老後資金2000万円を40年で貯めるなら? 毎月の目標額を計算して“先取り貯蓄”を

2023.5.19
お金を貯めるためにやるべきアクションは、積極的に貯蓄する、節約して支出を減らす、投資して資産を増やすの3ステップ。ここではまず、“貯蓄”に注目します。教えてくれたのは、ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんです。

いつ頃、どれくらいのお金が必要? 目標がはっきりすると貯められる。

貯蓄を始める時に大事なのは、貯める目的と目標を明確にすること。まずはこの先、どれくらいのお金が必要か書き出して、将来を俯瞰してみよう。そうすれば、毎月いくら貯めればいいのか、貯蓄のイメージが具体的に見えてくる。

Lifestyle
28

1、タイムバケットを作る。

年代ごとに夢や目標などを予算とともに書き出し、簡易なライフプラン表“タイムバケット”を作る。「達成するには何年後までにいくら貯めないといけないか、どうやって貯めれば間に合うかなどがイメージできます。貯蓄への意識が変わるし、モチベーションも高まります」。貯蓄計画への影響が大きいので、いわゆる“3大資金”も忘れず記入を。「一生が俯瞰できれば、無茶な住宅ローンで老後資金が貯まらない! ってことは避けられるはず」

27

夢や目標を書くことで貯蓄目標が見えてくる。
年代別に、達成したいことや目標と、その実現にかかるおおよその予算を調べて記入する。同時期に複数のライフプランが重なる場合は、優先順位をつけて記載すること。

【3大資金もタイムバケットに組み込む。】
・老後資金:2000万円目安
現在25歳なら約40年後必要に。金額も大きいが、ローンを完済、子供が巣立つなど何度か貯蓄を増やせる時期があるので長期計画で。

・教育資金:500万円目安
最もまとまったお金が必要になるのは、子供が大学に進学するタイミング。例えば、文系の私立大学で学費500万円ほどが必要に。

・住宅購入:400万~800万目安
3つのうち最初に必要になることが多い。金額は住宅ローンの頭金を想定。ここで無理すると、老後資金など人生の後半にしわ寄せが。

※掲載した金額はあくまで一般的な目安で、実際に必要な額は人によって異なります。

2、必要なお金がわかったら、先取り貯蓄で貯める。

いつまでにいくら貯める必要があるか把握したら、次はどうやって貯めるかを考える。「まずは、収入から先に貯蓄分を取り分け、残ったお金を支出に回す“先取り貯蓄”を実践しましょう。目標に向かって毎月、確実に貯められ、支出が多くなったから今月は貯蓄できないということも起きません」。会社の制度や金融機関のサービスを使えば自動的・強制的にできる。

29

毎月いくら貯めないとダメか計算する。
必要な金額を貯める年数で割り、さらに12か月で割ると、毎月の目標額がわかる。老後資金2000万円を40年で貯める場合だと、毎月約4万2000円、20年後までに教育費を500万円用意する場合、毎月約2万円が必要。

例)10年後までに住宅購入の頭金400万円用意する場合
400万円÷10年÷12か月=毎月約3万3000円貯蓄

先取り貯蓄の例

  • 会社の制度(財形貯蓄、社内預金)
  • 積立定期預金

先取り貯蓄だけで貯めるのが難しければ…。

  • 節約で支出を抑える。
  • 副業で稼ぐ。
  • 児童手当をすべて貯蓄する。

3、知ってる? 実践してる? お金が貯まるキーワード。

日常の中でお金を使うあらゆる場面で、お得なサービスや自動で管理できるシステムを活用することでお金は貯まりやすくなる。「日々の買い物を現金払いではなく、キャッシュレス決済にしたり、経済圏を同じグループに集約すると、特典やポイント還元などが受けられてお得です」。さらに金利が高かったり手数料の優遇が充実しているネット銀行を利用するのもおすすめ。

【キャッシュレス決済】
クレジットカード、電子マネー、スマホ決済といったキャッシュレス決済を使うと、ポイントがどんどん貯まるだけでなく、次回以降の買い物もお得に。支出の記録がアプリで自動管理されるのも便利。

【ネット銀行】
大手銀行の普通預金金利0.001%に対して、0.1%以上の金利が得られる場合も。利用状況に応じて振込手数料やATM利用手数料が無料になる回数が増えるなど、無駄な出費が減らせるメリットも。

【経済圏】
系列の多種多様なサービスを複数使うことで、日頃の買い物がお得になったり、特典やポイントサービスなどが受けられる。金利の優遇が受けられる場合も。楽天やイオン経済圏などが代表的。

高山一恵さん ファイナンシャルプランナー。講演や執筆活動、相談業務を通して、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。頼藤太希さんとの共著に『はじめてのお金の基本』(成美堂出版)など。

※『anan』2023年5月24日号より。マンガ・サヲリブラウン 取材、文・鈴木恵美

(by anan編集部)