昨年12月に開幕した、スキージャンプ女子W杯。全17戦で争われる個人戦の総合優勝を期待されているのが、21歳の高梨沙羅選手だ。昨季を含むW杯総合優勝4回、男女通じて歴代最多タイの53勝(’17年12月時点)を誇るジャンプ界の女王。その強さの秘密はどこにあるのだろう?
高梨沙羅

「彼女は本当に真面目で、努力をいとわない性格。体も小さく、運動能力に恵まれたタイプとはいえませんが、練習量に裏打ちされた技術の高さはそれを補って余りあります」

そう話すのは、スポーツライターとして第一線でトップアスリートたちを取材し続けている折山淑美さん。

スキージャンプは、空中姿勢や着地の美しさを表す「飛型」と「飛距離」を数値化した得点の合計で競う。それらを左右する重要な要素が、ジャンプの“飛び出し”だという。

「助走のスピードを、踏み切りでいかにロスしないかが大切。高梨選手は重心のかけ方が上手なので滑りから飛び出しまでがスムーズで、空中姿勢を作るのも早いため、減速が少ない。時速90km近い助走のスピードのなかで一連の動作をコントロールするのは、相当難しいはずです」

世界屈指の実力を持つ高梨選手だが、今季序盤は昨シーズンまでの勢いが影を潜め、不振も囁かれている。

「確かに、助走の感覚をつかむのに苦しんでいるようですが、調子の波は以前からありました。むしろ、昨季W杯総合3位のルンビ選手(ノルウェー)や今季好調のアルトハウス選手(ドイツ)など、他の選手たちが力をつけ、実力が伯仲してきていることが原因。以前であれば勝てた試合でも、今は少しのミスや風の条件で勝てなくなってきているんです」

しかし、そんな状況にあっても、「心配は要らない」と折山さん。

「表彰台を逃したソチ五輪では、関係者の大半が、優勝は高梨だと思っていました。それだけの“勝って当然”のプレッシャーの中、彼女は戦っていたんです。だからこそ逆に今、勝敗が本当にシビアになっている中では、余計な重圧から逃れて自分のすべきことに集中できていると思います。2月の平昌五輪に向けて、今後調子を上げてくれると思います」

日本が誇る、もう一人の天才ジャンパー、伊藤有希選手にも注目!

「もともと高梨選手が有名になる前から天才少女といわれていましたが、海外の試合に出るようになってから日本にはない追い風のジャンプ台に苦戦。しかし葛西紀明選手が監督を務めるチームで男子選手とともに練習を積んだことが転機になり、技術とメンタル両面で急成長。昨季W杯総合2位など頼もしい活躍を見せています」

スキージャンプワールドカップ女子の個人戦は3月25日まで、全17戦で争われる。1月13日・14日には札幌で第7戦と第8戦が、19日・21日の第9戦と第10戦、20日の団体戦は蔵王で開催。NHK BS1などで放送予定。

※『anan』2018年1月17日号より。写真・YUTAKA/アフロスポーツ

(by anan編集部)


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