すれ違う友情が切ない余韻を残す、息もつかせぬホラー×ミステリー。新名智さんの『きみはサイコロを振らない』をご紹介します。
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〈呪われたゲームがあるんだって。遊ぶと死ぬ、とか〉。同級生でガールフレンドの霧江莉久(きりえ・りく)に、都市伝説めいたゲームを探そうと誘われた高校生の志崎晴(しざき・はる)。実際に3人の男性がプレイした後で亡くなっており、噂のゲームが混入したソフトの山は、ある因縁があって、雨森葉月(あめもり・はづき)の住まいに運び込まれていた。葉月は莉久が心を許している無二の存在で、呪いについて研究している大学院生。半信半疑だった3人だが、あるときから晴は〈黒い影〉を見るように。かくて、晴、莉久、葉月は問題のゲームを探さなくてはいけなくなる。

死を招くゲームはどれなのか。その呪いは解けるのか。新名智さんの『きみはサイコロを振らない』はそんなぞくぞくする設定で描かれる。

「ゲームをテーマにしたいと前から考えていました」

呪いのゲームを特定しようと始まった推理は、呪いが発動するには条件があるのではないか、実はいくつもあるのではないか…等々、一種のロールプレイングゲームのよう。晴たちが向き合わなくてはいけない課題が変遷していき、それがゲームというものの本質にも迫っていく。

「ゲームをテーマに書くなら、単に、主人公たちがゲームを遊ぶとかゲームの中に入り込む話ではなく、“ゲームとは何か”を分析的に解き明かす話にしようと思っていました。そのときには、ちょっとアドベンチャー的な要素も入れて、主人公たちががんばって新しい道を開いていくみたいな感じを出したいなというのもありました」

実は晴には、心にのしかかっている出来事がある。中学時代の友人・雪広(ゆきひろ)が死ぬ前に会ったのが自分だったからだ。ゲームに疎かった晴を誘い、その楽しさを教え、〈人生なんて、しょせんはゲームだ〉とうそぶいていた雪広。彼の死の真相が呪いのゲーム探しのパラレルなストーリーとして走り、読者を揺さぶる。

「晴がゲームを追いかける理由が必要だなと考えていて、雪広という存在が出てきました。ふたりの関わりを見ても、現実社会でのゲームの盛り上がりを見ても、ゲームって人と人とをつなぐものというか、人の間にあって初めて意味が出るものなのだなとあらためて感じましたね」

晴だけではなく、莉久も葉月も癒えない傷を抱えている。少しずつ変わる彼らを見届けてほしい。

『きみはサイコロを振らない』 ゲームは現代のものと思われがちだが実は神話にも通じる世界。古典とのつながりを葉月が語る、新名さんらしい考察部分も興味深い。KADOKAWA 1815円

book2

にいな・さとし 1992年生まれ、長野県出身。大学時代はワセダミステリクラブに所属。2021年「虚魚」が横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈大賞〉を受賞し、デビュー。他の著作に『あさとほ』。撮影・鈴木慶子

※『anan』2023年6月28日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)

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