おばたのお兄さん「精液検査を渋るのはナンセンス」 夫婦で取り組んだ不妊治療
日常の小さな積み重ねが、妊活中の心身の大きな支えに。
――おばたのお兄さんは、奥様と共に不妊治療に取り組んだそうですね。不妊治療には抵抗のある男性も多いようですが…。
おばたのお兄さん:それが、まったく抵抗がなくて。先輩芸人から治療の経験談を聞いていたからか、“よくあること”という思いでした。
高尾美穂:不妊治療では、基本的には男女それぞれ検査を受ける必要があるのですが、精液検査に抵抗がある男性は少なくない印象です。
おばた:僕は尿検査ぐらいの感覚でした(笑)。だって、尿酸値とかはみんな“俺、高いんだよね~”って平気で話すじゃないですか。それと同じで、精液検査の数値が良かろうと悪かろうと、その人の価値が変わるわけじゃない。不妊治療は女性のほうが圧倒的に精神的・肉体的に負担が大きいので、精液検査を渋るのはナンセンスだと思ってしまいます。
――流産を経験されたことも公表されています。先が見えない状況の中で心掛けていたことは?
おばた:僕にとって一番大事なのは妻の健康や、彼女と共に過ごす時間。“子供を授かることができなかったとしても、二人の人生が楽しければそれでいい”という僕の気持ちは常々伝えていました。流産の時はかなりショックを受けていたので、少しでも気持ちを和らげたくてサプライズで靴をプレゼントしました。“私のことを考えてくれているんだな”って感じてもらうことで、つらい記憶を少しでも上書きできたらいいなって。
高尾:そうだったのですね。妊活中の女性は、生活の中で様々な努力をしています。だからこそ、パートナーとの熱量や思いに差を感じると、大きなショックを受けてしまうこともあるんです。
おばた:僕は仕事の都合でクリニックに一緒に行けないことが多かったので、その分、「今日の診察どうだった?」ってこちらから聞いたり。一緒に取り組む姿勢を示すことは、妻を孤独にしないためにも大切だと思っていました。
――女性は不妊治療にトライしたくても、男性が楽観視していたりして、治療にすら至らないカップルもいるようですが…。
高尾:まず男性側が現実を知らない可能性もあります。たとえば、“20代であっても、一周期あたり自然妊娠する確率は約2割”といったデータを知ると、認識が変わるかもしれません。一方で、男性側の気持ちを想像することも必要です。本来、妊娠は二人のスキンシップの延長線上に成り立つものなので、その前提を省略して妊娠のためだけに前のめりになる…というのは、男性にとっては“いきなり感”があるのかも。まずは生活の中でのパートナーシップを大事にしてほしいですね。
おばた:僕らも妊活とは関係なく普段から互いの体調の変化について話したりしていました。そうやって些細な情報でも共有することでコミュニケーションは養われていくんじゃないかなって。
高尾:まだ治療を考えていないカップルでも、“将来マンションと戸建てどちらに住みたいか”といったことと同様に、妊活についてのプランを話し合っておくといいですね。そういったやりとりの積み重ねが妊活においても互いを支え合うことにつながると思います。
(写真左)たかお・みほ 産婦人科医。東京慈恵会医科大学大学院修了後、慈恵医大病院産婦人科助教などを経て、女性のための統合ヘルスクリニック・イーク表参道の副院長に。著書に『女性ホルモンにいいこと大全 オトナ女子をラクにする心とからだの本』(扶桑社)など。
(写真右)おばたのおにいさん 1988年、新潟県生まれ。日本体育大学卒業後、2013年にデビュー。’16年、ピン芸人に転向し、現在の芸名に改名。モノマネで人気を博す。’18年、フジテレビアナウンサーの山﨑夕貴さんと結婚。山﨑さんは妊娠中で、今夏パパになる予定。
※『anan』2023年7月26日号より。写真・中島慶子 取材、文・音部美穂
(by anan編集部)