実は間違ってた!? 化粧品容器の「意外と知らない正しい分別・処分法」

ライフスタイル
2023.07.26

文・平野絢子 イラスト・宮本志保

女性たちが実際にやっている、身近なエコ活動をご紹介。102回目は、ecocoメンバーの平野朱里さん。今回はコスメやスキンケア用品の使い終わった容器の処分方法についてご紹介します。

コスメ、スキンケア用品の分別・処分方法

©宮本志保
©宮本志保

【最近やってるecoなこと】vol. 102

スキンケア用品やコスメ用品の分別や処分方法、どうすれば良いのか迷ったことはありませんか。お兄さんが資源回収のお仕事をされていて、ナチュラルコスメ業界に勤めている朱里さんに処分方法や思いを教えていただきました。

幼少期から母親がやっていた“リサイクル”が習慣化

コスメ、スキンケア用品の分別・処分方法 エコ SDGs サステナブル エシカル リサイクル 再利用

朱里さん 物心ついた頃から、母がペットボトルや牛乳パックなどを洗って乾かし、スーパーの回収ボックスに持って行くことが我が家の習慣。それが私にとって初めての「リサイクル」体験でした。

ごみが資源に生まれ変わる体験をしたのは、小学生の頃。「3万個の空き缶のタブが集まると1台の車椅子がつくれる」というプロジェクトがあり、私は親戚中に声を掛けタブ集めに協力してもらい、回収ボックスに何度も入れに行きました。

小学校を卒業する頃には6台の車椅子分を集められ、体の不自由な方に寄付するところまでを見届けることができたのです。小学生ながら、少しの暮らしの工夫で社会の役に立つことができると実感した、貴重な経験になりました。

本格的に容器の分別をしようと思ったきっかけは、一人暮らしを始めた頃。私の兄は資源回収の仕事に携わっています。割れてしまった茶碗を捨てるときに、ふと「この包み方では兄が怪我してしまう」と思いました。それ以降ごみを出すときは、兄に預ける気持ちでまとめるようになりました。

回収する方が運びやすいように、段ボールはバラけないように束ねるとか、地域によって異なる分別方法をきちんと守るとか、当たり前のことを当たり前にするようになったのが、今の暮らしのきっかけです。

また、過去にカフェで働いていたのですが、お店ではお客さんにプラスチックカップを「燃えないごみ」のボックスに捨ててもらっていました。

営業終了後、処理ステーションに預けに行った際、担当の方から「汚れてるプラは燃えるごみだから」と、燃やせるごみコーナーにポイッと放られたことがあります。
お客さんにも協力してもらって、頑張って分別したのに…あまりに驚きで、どうしたらプラスチックとして処理してもらえるんですか? と聞いてしまいました。その答えは「洗って乾かして持ってきて」でした。

スーパーにある回収ボックスのルールのように、"キレイな容器"であり純粋なプラスチックでないと、リサイクルができないのです。1店舗あたり1日1,000近いプラスチックカップが出る店舗において、キレイに洗い、ましてやどう乾かすのか。リサイクルにおいて、自分の無力さを感じました。

このように、出す側がプラスチックと認識して分別しても最終分別所では「燃やせるごみ」と判断されることも多いのが、ごみ処理の現実なのです。

今、化粧品メーカーに勤めていて思うことは、化粧品の容器の原価って、もちろん商品によってピンキリですが200〜800円はするんですよね。この業界で働く私にとって容器は、ただの入れ物ではなく、資源、それも超えて「資産」に思えて、捨てるのもとまどいます。どうにか捨てなくていい方法はないか、自分ごととして考えるようになりました。

使い終わった容器は食器用洗剤で洗ってお湯で洗う

朱里さん 事前に、クリームやバームなどの油分はペーパーなどで拭って「燃やせるごみ」として処分しています。それから、空いた容器は食器用洗剤とお湯で洗って乾かし、購入した店舗の容器回収ボックスに持って行きます。

店舗での回収対象外のものは、住んでいる地域の「資源回収」の日に素材ごとに分けて透明の袋に入れ、袋に何の素材(ポリエチレン、ゴム、金属など)のものが入ってるかを書いてから出しています。ここまでやっていただけると、処理ステーションの方が目視である程度の判断ができて作業効率が高まるので、ぜひお願いしたいです。

リサイクルできないものとして、例えば納豆などのニオイがついてしまったプラスチック容器や、洗っても取れない油分がついた容器は、残念ながらリサイクルできないため、燃やせるごみ(分別しようとしたけど燃やすしかないごみ)に出しています。

これは作り手と消費者の闇で、また別の話になりますが、この現状からごみを出さない「リデュース」、今で言うエシカルライフも意識するようになりました。

容器回収プログラムを利用する

コスメ、スキンケア用品の分別・処分方法 エコ SDGs サステナブル エシカル リサイクル 再利用

私の勤めている化粧品会社では、実際に回収された容器は、店舗の資材(キャッシュトレーや什器)などに生まれ変わっています。1つの容器につき、お店で使えるポイントが付与されるので、みんなが得するとても良い仕組みだと思います。

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私が使っているMEDULLAのヘアケア商品は、使い終わったら有楽町マルイの直営店に持って行きます。空きボトル1本につき、次回のお買い物で使える50円の割引チケットがもらえますよ。

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注意すること
1. キレイに洗って乾かしてから持っていくこと
2. 基本的にはその店舗で取り扱っている商品しか回収できないため、購入する前に“使い終わった後のこと"まで考えて買い物をすること

容器も最後まで責任を持って処分しましょう

使い終わった容器は捨てず、リサイクルできるものは積極的にリサイクルをすることでゴミが減り、新しく生まれ変わることができます。

他ブランドでも容器回収&リサイクルプログラムを行っているところもあります。回収対象商品や条件等はお店によって違うので、調べてみてくださいね。

<教えてくれた人>

平野朱里さん
化粧品メーカー勤務。2015年よりナチュラルコスメ業界に入り、先輩に勧められスタートした"布ナプキン"から、エシカルライフがもたらす好循環に興味を持つ。現在は保護犬と夫の3人暮らし。

<筆者情報>

ecoco代表 平野絢子
エコをテーマとし全国の女性を集めた団体「ecoco」を立ち上げ、身近にできるエコ活動、エコを通した地域活性とウーマンエンパワーメントを推進している。
また岡山県の観光特使として東京を拠点に行き来するデュアルライフを行いながら、せとうちの農園や市場、工場などに自ら足を運び、創り手の‟想い”を伝えるため、商品開発、営業、PRなどを企業と一緒に行っている。

ecocoのInstagramはこちら
https://instagram.com/ecoco_eco/

※1 マッシュビューティーラボ「リサイクル キッチン」
https://mashbeautylab.com/recycle-kitchen/

YOAN
https://yoan.jp/

MADULLA(2024年3月末日に閉店)
https://medulla.co.jp/

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