意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「がん5年生存率」です。
早期発見と最適な治療が必須。正しい情報入手を
厚生労働省は2016年にがんと診断された人の治療や予後情報などの登録・管理を始め、2月に「2018年全国がん登録5年生存率報告」を公表しました。
15歳以上の成人の5年生存率は、前立腺で92.5%、女性乳房88.4%、子宮頸部71.4%、大腸68%、胃64.4%などは比較的高いですが、肺は39.6%、肝や肝内胆管は34.4%、膵臓は13.5%でした。
小児がんでは、リンパ腫・リンパ網内系腫瘍96.6%、胚細胞性腫瘍95.5%、白血病は84 .3%。「がんは治る」と言われるようになりましたが、部位により差があることがわかりました。
昨年開かれたがん啓発の市民公開講座に京都大学医学研究科の先生方とともに、当事者として藤崎マーケットの田崎佑一さんがゲスト出演されました。田崎さんは36歳の時に腎臓がんになり、手術で摘出、現在はお仕事に復帰されています。自覚症状はなく、人間ドックを受けて腫瘍マーカーでは陰性だったのが、他の検査で初期のがんが見つかったそうで、早期発見と専門機関での受診の重要性を語っておられました。
京大の先生方は「まずは標準治療を」とおっしゃっていました。標準治療とは、科学的根拠に基づき、多くの臨床試験によって効果や安全性が実証された最良の治療。がんにおいては、手術、放射線治療、薬物療法が主流です。
SNSの時代、民間療法や最先端治療など多くの情報が溢れています。しかし、最先端の治療が有効とは限りませんし、安全性も保証されません。巨大ビジネスに繋がりやすく、なかには怪しいものも溢れています。まずはエビデンスに基づいた標準治療を受けてくださいと、警鐘を鳴らしていました。
厚生労働省は、全国どこにいても質の高いがん医療が受けられるよう、がん診療連携拠点病院等を464か所定しています。また、国立がん研究センターが運営するサイト「がん情報サービス」では、基礎知識や治療法、生活について、制度やサービス、家族の対応や相談先など幅広く情報を網羅しています。
日本人の2人に1人が生涯に一度はかかるといわれているがん。正しい情報を得て、最適な治療法に辿り着いていただきたいと思います。
五月女ケイ子解読員から一言

先日、親戚が膵臓がんで亡くなり、彼女のことを思い出しながら、2人に1人はかかる国民病であることを実感しています。がんは治る病気という認識も広まりつつありますが、改めて、早期発見と標準治療が基本のキ、最も大切なことだと分かりました。
解説員
Profile
堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。著書『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
Profile
五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。
anan 2488号(2026年3月18日発売)より















