
手前・「ボンボンショコラ セレクション」6個入り¥2,916。左から、ピスターシュ、カラティール ノワール(しばらくはガーナ産。その時ベストなカカオで作る)、カカウェット(ピーナッツプラリネ)、キャラメルブールサレ(塩キャラメル)、クール(フランボワーズ)、パッション。奥・タブレットショコラ「フェネラ」から「タンザニア」¥1,620。ほかにスパイス香とナッティさが調和する「ガーナ」、ベリー系の華やかな果実感と力強さを持つ「マダガスカル」も。
「鮮明な果実味と香りに、カカオが果物であることやチョコレートの奥深さを思い知りました」。パティスリー『レタンプリュス』の熊谷治久シェフを駆り立てたのは、一枚のビーントゥバー(※)。以来、自身のチョコをお菓子に使いたいと研究を重ね、ついに工房まで建ててビーントゥバーの新ブランドを始動した。信条はカカオの香りを引き出すこと。そのためにローストで香りを磨き、抽出するなど手を尽くす。焼きすぎは繊細な香りが消えてしまうから塩梅が大事。「なかでも『タンザニア』はネガティブな酸味やえぐみは飛ばし、その裏にある香りをキレイに出せました」。齧ると青リンゴみたいな爽やかな酸味がじわりと広がり、ハーブを思わせる清らかなニュアンスが重なる。なんて心地いいんだろう。
さらにタブレットに留まらない、その先がパティシエの真骨頂。ボンボンショコラ「カラティール ノワール」を舌に溶かせば、ガーナ産カカオのスパイス香や蜂蜜に似たコクから、華やかな果実味が顔を出す。プラリネは挽いたそばから使って、フレッシュな香りをとじこめて。ピスタチオなら生と焼いたものを合わせ、香ばしさと杏仁ぽいビター香を両立。口にするとたちまち凝縮したピスタチオの香りが溢れだす。今後は『レタンプリュス』の生菓子にも少しずつ自身のチョコを。カカオの楽しみは止まりません!
※カカオ豆から一貫して作るチョコレート。
PROFILE プロフィール
chico
チコ スイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。
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CALATIR Lab.店
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anan2438号(2025年3月12日発売)より