中元日芽香「客観的な指標ができることで、男性からの理解も深まりそう」 PMSのつらさを“数値化”!?

2023.10.8
ananフェムケア連載「Femcare File」。今回のテーマは「PMSの“数値化”と解決」。お菓子でおなじみのロッテが、PMSのつらさを“数値化”する研究を開始。その詳細を、中元日芽香さんと伺いました。

【改めて…PMSって何?】
生理開始の3~10日前の間に続く、精神的・身体的な不調のこと。生理が始まると軽快するのが特徴。腹痛、頭痛、むくみの他、イライラや不安、集中力の低下など症状はさまざま。

femcare

お話を伺った方々(左から)
ロッテ 中央研究所 疋田菜光さん、ロッテ 中央研究所 赤塚万紀さん

PMSのつらさを心拍数などで数値化。

――ロッテ=お菓子のイメージが強いですが、女性の悩みに関する研究を行うことになった理由からまずは教えてください。

赤塚:今まで生理やPMSについて、職場であまりオープンに話すことはなかったのですが、ある時、女性同士でたまたま話す機会があったんです。私は“生理中は経血が漏れて、仕事で着る白衣についてしまわないか心配”といった悩みを話したら、みんな似たような悩みを抱えていることを初めて知って。そんな女性特有の悩みを解決できるようなプロジェクトを何かできないか…と感じたのが最初のキッカケです。

――女性特有の不調はさまざまありますが、PMSに着目したのはなぜでしょうか。

赤塚:このプロジェクトは、女性研究員7名で始動し、今では共感した複数の部署の社員が合流しています。メンバーからさまざまな悩みが挙がったなかで、特に共感し合えたのがPMSでした。生理前の諸症状が仕事に影響を及ぼすことってあるよね…と。

中元:私自身も、PMSに悩まされていた時期がありました。当時は倦怠感や精神的な落ち込みなどの症状をPMSだと気づかなくて。やる気が出ない自分がダメなんだろうか、と自己嫌悪に陥ることも多かったです。

疋田:社内アンケートでも、パートナーに当たってしまったりして自己嫌悪になるという人が多かったんですよ。また、“PMSの症状そのものもつらいけれど、そのつらさを周囲に理解してもらえないこともしんどい”という回答も多くありました。

中元:痛みやつらさは主観的なものなので上手く表現しにくく、“もしかしたら他の人にとってはそれほどじゃないかも”と考えてしまう人もいると思うし。

疋田:PMSの診断でも症状について質問をされると思うのですが、実際に答えてみると、自分の状態を具体的に伝えるのって難しいんですよね。客観的なデータがあれば、もっと伝えやすくなるはずと考え、今回のプロジェクトでは、女性のつらいという気持ちを表現しやすくなるような“指標”を作ることを目指しています。

――どのように研究を行っているのでしょうか。

疋田:ロッテの女性社員や、社員の家族など約120名にウェアラブル端末を3か月間つけてもらい、心拍数や睡眠スコア、ストレススコアなどのデータを計測しています。参加者には心身の状態や症状に関するアンケートも行い、つらいと感じた時にデータがどのように変化しているのか、そこにどのような関連性があるのかを分析。ヘルスケア関連のデータ分析に強い「テックドクター」さんとタッグを組んで研究を進めています。

赤塚:現在プロジェクトの真っ最中ですが、研究の進捗を発表する機会もあり、社内でも男性と生理やPMSについて自然と話せる雰囲気が生まれたと感じています。

中元:素晴らしいです。私はカウンセラーとしての活動を通じて、“パートナーが生理などでつらい時にどのような声をかけていいか分からない”という男性のお悩みもよく聞きます。客観的な指標ができることで、女性本人はもちろん、男性からの理解も深まりそう。研究成果の発表が待ち遠しいです。

なかもと・ひめか 1996年4月13日生まれ、広島県出身。2012年、乃木坂46メンバーとしてデビュー。’17年にグループを卒業し、現在は心理カウンセラーとして活動。ananフェムケア委員会のメンバーとして誌面にも登場。

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※『anan』2023年10月11日号より。写真・幸喜ひかり スタイリスト・岡安幸代 取材、文・音部美穂

(by anan編集部)