意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「改正入管法」です。

難民認定率の低い日本。審査方法を再構築するべき。

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「出入国管理及び難民認定法」、通称「改正入管法」が6月に成立しました。この改正案は2年前に国会に提出されましたが、長期間入管で留め置かれたスリランカ人女性が、十分な治療を受けられずに亡くなったことを機に、日本の難民認定の制度が問題視され、廃案になりました。ところが、今国会でほぼ同じ内容の法案が再提出され、可決されたのです。

改正入管法では、難民認定3回目以降の申請は「相当の理由」がなければ、本国への送還が可能になります。長期に留め置くのが問題なのであれば、帰っていただこうというスタンス。しかし、内戦や迫害など、本国にいては身に危険が及ぶため日本に逃げてきたかもしれない人に対して、強制送還することは正しい判断なのでしょうか?

最も問題なのは、難民申請者が本当に難民なのか、不法入国者なのか、適切に判断できているのか不透明だということです。入管の難民認定審査(一次審査)で不認定となり、不服を申し立てた人を二次審査するのが難民審査参与員。法律や国際情勢に関する学識経験を有する人が任命されます。現在110名いますが、1人あたりの審査件数に大きな偏りがあることがわかりました。ほとんどの参与員が年間数件~40数件だったのに対し、NPO法人名誉会長だった柳瀬房子さんだけが’22年だけで1231件審査を行っており、「難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど確認できません」と発言。これに対し、ほかの参与員から異論が集中しました。難民審査は総合的な国際状況をもとに判断しなければなりませんし、申請者は自分を証明するものを何も持たずに逃げてきている場合もあり、本人を特定するのには時間もかかります。年間1000件以上の申請を的確に審査できるのでしょうか? 難民申請中は働くこともできませんが、審査が長引けば家族を養うために違法でも働かなければ生きていけない矛盾も抱えています。日本は国連の難民条約に加入しており、難民を受け入れる立場です。今回、準難民というグレーゾーンを設けたことは評価できますが、その前に難民を審査する仕組みを立て直す必要があると思います。

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ほり・じゅん ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。

※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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