極上マドレーヌやタルトショコラ…気鋭のパティシエたちによる、魅惑のチョコスイーツ

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2023.01.22
お菓子の世界に新風を巻き起こす4人のパティシエが、今年新しく創り出す、魅惑のチョコレートスイーツ。それぞれの個性とこだわり、創造力のつまった、“ひと味違う”お菓子と新進気鋭の才能をご紹介します。

自他ともに認める“職人”が焼き上げる極上マドレーヌ。

feuquiage(フキアージュ)◆調布

畠山和也シェフ

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横の繋がりが多いパティシエ界で、他のシェフたちに畠山和也さんのことを尋ねてみると、多くのシェフたちが“彼は職人”と言う。そんな畠山さんが’21年11月に開いた『フキアージュ』には、美しいプチガトーたちに引けを取らない存在感で、焼きたての焼き菓子がずらり。「子どもの頃から、特にクッキーを作るのが好きだったこともあって、自然と焼き菓子が得意になりました」と話す畠山さんのスペシャリテは、フィナンシェとマドレーヌ。

「焼き菓子はシンプルな分、ごまかしが利きません。特に素材の良し悪しは素直に出るので、素材は全部こだわって自分で選んでいて、いいものを使っているという自負はありますよ。例えば、バターはフランス産の発酵バターのみ。卵は栃木の山麓卵。今回のバレンタインにお出しする『チョコレートのマドレーヌ』に使うチョコレートは、香りの強いコロンビア産のものを選びました。そこに、僕の故郷・宮城県気仙沼で作っているまろやかな味わいの塩を加えています」

素材だけでなく、マドレーヌの型にも並々ならぬこだわりが。

「一般的なものと比べて、1.5倍くらいの深さがある型なんです。深いことで生地に膨らみが出て、軽く焼き上がる一方で、しっとりさも残してくれる。サラサラとした口溶けのよさとしっとり感を両立させた理想のマドレーヌを多くの人に味わってほしいです」

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「チョコレートのマドレーヌ」1個¥320。理想のマドレーヌ型と出合うまで、国産からフランス産、業務用の型など、とにかく数多く試したそう。「チョコレートのマドレーヌ」は、チョコレートを多めに、カカオパウダーを少なめに配合することで、絶妙な軽さとしっとり感の両立を実現。焼きたての香りが広がる店内には、目移りするほど美しいプチガトーの数々も。

feuquiage(フキアージュ) 東京都調布市小島町1‐2‐5 アジャンタ調布2 1F TEL:非公開 11:00~19:00(日・祝日~18:00) 月曜休(臨時休業あり)テイクアウトのみ https://www.instagram.com/feuquiage/

はたけやま・かずや 『エコール・クリオロ』などを経て、インドネシア・ジャカルタの高級パティスリーでシェフパティシエを務め、2021年11月に独立。

お菓子ひとつひとつに、みんなの笑顔を思い浮かべて。

LA NOSTALGIE(ラ・ノスタルジー)◆新宿

江藤英樹シェフ

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昨年3月に、『ラ・ノスタルジー』をスタートさせた江藤英樹さん。

「『ラ・ノスタルジー』では、“郷愁”といった意味の通り、どこか懐かしく、日常に寄り添うお菓子を出していこうと考えていました。が、食べてくださるお客様の反応を見るうちに、モダンにアップデートされてきて…(笑)。でも、生産者さんが作ってくださった素材を大切にしながら、それを上手くお菓子に表現してお客様に伝える、という軸は変わらず持ち続けています。素材を作る人、調理する人、食べる人、お菓子作りの過程に関わるすべての人が幸せになるのが一番。僕、人を喜ばせるのが好きなんです」

“喜んでほしい”という想いは、今年のチョコレート菓子にもたっぷりと込められている。

「『タルトショコラ“カミーノベルデ”』は、中だけでなく、上にもいっぱいチョコレートがのっていたら嬉しいだろうなと思って作りました。モコモコとしたクリームは、ガナッシュを泡立てて空気を含ませ、軽い口溶けのクリームに仕立てています。『フィナンシェ ショコラ』は、『ラ・ノスタルジー』で好評のフィナンシェをチョコレート仕様に。『クープ ショコラフレーズ』は、チョコレートに負けない濃厚な味わいの『あまりん』という苺がポイント。中のクリームも限界まで柔らかくしていて、出来たてのようなフレッシュさを再現。多くの方に食べてほしい!」

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「タルトショコラ“カミーノベルデ”」¥756。3品共通で使われるチョコレートはエクアドルの『ノエルベルデ』から。

LA NOSTALGIE(ラ・ノスタルジー) 東京都新宿区新宿3‐14‐1 伊勢丹新宿店本館B1 TEL:03・3352・1111(代) 10:00~20:00 休みは施設に準ずる テイクアウトのみ

えとう・ひでき 『ドミニク・ブシェ トーキョー』など、フランスと日本の名店を経験。2021年、自身のスイーツブランド『ペイサージュ』を立ち上げる。

パティシエだからこそできる自由な発想のショコラを。

la boutique de yukinoshita kamakura(ラ・ブティック・ドゥ・ユキノシタ・カマクラ)◆鎌倉

佐々木 元シェフ

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『パティスリー・ユキノシタ・鎌倉』の新ブランド『ラ・ブティック・ドゥ・ユキノシタ・カマクラ』が昨年10月にリニューアルオープン。店頭のお菓子もリニューアルされ、同年4月にシェフパティシエに就任した佐々木元さんのお菓子がショーケースに並んだ。

「ここでしか味わえない非日常的なものを、お出ししたいと思っています。クラシックなケーキでも自分なりの個性があって、一見、ありきたりにも思えるシンプルな組み合わせなのに、“なぜかおいしい”と感じてもらえるものを作り続けていきたいなと」

今年のバレンタインに向けて、佐々木さんが新しく作ったのは、『ボンボンショコラ』『フォンダンショコラ』『フランボワーズとバラのテリーヌ』。

「僕の作る『ボンボンショコラ』はパティシエの発想でアプローチしていて、カカオ感よりも素材のマリアージュで生まれる香りと食感を大事にしています。『フォンダンショコラ』はラムレーズンと紅茶、2種のフレーバーを用意。寒い季節なので、温かいものを食べてほしいなと試作を重ねました。『フランボワーズとバラのテリーヌ』は、島根県奥出雲のバラ『さ姫』とフランボワーズを合わせた新作。プチガトーのように何層も作っているので、香りだけでなく食感も楽しんでほしいですね。もうどれも『うまいのできたから、食ってくれ!』っていう気持ちです(笑)」

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『フランボワーズとバラのテリーヌ』¥1,800。パート・ド・フリュイ(ゼリー)、ホワイトチョコレートのガナッシュ、フランボワーズのコンフィチュールなど様々な食感の層が重なる。

la boutique de yukinoshita kamakura(ラ・ブティック・ドゥ・ユキノシタ・カマクラ) 神奈川県鎌倉市小町2‐12‐25 TEL:0467・53・9692 10:00~18:00 不定休(臨時休業あり) イートインスペースあり https://yukinoshita.info

ささき・げん 人気パティスリー『マテリエル』の林正明シェフの下で学ぶ。昨年4月より、シェフパティシエ兼『パティスリー・ユキノシタ・鎌倉』の統括に就任。

素材を知り、おいしく食べ、作り手に想いを馳せる体験を。

BIEN‐ETRE MAISON(メゾン ビヤンネートル)◆代々木上原

馬場麻衣子シェフ

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『パティスリー ビヤンネートル』を営む馬場麻衣子さんが、“心地のいい空間で、出来たてを食べる楽しみを叶える場所”として、昨年5月に開いた『メゾン ビヤンネートル』。

「ここなら温度差のあるデザートもお出しできますし、『これまでできなかったことができる』とワクワクしています。実は、今年のバレンタインに作る『フォンダンショコラ』もずっとやりたかったことの一つ。同じ生地の中で、カリッとした部分と中の流れ出るようなトロッとした部分がある、私の理想のフォンダンショコラをお出しできれば」

“作りたい”と想像し続けたものを形にした「フォンダンショコラ」は、「レモンティーとショコラを食べているようなイメージ」で創作したのだとか。

「口に入れた瞬間はチョコレートのビターな香りを感じるのですが、鼻に抜けていくのは中に仕込んだアールグレイ。添えたレモンバニラのジェラート、レモンカード、レモンのコンフィチュールと合わさって、レモンティーのような香りを楽しんでもらえたら。軽やかに召し上がっていただけるのも特徴です」

使われるレモンにもこだわりがある。

「愛媛県大三島の農家さんたちが丹精込めて作った『神の島レモン』を使っています。このレモンのおいしさと、生産者の熱いこだわりを多くの人に味わってもらって、伝えていきたいですね」

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「フォンダンショコラ」¥1,200。馬場さんの構想デッサンを経て、形になった自信作。使用する「神の島レモン」は酸味だけでなく甘味もあり、レモンが“フルーツ”であることを実感する味わい。「私がフルーツに興味を持ったきっかけも、実はこの『神の島レモン』なんですよ」。コンフィチュールにはレモンのワタの部分も余すことなく使い切り、フードロスを減らす取り組みに。

BIEN‐ETRE MAISON(メゾン ビヤンネートル) 東京都渋谷区上原1‐17‐11‐3F TEL:03・5738・8827 11:00~19:30(19:00LO) 不定休 イートインのみ https://www.instagram.com/bienetre.maison/

ばば・まいこ 独学でお菓子の道へ進み、各地のレストランで経験を積む。2010年に『パティスリー ビヤンネートル』、’17年に『FLOTO』を開業。

※『anan』2023年1月25日号より。写真・清水奈緒 yoko 構成・菅野知子 取材、文・間野加菜代

(by anan編集部)

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