
漫画『ウェイバーズ』作者、山本和音さんにインタビュー。
自分の作品は昔から閉じられた場所が多いかもしれません
超能力者たちが集められた特殊な学園で、教師の変死体が発見される── 。山本和音さんの『ウェイバーズ』は謎解きに超能力というSFを掛け合わせた設定が魅力。思考力をぐいぐい刺激してくるコミックだ。外傷がないため、学園は教師・松本の自殺として処理しようとしたが、松本に心を許していた生徒・藤は殺人だと確信。犯人捜しを決意する。
「藤の持つ超能力は〈嘘を見抜く〉ことです。探偵役として心強い能力に見えますが、藤にはふたつの制約があるんですよね。まずは、相手に触れなければ見抜けないこと。もうひとつ大きいのが、生徒全員が藤の能力を知っていることです。事件に関わっている関わっていないを問わず、人はみな秘密を抱えていますから、嘘を見抜く藤のような人間と話したくはないはず。藤はそういった障害を乗り越えながら調べていく、その困難さがあります」
初めの段階で、教師は犯人ではないことは明示され、同時に、何らかの超能力を持つゆえに生徒28人はみな容疑者となる。
「自由に読んでほしいという気持ちが前提ですが、もし読みながら事件を解く側に立つ人がいるなら、最初から全員の能力を紹介しておくべきだと思いました。それが“能力者ミステリー”として最低限のフェアさを保つことになる。そんな意図が大きかったかもしれませんね。また、28人は容疑者であると同時に学校の同級生です。『追及を逃れるため』『邪魔するため』『かき回すため』あるいは『協力するため』など、それぞれに高校生らしい思惑と立場がある。描いていく上では、彼らひとりひとりの狙いに沿った活かし方をしていくのだと思います」

Ⓒ山本和音/KADOKAWA
藤は、集団から少し距離を置く、「孤独を友とする」ような人物だ。
「基本的には人から厭悪される能力ですからね。しかし28人もいれば百というキャラのように『逆に興味が湧いた』と言ってくる協力者も出てくるかなと。藤が孤独で居続けることが難しい状況に陥ったとき、面白い展開になるのでは、と思いました」
山本さんは、『生き残った6人によると』という作品で、ゾンビから逃れるためショッピングモールに閉じ込められた男女を描き、本作では閉ざされた学園を舞台にした。
「確かに自分の作品は昔から閉じられた場所が多いかもしれません。限られた時間で考えなければならない連載という形では、発想のとっかかりにもなります。加えて、自分は演劇が好きなのですが、見えている範囲で行われる物語は読者や観客と一体感が増すような気がします」
続きが楽しみでしかたない。
Profile
山本和音
やまもと・かずね 千葉県出身。大学卒業後に漫画アシスタントやアルバイト生活を経て2016年『ハルタ』で「星明かりグラフィクス」を初連載。
漫画『ウェイバーズ』1巻
松本先生には〈心が読める〉能力があった。それは誰にとって邪魔だったのか。28人がそれぞれの能力で事件と向き合うノンストップ超能力ミステリー。
KADOKAWA 946円
anan 2514号(2026年10月7日発売)より
































