写真・市原慶子(モデル) 小笠原真紀(座談会) スタイリスト・中根美和子 ヘア&メイク・浜田あゆみ(メランジ) モデル・冴島理映 イラスト・加納徳博 取材、文・石飛カノ 板倉ミキコ PR・脳腸相関LABO.
BRAIN & INTESTINE, 気になる「脳腸相関」とは?
腸は第二の脳とはいうけど、脳と腸の関わり方は、他の臓器とは違っているよう。その仕組みを解説します。
─ 教えてくれた人 ─
大竹真一郎先生 おおたけ・しんいちろう おおたけ消化器内科クリニック院長。消化器を中心に患者の診察に当たる。『腸の「吸収と排出」が健康の10割』(ワニブックス)など著書多数。
和田清香さん わだ・きよか ウェルネス&ダイエットエキスパート。約350種類のダイエット法を体験。15kg減量した経験を生かし、健康美を叶える食・運動・生活習慣をアドバイス。
「医学的には脳と腸、腸内に100兆〜1000兆個あるといわれる腸内細菌の3つが情報をやり取りしていることがわかっています。自律神経、ホルモン、腸内細菌が作り出す物質などによって情報がやり取りされているのです」(消化器内科医・大竹真一郎先生)
ストレスを感じるとお腹が下るというのも典型的な脳腸相関。
「また細菌バランスにはさまざまなパターンがあり、それが病気と関わること、さらには太りやすい太りにくいという体質にも腸内細菌が関係することがわかりました」
ならば、脳腸相関をボディメイクに役立てることができる!?
Q&A STUDY ── 脳と腸と体脂肪の関係をもっと詳しく知りたい!
Q1:普段通りの生活なのに、少しずつ太っているのは、なぜ…?
「原因のひとつは20代後半から基礎代謝や筋肉量が落ちていくこと。基礎代謝は呼吸や体温の維持など生きるために最低限必要なエネルギーですが、筋肉量が減ることでその量も減ってしまいます」(ダイエットエキスパート・和田清香さん)
使うエネルギー量が減ったのに食事量が変わらなければエネルギーは余り、体脂肪に。
「20代後半は結婚の選択や仕事の面など、さまざまなストレスがかかる時期。ストレスで脳腸相関のバランスが乱れると、腸の活動が悪くなってビタミンB群など代謝に必要な栄養素をうまく吸収できません。栄養不足で太ってしまうということも」
バランスが崩れると脂肪として蓄積される。
Q2:脂肪はすべて、悪者なの?
「女性は皮下脂肪、男性は内臓脂肪がつきやすいといわれています。内臓脂肪は生活習慣病を引き起こしますが、皮下脂肪はあまり悪さをしません。でも必要以上に溜まるとカラダのラインが崩れがちに」(和田さん)
そう考えると、どちらも健康と美しいボディラインという視点では悪者。
「これらはエネルギーを蓄積する働きをする白色脂肪細胞。一方、脂肪にはエネルギーを熱に変えるものも。肩甲骨の周りに少しだけある褐色脂肪細胞、白色脂肪細胞から褐色脂肪細胞と同じような働きをする脂肪に変化したベージュ脂肪細胞です」
褐色とベージュはボディメイクの味方。ちなみにベージュ脂肪細胞は寒い環境にさらされると増えるそう。薄着が有効?
左から…
ベージュ脂肪細胞…白色脂肪細胞が褐色脂肪細胞に似たような働きをする細胞に変化したもの。寒冷刺激によって増えることがわかっている。
褐色脂肪細胞…エネルギーを取り込んで熱として使う脂肪細胞。赤ちゃんの時は全身にあるが、大人になると肩甲骨周辺に少し残るだけ。
白色脂肪細胞…細胞の中に中性脂肪を溜め込んでどんどん大きくなる脂肪細胞。太るということはこの白色脂肪細胞が増えるということ。
Q3:食事量を減らせば、脂肪を減らせる?
「食事制限は半年くらいしか続きません。アメリカの調査では食事制限によるダイエットをした人のうち約80%がリバウンドするというデータも。長年飢餓にさらされてきた人間は基本的に食べられない時のために脂肪を溜め込もうとしますし、食事制限をすればカラダが身の危険を感じて反動でリバウンドします。だから、腸内細菌のバランスを良くすることがボディメイクのアプローチとしておすすめなんです」(大竹先生)
やみくもな食事制限に走る前に、腸内環境を整えるようなライフスタイルを意識すれば、リバウンドとも無縁。
「まずは食生活をはじめとする規則正しい生活リズムを心がけること。さらに腸を刺激したり自律神経を整える運動を取り入れましょう」(和田さん)
Q4:腸の中で作られる、短鎖脂肪酸って?
「短鎖脂肪酸は体内でさまざまな働きをしています。まず、大腸の粘膜のエネルギーになります。また、腸の中を弱酸性の環境にして外から入ってくる細菌などを排除するバリア機能を高めます。さらに、食欲を抑えるホルモンの分泌に関わっていたり、血液中の糖質を細胞に取り込んで余らせない働きもしています」(大竹先生)
短鎖脂肪酸を増やすためにできることは食生活を整えること。
「多品目の食材を食べて腸内細菌の多様性を保つ。動物性脂肪や糖質の過食は悪玉菌を増やすので、食べすぎないことが重要」
短鎖脂肪酸の増加を促す左のような食材にも注目を。
食物繊維…ゴボウ、玄米などに含まれる不溶性食物繊維。海藻に含まれる水溶性食物繊維。これらは大腸に届き、善玉菌のエサとなる。
発酵食品…ヨーグルト、キムチ、チーズ、味噌などの発酵食品に含まれる乳酸菌やビフィズス菌が腸内に定着すれば善玉菌が優勢に。
オリゴ糖…バナナ、大豆製品、はちみつなどに含まれるオリゴ糖も腸内の善玉菌のエサになり、分解されることで短鎖脂肪酸が増える。
HEALTH CHECK ── 理想のボディメイクを始める前に、まずはあなたの「脳腸健康度」をチェック。
脳腸ダイエットの鍵は、カラダを健やかに保つための生活習慣。あなたは日頃どのくらい、脳と腸にいい生活が送れている? まずは下のテストで振り返ってみて。
マーク(♥,■,▲,●,♦,♠)の中で、数が一番少ないのはどれでしょう?
♥いつも頭が冴えている
♥新しいことを覚えられる
■お風呂は湯船に浸かるほうだ
■昔の洋服を着ることができる
▲姿勢は良いほうだ
▲歩くスピードは同年代に比べて速いほうだ
●毎日同じ時間に食事をしている(規則正しく食事をしている)
●よく噛んでゆっくり食べている
♦嫌なことがあってもすぐに忘れるようにしている
♦冷えを感じにくい
♠趣味や仕事など、生活にやりがいを感じることをしている
♠疲れにくい、疲れても回復が早い
脳&腸に効く
ライフスタイルアドバイス。
「ジョギングなどのリズミカルな有酸素運動は自律神経のバランスを整えるといわれています。また、朝起きた後、太陽の光を浴びて朝食を摂ることで、交感神経と副交感神経のリズムが整うこともわかっています」(和田さん)
「多くの女性の方は、すっきり感がない、お腹の張りや痛みがあるなどの便秘症状を訴えています。便秘の場合、腸内環境が悪いので、善玉菌のエサとなる食物繊維を積極的に摂る必要があります。食物繊維を含む野菜は1日350g、1食分は手のひら1杯です」(大竹先生)
「20代後半以降は下半身の大きな筋肉が減っていくので、代謝をキープするためにも日頃から階段を使うなどの習慣を。オフィスではフロアの違うトイレに行くのがおすすめです。また姿勢を保つ体幹の筋肉を養うことも大事。私は家にいる時は1時間に一度、逆立ちをして体幹を鍛えています」(和田さん)
「糖質制限ダイエットでは、主食を抜く代わりに肉をたくさん食べます。減量には効果がありますが、腸内環境が乱れて短鎖脂肪酸を作る細菌が減ってしまいます。糖質も動物性タンパク質も適量を摂ることが大事です」(大竹先生)
「人は胎児の時は無菌状態で、生まれる時に母親の菌をもらいます。腸内に菌を飼う理由のひとつは、外から入ってきた異物をやっつけてもらうため。腸内環境と免疫力は密接に関係します」(大竹先生)
大人になると食べ物や生活習慣で腸内環境は変わる。腸が喜ぶ食習慣&規則正しい生活習慣を。
「シャワーではなく湯船に浸かって体温を1℃上げると、睡眠の質が上がります。カラダの深部体温が上がり、その後体温がストンと下がることで眠りにつきやすくなるんです。お風呂が無理ならストレッチなどの運動でも。また、食事は寝る3時間前、カフェインは約5〜8時間前以降は口にしないこと」(和田さん)
CROSS TALK ── 美容コンシャスなあの人たちは、体脂肪とどう付き合っている?
日頃から太らないカラダをキープしているという3人。美容、食、ヨガのプロでもある彼女たちが実践する健康&美容法とは?
左から
小西さやかさん コスメコンシェルジュ。無駄な手入れを省き、時短でもキレイを叶える“なまけ美容”を提唱。日本化粧品検定協会代表理事。ameblo.jp/panntyann1/
渡辺由布子さん ヨガインストラクター。ヨガを教えながら、世界中を旅するアクティブ派。国内外の美容事情に精通している。ameblo.jp/yuko-watanabe/
北嶋佳奈さん 管理栄養士、フードコーディネーター。近著に『デパ地下みたいなごちそうおにぎり』(宝島社TJMOOK)など多数。ameblo.jp/kanagohan15/
きちんと食べて、健やかに体型を維持。
小西 そうそう。食べないやり方をすると、疲れやすいし、瑞々しさも失われてしまいますものね。
渡辺 私も体重計には頼らず、今、自分のカラダが動かしやすいかどうかってことを基準にしてます。普段からヨガでカラダを常に動かしているから、脚を上げた時にちょっと重くなったかも、とか変化がわかりやすくて。でも、旅先での食事や、友達との食事会は楽しみたいし。どうしても食べすぎてしまった翌日は、胃腸を休ませるために簡易的なファスティングをして調整します。信頼しているサロンで出してくれる酵素ドリンクを飲むと、胃もカラダも軽くなって気分が明るくなれるんです。
北嶋 胃腸を働かせすぎたら、少し休ませるって大事ですよね。腸の状態が悪いと、幸福感に関わる脳内物質も出にくくなると聞きますから、心の健康のためにも腸を整えておかないと。
小西 本当にその通り。ストレスが溜まるとお腹の具合が悪くなるし。私は出張や会食が多いから、ストレスコントロールが必須なんです。ここ数年お腹を壊しやすいのは、ストレスが原因なんだろうなって自覚しています。
北嶋 忙しい生活の中、食事はどんなことに気をつけていますか?
小西 夜はほとんど会食なので、朝、昼にできるだけ野菜や果物を摂るようにしています。朝はフルーツとヨーグルト。昼はサラダバイキングがあるお店を選びますね。
北嶋 果物や生野菜が多いと、カラダが冷えやすそうで心配…。
小西 言われてみればそうかも。すごく冷え症ですしね。
北嶋 朝にお味噌汁を足してみては? 発酵系で腸にもいいし、カラダも温まるはず。
小西 お味噌汁は大好き。インスタントを持ち歩いていて、小腹がすいた時に飲んだりしています。朝食にも加えてみようかな。
渡辺 食のプロの北嶋さんが心がけていることも知りたいです。
北嶋 納豆などの発酵食品は毎日食べますね。他には、手作りの甘酒にバナナや豆乳をプラスした、スムージーを毎朝飲んでます。
渡辺 美味しそう! 甘酒ってそんなに簡単にできるんですか?
北嶋 甘酒メーカーを使うから簡単なんですよ。あとは食物繊維。特に水溶性の食物繊維が不足しがちだから、海藻やネバネバ系のものなどを積極的に摂るようにしてます。そのおかげで、ここ数年は腸の調子がいいんです。
小西 それは羨ましい! 私は食事だけでは足りない分をサプリで補っています。特にビタミンCはマスト。美容のために必要だけど、気づいたらあまり不調を感じなくなったような気がしますね。
渡辺 私も、マルチビタミンのサプリにはお世話になってます。
< 北嶋佳奈さんの MY HEALTHY HABIT >
カラダに不必要なものは溜め込まずに排出する。
渡辺 デトックスせずに溜め込むと、体調不良の原因にもなるしね。
北嶋 私は水分をこまめに摂るようにしています。そうすることで代謝が良くなる気が…。喉が渇いてからだと遅いと思うので、少しずつ飲むのが習慣ですね。
渡辺 私もヨガをやる時は必ず水分を摂るし、まめに飲んでいるほうかな。嗜好品としてコーヒーは1日1杯飲むんだけど、それは水分とはカウントしません。しっかり水を飲むと、カラダの中の不要なものが排出されていきます。あと、私はお酒が好きなので、飲む時は特に水分はいっぱい摂ります。それでアルコールを排出するので、翌日には残りません。
小西 私は白湯をよく飲みますよ。お腹を冷やさないから、冷え症の私にはぴったり。あとは入浴も大事。夜はぬるめのお湯でゆっくり湯船に浸かります。リラックスできるし、じっくりカラダを温めてから眠れるので。寝る時には小豆入りの保温パッドを首まわりに敷くのも習慣。日中の頭の疲れがスーッと抜けていきます。
渡辺 首の後ろを温めると、自律神経のバランスが整うんでしょ? 仕事が忙しく、ストレスが多くかかっている人ほど乱れやすいはず。
小西 仕事や家事で疲れたカラダと頭をしっかり休ませないと、疲れは解消されません。私は、その日の疲れを翌日に残さないためには、やっぱり入浴が一番効果的だと思います。どんなに疲れていてもぬるめのお湯に入ってから眠るほうが、自律神経の副交感神経が優位になって、眠りの質が上がる気がするんです。逆に、朝は活動モードの交感神経にスイッチを入れるため、熱めのシャワーで心身をシャキッと目覚めさせてます。
渡辺 自律神経が乱れていると、代謝も悪くなって太りやすくなったり、便秘やむくみ、冷え症など、いろんなカラダのトラブルのもとになるから気をつけたいですよね。私はヨガを始めて、呼吸を整える大事さがわかってから、自律神経の乱れを整えることができるようになった。元々じっとしていられなかったんだけど、ヨガをやると自分自身と向き合えるから、だいぶ落ち着いた行動ができるようになった気がしますね。
< 渡辺由布子さんの MY HEALTHY HABIT >
女性らしい脂肪と上手に付き合う方法。
北嶋 私も、子どもが生まれる前はヨガを2〜3年やっていたんですけど、今は全然。歩くスピードを速くしたり、自宅で筋トレしたり、できる範囲で運動不足にならないようにしています。でも、体重の増加はほとんどないので、ながら運動も案外効果的だとは思っています。
渡辺 私はレッスンもあるし、自分のために一人でヨガをしている時間もあるから、毎日運動しているけど、それで程よい筋肉をキープできるのが嬉しいんですよね。
小西 以前から知っている仲だけど、渡辺さん、ここ数年でさらに全身が引き締まった?
渡辺 そうなの。ヨガのおかげ。筋肉はついたから体重はそのぶん重くなっているんだろうけど、全体がシュッと引き締まって痩せた感じ。以前よりずっとカラダが楽に動かせるから毎日心地いいです。
北嶋 それが理想ですよね。私も、理想は程よく筋肉がついて余分な肉がない、機能的なカラダです。日常でも意識してカラダを動かすようにしているといいんでしょう?
小西 そう、でもね、妊活していて聞いたんですけど。体脂肪率は22〜27%はあったほうが妊娠しやすいし、病気のリスクも減るんですって。私、今の自分の体型が好きで、増やしたくも減らしたくもないんだけど、体脂肪率が低いのが悩みなんです。
北嶋 確かに、体脂肪率が低すぎると生理が止まってしまう、ということも聞くし、ほどほどの脂肪は女性には必要なんでしょうね。
小西 脂肪のおかげで女性ホルモンのスムーズな分泌が促されますから。脂肪との上手な付き合い方を知るのが、今後の私の課題です。
渡辺 脂肪を敵と思わず、バランスよく付き合えるといいですね。
< 小西さやかさんの MY HEALTHY HABIT >
心の声に耳を傾ければ、心もカラダも健やかに。
渡辺 苦しいダイエットは絶対続かないですよ。私はヨガに出会えて本当に良かった。自分の心とカラダのバランスが整ったので、過食することもないし、ベストな状態を無理なくキープできます。昔は便秘に悩まされていたけど、今は快調です。だから、自分の心の声に従って食事をしたり、カラダを動かしているだけですね。
北嶋 心の声を聞くのは大事ですね。体調によって食べたいものも変わるので、そこに合わせると調子が整いやすい。心の調子がいいと腸の調子もいいし、逆もそう。脳と腸はものすごく密接につながっていると感じます。
小西 私はもっとカラダを動かしたい。そうすればお腹の調子も良くなるだろうし、ストレスも今より減るはず。
渡辺 エアリアルヨガをやってみたら? 空中で逆さになったり、普段の生活ではできないポーズがとれるので、とても気持ちいいですよ。体験した生徒さんからも腸の調子が良くなったとか、代謝が上がり、髪の毛や爪にも良さそう、との声が多いんです。
小西 それは気になります! ぜひ体験しに、渡辺さんのクラスに参加させてください。
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