「話さなくてもわかるだろう」はご法度! チームコミュニケーションの極意

2024.9.13
複数人のチームで行動する際、きちんと自分の想いを相手に伝えることは非常に重要。コミュニケーションに苦手意識を持つ人向けの基本スキルから、リーダーとしてチームをまとめる際のポイントまで、“イマドキ”な人間関係におけるチームコミュニケーションの極意をまとめてご紹介します。

「チームにおいてコミュニケーションは重要ですが、達人になる必要はありません」。そう語るのは、自身の“要領の悪さ”や“報連相苦手”を克服した経験を生かし、タスク管理支援ツール「タスクペディア」を無料提供する小鳥遊さん。

「コミュニケーションに苦手意識があっても、自分を責めないでほしいです。自己否定するとさらに萎縮してしまい、それこそチームに悪影響をもたらします。まずは事務的でもいいので、あいさつと“報連相”だけはしっかりと。基本を淡々とこなすことで精神的な余裕が生まれ、心にゆとりがあればチーム内でスムーズに話せたり、相手のことを考えた振る舞いができるようになるはずです」

対話で大事にしたいのは、相手を頭ごなしに否定しないこと。「否定されない安心感」がチームに広がれば、コミュニケーションの活性化にもつながるという。また、業務で行き違いが生じないように、「わかったふり」や「できるふり」は禁物。会話がかみ合わないばかりか、後々トラブルに発展する危険も。

「背伸びせずに等身大でいいんです。わからないことはその都度確認し、ひとりひとりに誠実に対応していけばチーム全体から信頼が得られます。つまずいてしまったら、できない自分が悪いのではなく、やり方に問題があったと考えて。言葉のチョイスや伝えるタイミングを変えてみたり、今回ご紹介する方法や自分なりの工夫を試してみてください」

業務連絡編

“当たり前”のギャップを埋める言葉選び。
メンバーごとに“当たり前”は違うからこそ、丁寧に言葉を尽くして齟齬を防ぎたい。話す内容はなるべく具体的に、定型文も活用して、わかりやすく伝える意識を持とう。

【LESSON 1】曖昧な言葉は使わない。

コミュニケーション

「話さなくてもわかるだろう」という思い込みは、チームで動く際にはご法度。行き違いの原因になる曖昧な言葉は避け、「何を」「いつまでに」「どの程度」など、具体的な表現に落とし込むこと。「もしリーダーやメンバーの発言が曖昧だったら、必ず確認を。『具体的に言ってください』だとカドが立つので、いったん受け入れてから『つまり具体的には~~ということですよね?』と聞くのが◎。オープンな場で行えば、チーム全体の理解も深まります」

【LESSON 2】しゃべり出しの言葉を公式化する。

コミュニケーション

前置きのない唐突な会話は、相手が要点をつかむまで時間がかかってしまう。チーム内で進捗状況を伝えるときなどはとくに「○○の件について報告です」のように、まず定型文を言い添えて。「このしゃべり出しがあるだけで、相手は聞く準備ができ、自分は落ち着いて話せるようになり、ぐっと伝わりやすくなります。さらに、伝える内容は『結論から言うと○○です。というのも○○だからです』というフォーマットを使うと、こんがらがりにくいです」

会話編

相手が楽しい=自分も楽しいを意識した環境作り。
コミュニケーションしやすい環境を作るために、相手が喜ぶ言動を心がけてみよう。チームのひとりひとりとの距離が縮まり、自分もきっと話しやすくなるはず。

【LESSON 3】相手を褒め合う文化を率先して作る。

コミュニケーション

褒められればどんな人もうれしいもの。日頃からチームメンバーのいいところを探し、どんどん伝えていく。率先して褒め続けることで、チームに“ホメ文化”を根付かせよう。「長所を探すことはもっと知りたいというポジティブな興味につながり、相手の心を開かせます。その場にいない人を褒め、間接的に伝えるのも効果大。褒めるのが苦手な人は、『ありがとう』をいつもより多めに伝えることを意識して。感謝も相手の承認欲求を満たします」

【LESSON 4】複数人の雑談は“引き出すこと”を念頭に。

コミュニケーション

雑談はチームのコミュニケーションを深める効果的なツールだが、共通の話題を瞬時に見極めたり、面白い話をして盛り上げるのはハードルが高い。インタビュー形式で話を引き出すのがおすすめ。「聞き上手を目指しましょう。質問して理由を深掘りしたり、『それいいですね』と肯定的な反応を挟んでいくと、自然と会話が弾んでいくはず」。質問はなるべくいろんな人に。話の輪に入りにくそうな人がいたら、その人に優先的に投げかけるのも◎。

【LESSON 5】距離を縮めるのはチーム内のこまめな進捗報告。

コミュニケーション

リーダーにとって、指示しなくても進捗報告をしてくれる部下はありがたい存在。こまめに行うことで信用が得られ、会話のキッカケも生まれてコミュニケーションがしやすくなる。「進捗率を具体的に伝えられるように、随時タスク管理をして業務の進行度合いを把握しておくとベターです」。チームメンバー内でも、進捗報告は有効。「いま取り組んでいる仕事内容や状況、悩みなどを共有することが“プチ自己開示”になり、一体感を生む効果も」

小鳥(たかなし)遊さん タスク管理を広めるフリーランス。共著に『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』(サンクチュアリ出版)、自著に『「生きづらい」がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方』(ナツメ社)。

※『anan』2024年9月18日号より。写真・中島慶子 イラスト・八重樫王明 取材、文・熊坂麻美

(by anan編集部)