RADWIMPSのニューアルバム『人間開花』は、ドラマー山口智史の休養など、前作『×と○と罪と』からの3年の間に起きた様々な出来事が克明に刻まれた作品となっている。
「3人になって、最初はホントにアップアップで、“バンド、続くのかな?”ってところから始まったんですけど、海外ツアーや対バンツアーを一つひとつ達成していくことで、“何とか行けるかも”って、自信になっていきました。小さな希望をちょっとずつ積み上げて、放出できるところまで何とかたどり着いたっていう気がしています」(野田洋次郎)
こうして完成したアルバムは、『人間開花』というタイトルや、インパクト抜群のジャケットにも象徴されているように、これまでになく光に溢れ、外側へと開かれた作品に。
「今回は、今まで避けてきた部分を、ちゃんと一回今の自分の言葉として歌おうと思ったんです。一般的なポップ・ミュージックで考えると、光を歌うことって簡単な気がするんですけど、僕にとってはものすごく難しいことで、今ネットに直接的な怒りや憎しみの言葉が溢れているように、人間ってそっちのエネルギーの方が発散しやすいのかなとも思うんですよね。なので、僕にとって光を歌うことはホントにチャレンジだったんですけど、今回はそれができるだけの覚悟と自信をやっと持つことができました」(野田)
『君の名は。』でお馴染みの「前前前世」や「スパークル」のオリジナル・バージョンをはじめとした全15曲は、ストレートなバンド・サウンドから、打ち込みと生演奏が有機的に融合した曲までを含み、バンドの確かな進化が感じられる。
「今回はベースを弾いてない曲も何曲かあって、ギターやシンセを弾いたりしてます。桑と2人でやりとりしてるときも、どっちが何を弾いてもいいって感じで、“曲として良ければそれでよし”みたいな、より音楽集団になれたのかなって」(武田祐介)
「ここで自分がちゃんとしないとダメだなって場面がいろいろあって、責任を負う部分も増えたんですけど、洋次郎の作ってくる曲は毎回ホントにかっこよかったし、楽しんで作業ができました」(桑原彰)
『人間開花』というアルバムは、RADWIMPSの新たな可能性が花開いた作品であり、これまで10年をかけて膨らませてきた巨大なエネルギーが、今後様々な事象を巻き込んでいくであろう、新たな10年への期待を抱かせる作品でもある。
「ある意味、『人間開花』は第2のデビューアルバムになったのかなって。波乱を超えて、またデビューアルバムができて、でももう次のイメージも漠然と見えてきてるし、まだ息切れしてる感じはないんですよね。ずっと夢の中にいて、だからこんなにいろいろ溢れてくるのかなって思っちゃうぐらい、ホントに想像が止まらないんですよ」(野田)