文/桐生奈奈子
エコとサステナブルの違いって?
エコとは環境を軸にした言葉であるのに対し、サステナブルは環境を含む未来の社会の暮らしをよくする言葉にあたります。
エコとは
エコは、英語の「ecology(=生態学)」「economy(=経済学)」に由来するといわれています。たしかに環境にやさしいだけではなく、エコカーやエコバッグなど節約につながるイメージもありますよね。
エコには、地球の資源を大切にすることで、地球環境にやさしいアクションを起こそうといった意味合いが含まれています。
サステナブルとは
サステナブルとは英語で「sustainable(=持続可能な)」という意味。持続可能な開発目標と呼ばれる“SDGs(Sustainable Development Goals)”は、国連が掲げた世界共通の活動目標であり、世界を変えるための17の項目が決められています。
そこでは「海の豊かさを守ろう」といった環境に関することから「ジェンダー平等を実現しよう」など、環境だけでなく、もっと広く暮らしを維持していくことを述べているのです。
エシカルとは
最近は“エシカルファッション”という言葉も聞く機会が増えました。エシカルは、英語で「ethical(=倫理的)」を意味し、フェアトレードやオーガニック素材を採用した商品などが該当します。環境のみに焦点をあてたエコとは違い、商品を作るために働く人にも配慮するのがエシカルです。
エコ・サステナブル・エシカルの3つの言葉の共通点は、地球に配慮していること。ニュアンスが重なっている部分もありますが、違いを知っていると商品やコンセプトに託されたメッセージを読み取ることができますね。
ユニクロ&GUで共通するサステナビリティ活動をチェック
ここからは、ファッションブランドが独自に行っているサステナビリティ活動をご紹介します。まずは、ユニクロとGUで共通して行われている活動を説明します。
全商品リサイクル回収
ユニクロもGUも、店舗には常時リサイクルボックスが設置され、服から服へのリサイクルを目指し、またリユースする取り組みも実施。
ショッピングバッグを紙製に変更
使い捨てプラスチックを減らすため、ショッピングバッグを、FSC認証(森林認証)(※1)を受けた紙または再生紙が使われた紙製のショッピングバッグに変更。
なお、ルームシューズやサングラス、キッズ商品などに使われるパッケージのプラスチックを減らす動きも進めているそうで、他の商品も、プラスチックの使用量を最小限に抑えたものを開発中とのことです。
※1 環境保全と持続可能性の観点から、適切に管理された森林から生産された原料で製造された製品であることを示す認証。
水資源と環境に配慮したジーンズづくり
ユニクロ・GUともに、通年売れているデニム。両ブランドとも、水資源と環境に配慮したデニムづくりを目指しています。
ユニクロはデニムを制作する際に、水の使用量を従来に比べ99%削減(※2)した「ブルーサイクル」という技術を取り入れています。ヴィンテージライクな加工を施す工程で手作業ではなくレーザー加工に変更することで、地球にも人にもやさしい取り組みをしています。
※2 仕上げ加工時
環境負荷に配慮した配送方法
オンライン購入時は、自宅だけでなく店舗受取りや、コンビニ受取りを実施。それが、CO2排出量の削減につながり、ドライバー不足の問題をカバーする動きにも繋がるとのこと。
また、店舗受け取りにすると、配送用段ボールなどの資材の削減等も期待できますね。
GUのサステナブルな活動をチェック
続いては、GUで行われている特徴的な取り組みを紹介します。
ジーユーマイルを通じてサステナビリティ活動を支援
GUで買い物をすると、ジーユーマイルを貯めることができます。1マイル=1円に換算され、サステナビリティ活動を行う『GU』のパートナー団体へ簡単に寄付もできます。
>>>もっと詳しく!
ただ服を捨てるじゃもったいない…! 【GU】の知って得する「エコな裏ワザ」
使い捨てプラスチック削減活動
GUには、「REPREVE®」という素材を使った商品があり、ペットボトルを資源とした高品質の再生ポリエステル繊維素材で作られた商品開発にも注力しています。
顧客の声をもとに商品開発
トレンドや今の気分にマッチした商品開発を目指し、リアルな顧客の声をもとに商品化をすすめる「GU LAB」プロジェクトを発足しています。
‟靴のオシャレで我慢をさせない”「SHOES LAB」(シューズラボ)や、 ‟インナーでお悩みを解決する”「BODY LAB」(ボディラボ)など幅広い開発を続け、無駄のない商品作りがされています。
ユニクロのサステナブルな活動をチェック
シンプルで高い機能性を持ち、質の高い服作りを目指し、長く愛用できる商品作りを目指しているユニクロ。
環境負荷に配慮した商品開発
ダウンとフェザーの調達
ユニクロでは、動物に配慮した方法で育てられ採取されたダウン・フェザーを使う取り組みを進行中。水鳥が生きている状態でのダウンやフェザーの採取を禁止するなどしながら、責任ある原材料調達によって生産されたダウン製品を提供しています。
リサイクルポリエステル繊維から生まれた服の開発
飲み終わったペットボトルで生産された糸など、最新技術を使った新しい服を作っています。
ペットボトルから作られた服の代表的なものは、「ファーリーフリース フルジップジャケット」。このほかにも、「ポケッタブルUVカットパーカ」は、生地の41~54%にペットボトルを再生したリサイクルポリエステル繊維を使って作られました。廃棄物や石油資源使用量も大幅にカットした商品とのことです。
衣料品の大量生産・大量廃棄の問題に対して
ユニクロは、高機能かつシンプルでタイムレスな服作りに強みを持つブランド。見た目や機能性、価格のことだけではなく、服をつくる過程で生地をムダにしない、原材料となる資源や工場で使う水や電気をムダにしないなど、環境のことを考えた服づくりにも取り組んでいるとのこと。
しまむらのサステナビリティ活動をチェック
最後に、しまむらで行われているサステナブルな活動の中から、消費者である私たちが身近に感じられることを紹介します。
余剰在庫の廃棄ゼロ
しまむらでは、商品を最後の1枚まで売り切ることを目標としており、不良品を除く余剰在庫の廃棄処分は行われていないとのこと。過去の実績を分析して、余剰在庫が減るように仕入れるなどの改善が行われています。
そして毎週、全店舗の商品動向を分析し、適切な値下げを行うことで余剰在庫ゼロを目指しているのだとか。
ハンガーは色に注目
しまむらは、資源のリサイクル推進も積極的。各店舗で出るハンガーや段ボール、ビニールなどのリサイクル資源をリサイクル業者に持ち込み、再資源化を行っているとのこと。
特に、ライトグレイ色のハンガーは、再びしまむらで使用するハンガーへリサイクルされる「循環型経済(サーキュラーエコノミー)」を実現。
買物袋は1円で回収
しまむらの買物袋は、植物由来の原料を配合した環境にやさしい素材を使用。無料で配っていますが、使用後の買物袋を、1枚あたり1円で回収しています。
その買物袋は、再生プラスチック製品にリサイクルされています。
リサイクルしてできた服の活用やエコバッグの推進などは、わかりやすい活動ですが、原材料の調達や輸送方法、在庫の廃棄をなくすための工夫にまで広範囲に及んでいるのが「サステナブル」な取り組みと言えるのでしょう。
ファッションライターとして活動する筆者でも知らないことがたくさんありました。未来や地球のために、サステナブルな取り組みを実施しているブランドのことをもっと知り、アイテムを選ぶときの参考にできるといいですね。
【参考】
『しまむら』公式ホームページ
『GU』公式ホームページ
『ユニクロ』公式ホームページ
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