全23冊の名作&話題の本が登場! “本の虫”の少年が読書を通して悩みを解消

エンタメ
2023.10.17
読書好きな加藤家の末っ子、剣くんは、スパルタおじいちゃんの薫陶を受け、小学4年生のときには立派な本の虫に。古今東西の名作や話題の本を介して、たくさんの気づきを得る。『本の虫 ミミズクくん』は、学校でミミズクくんというあだ名で呼ばれる彼の、本への熱意と、どんなことにも懸命に取り組む健気さに打たれるコミックだ。その著者がカラシユニコさん。

古今東西の名著を味方に、本が大好きな少年が、悩みと向き合う。

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「主人公が毎回違う本を読む話、しかもその主人公が小学生だったら面白いかも…というところからスタートしました。主人公が小学生だからといって“やわい”マンガにはしたくなかったので、ミミズクくんのキャラクターをとことん地味でアンニュイに、でも特徴あるビジュアルにしよう、家庭も厳格にしよう、とひとつひとつ設定を考えました」

作中で引用される本や名フレーズは、カラシユニコさんが過去に読んだ愛読書のほか、担当さんに推薦してもらって読んだものなども。

「あくまで読書のある“日常”を描きたかったんですね。ただ、ミミズクくんは毎回何かしらで悩んでいる。その悩みが引用文に後押しされて解消する流れが見えたとき、物語をまとめるのはとても爽快で楽しい作業でした。逆に引用文が内容と全然合わないときは、本を読み返して合う引用をひたすら探すか、一から別の本、別の話題に変更するかをしなければいけなかったので、そのときは大変でした(笑)」

読書に熱中しているミミズクくんは光って見えるのだが、その謎も3巻でいよいよ解かれる。

「連載を開始した当初は、読書を心から楽しんでいる様子の心象風景にすぎなかったのですが、彼以外にも見えている現象だとわかってきた。となると、『光る理由がちゃんとあってもいいかな』と考えるようになっていきました。連載終了にあたって、“光る理由”を明らかにすることは最終話にもってこいのテーマではないかと思い当たりましたし、名前だけ登場させて存在を仄めかしていたおばあちゃんの伏線回収の懸案もありました。そのふたつを絡めたエピソードなので、ぜひ読んでもらえたらうれしいです」

ずっとミミズクくんの成長を見守っていきたかったが、惜しまれつつこの巻で完結。

「ミミズクくんが読んだ本を買って読んだ、あるいは再び手にとって読んだ、という声をちらほら耳にしたのは想定外の反響でした。登場した全23冊を読破するとか、物語の舞台である横浜市の菊名駅周辺を本片手に散策するとかも、余韻に浸る楽しみとなるかもしれません」

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カラシユニコ『本の虫 ミミズクくん』3 3巻で取り上げる本はモーム『月と六ペンス』、吉本ばなな『キッチン』ほか。後半、中学生になったミミズクくん。青春の甘酸っぱい物語が増えるのも◎。小学館 715円 ©カラシユニコ/小学館

カラシユニコ マンガ家。神奈川県生まれの帰国子女。2014年、第74回小学館新人コミック大賞〈青年部門〉で佳作を受賞しデビュー。他の著作に『メメント飛日常』が。

※『anan』2023年10月18日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)

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