び眠り、飼い主を抱きしめます。夜は一緒に寝て、一晩中飼い主の腕の中で過ごします。私は何か悪いことが起こるのではないかと心配して自分からは家を出ませんが、それでも10メートルのリードを持った飼い主と一緒に庭に出ることがあります。
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食事は主に『メゾン ムーラン』のチキンナゲットを食べています。食べる量を減らしても不満なく食欲が増すように、遊び心のあるボウルに入れてもらっています。好物はチキンフィレのソース付きパテ、鶏肉と乾燥ムール貝です。
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特に落ち着く居場所はキャットツリーの最上階です。冬は暖房のそばで暖を取りながら、友人のタリアに守られて眠ります。窓のハンモックに座るのが大好きで、庭の鳥を見ながら日光浴をすることができます。お気に入りのおもちゃは、先にぬいぐるみのクモが付いた釣竿です。私は人間にとても愛着があり、とても愛情深い猫と言われています。抱っこが大好きで、部屋に一人でいるのは好きではありません。不器用で、飼い主を笑わせることもあります。信じられないほど親切で賢く、太陽の光のようだと飼い主が言っています。得意技は見事なジャンプをすること! 飼い主は写真を撮りたがっていますが決定的ショットは毎回逃しています!
飼い主から見たテルマさまとは。
テルマは私の最初の猫です。私はいつも犬を飼っていて、猫もかわいいと思うと同時に、自立しすぎて私には向いていないと思っていました。ある日、子猫の悲痛な鳴き声を聞きました。私がテルマを見つけたのは、生後わずか6週間のときでした。彼女は隣人の車のエンジンの中に隠れていて、彼女を救出するのに24時間かかりました。彼女が誰かのものなのかを確認しましたが、この可哀想な子猫は捨てられているようでした。彼女はとてもかわいくて、抱きしめたくて…我慢できず、飼うことにしました。
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彼女を迎えに行ってからわずか5日後、11歳のキャバリアキングチャールズ犬のFybeeが亡くなりました。悲しみに明け暮れ、つらい時期でしたが、テルマがいてくれたお陰で大きな助けになりました。彼女の存在、抱擁、おふざけは私の心を慰め、元気づけてくれたのです。それは私たちをより親密にしたエピソードであり、非常に強い絆を築きました。彼女は私の人生に偶然入ってきたのではないと思っています。
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彼女が来てから1か月半後、テルマより1か月遅く生まれたタリアと名付けた子犬を引き取りました。彼らはすぐに仲良くなりました。よく一緒に遊び、ケンカもしません。テルマは時々、タリアに寄り添ったり、一緒に寝たりしようとしますが、タリアは遊びに夢中です。テルマはタリアをとても気に掛けています。タリアが咳をしたり病気になったりすると、彼女は走ってきて、何が起こっているのか、すべてが大丈夫かどうかを確認します。
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テルマは私たちと一緒にたくさんのことをしてきました。自転車に乗ったり、一緒に休暇をとったり…彼女とならどんな状況でも簡単に気楽に過ごせます。私たちと共にテルマにはもっと多くのことを体験してもらいたいです! テルマは私のことをとても気に入っていると思います。彼女はとても幼い頃、母親から引き離されたので、私は彼女の母親代わりです。テルマと私にはいくつかの共通点があります。私たちは知らない人に対してとても人見知りをします。そして、私が彼女を愛しているのと同じくらい、彼女も私を愛しているのだと思います。
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テルマは私にとって本当のお手本です。私は不安を抱えてしまうことが多いのですが、テルマの静けさと知恵に学ぶことが多く、彼女の存在だけで心が落ち着きます。 そして彼女は私にたくさんの幸せをもたらしました。彼女のおかげで、私は猫と出会えて本当に良かったと思っています。テルマの好きなところは目です。彼女の視線で溶けてしまいます。テルマは私にとって本当の太陽です。
――テルマさまとの出会いはとてもドラマチックな展開になりました。捨てられた猫さまの救出、愛犬との別れ。飼い主にとっては塞ぎ込んでしまう毎日も、テルマさまの輝きで救われたのですね。まさに猫さまマジックをもったテルマさまですね。

取材、文・松永学