意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「民主主義の歪(ひず)み」です。

歪みが生まれたもとにあるのは、果てなき欲望。

Social

香港をはじめ、世界中で政府に抗議をするデモが行われています。フランスの黄色いベスト運動は1年以上続いていますし、南米チリでは地下鉄の値上げを発端に、抗議運動が暴徒化しました。昨年、ベルリンの壁崩壊から30年がたちましたが、せっかく自由を得たというのに、旧東欧諸国には民主主義を否定する声も上がっています。

なぜ、民主主義にこのような歪みが生じてしまったのか。理由のひとつには、グローバル化により、世界における経済の回る速度がものすごく速くなったことが挙げられるでしょう。ベルリンの壁崩壊のころに比べ、金融の仕組みも変わり、インターネットを使ったサービス、流通網が世界に広がりました。人も情報もお金もスピードを増して行き交います。そんななか、多くの民の意見をぶつけあいながら物事を地道に進めていく民主主義は、決定までに時間がかかる。それよりも強い決断力を持つ国家元首の存在が、国民生活の向上には必要だという空気を生み、アメリカンファーストのトランプ大統領や、EUからの離脱を目指す英国のボリス・ジョンソン首相が生まれ、中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領が盤石の体制を築きました。

しかし、それはあくまで経済発展を基準にした価値観です。独裁的なトップのスピーディな決定により、開発のために個人の土地が強制的に奪われるようなことが、カンボジアやアフリカや南米で起きています。個人の尊厳に価値を置いて世界を見渡せば、個人が国家に弾圧されている状態。それは、民主主義が欲望に耐えられなかった結果なのだと思います。賃金格差が広がり、教育格差が固定されてしまうと、階層社会の下層に追いやられてしまった人は、這い上がることができなくなります。生活の安定を求めて共産主義的なものを求める貧困層と、資本を持ち、大きな力で帝国を築こうとする国家主義がぶつかりあう。これは、第一次世界大戦、第二次世界大戦の始まるころの構図とよく似ているのです。

[gunosy]
→2020年1月12星座占い! 危険!「ドロ沼恋愛運」の星座は?もチェック!![/gunosy]

いま個人に最も必要なのは、自分の尊厳を維持できるかどうか。「仕方がない」と魂を売らずに、誇りを持って自分を大切にしてほしいなと思います。

hori

ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。映画『わたしは分断を許さない』(監督・撮影・編集・ナレーション)が3月7日公開。

※『anan』2020年1月22日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

エンタメ-記事をもっと読む-_バナー

生理中こそ温活!…キモは生理用ショーツとオーガニックナプキン

Share

  • twitter
  • threads
  • facebook
  • line
ライフスタイル

Recommend

こちらの記事もおすすめ

Today's Update
クリエイター・Ame LIFEの上質なご自愛「完成した時よりも編んでいる最中が楽しい」
クリエイター・Ame LIFEの上質なご自愛「完成した時よりも編んでいる最中が楽しい」
Lifestyle
Today's Update
俳優・恒松祐里の上質なご自愛「編み物は脳をリセットできる特別な時間です」
俳優・恒松祐里の上質なご自愛「編み物は脳をリセットできる特別な時間です」
Lifestyle
Today's Update
獣医師が教えてくれた“猫に腸活(※1)”のススメ 毎日食べるフードで始める愛猫の腸活(※1)習慣!
獣医師が教えてくれた“猫に腸活(※1)”のススメ 毎日食べるフードで始める愛猫の腸活(※1)習慣!
Lifestyle
PR
【anan総研】自炊健康のため、節約のため…。みんな、普段から自炊してる?
【anan総研】自炊健康のため、節約のため…。みんな、普段から自炊してる?
Lifestyle

Movie

ムービー

Regulars

連載