老後2000万円では少ない!? 年代別、今すぐやるべき“お金”に関する備えとは

2022.4.21
日本女性の2人に1人は90歳以上まで生きるという事実。そして、2019年の金融庁発表をうけての「老後2000万円問題」など、将来への不安を抱く人も多いはず。そんな将来に備えて、今やっておきたいこととは?

老後の不足額としてよく出るのが「2000万円」という数字。

「この額は夫婦世帯を基に算出されており、シングル女性にはあてはまりません。また、2000万円では正直少ない印象です」

と言うのはファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。では、いつまでにいくら持っておけば!?

「“いつまでに”は働かなくなるまでと捉えましょう。会社員なら定年を迎え、年金受給開始年齢でもある65歳が目安です。フリーランスは70歳まで働けるといいですね。“いくら”は個人によって大きく変わります。だからこそ、自分自身が老後に必要な額を知ることが大切! 多くの人が老後に不安を抱いていますが、その不安は、あまりにも漠然としていて、お金のことをきちんと把握できていないことが大きな原因です。貯めるべき目標額がクリアになれば、無駄な支出を抑えたり、お金を増やそうとしたり、意識的に動くようになれます。そうした一つ一つの積み重ねが、将来の安心に!」

~将来に備えて~今、やっておきたいことTO DO LIST

やるべきことさえやれば、怯えなくても大丈夫! 今、やっておくことの一つひとつが、未来の大きな安心につながるので、「面倒だから…」と後回しにしないで。

20~30代の備え1:貯金をする。

簡単なのは先取り貯金。使った残りを貯金するのではなく、給与の天引きや積立貯金を設定して、残ったお金の範囲内で暮らす仕組みに。「毎月の貯金額は、家賃やローンの支払いがある人は手取りの10%、ない人は20%が目標です」

20~30代の備え2:積立投資を考える。

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貯金は万が一の備えとして必要だが、ゼロ金利の今、お金を“増やす”には、投資が避けて通れない。毎月一定額で買える投信積立は、投資初心者向け。「利益が利益を生む、複利効果を得るには、早く始めて長期間続けた方が有利です」

20~30代の備え3:支出の記録をつける。

お金の使い方に自覚的になれば、無駄遣いを減らすことができる。簡単で効果的なのが、毎日レシートを見返す方法。「衝動買いなど本来は不要だった支出に印をつけるだけ。無駄遣いを頭が記憶し、次から気をつけるように」

20~30代の備え4:給与明細を細かくチェックする。

給与明細は手取り額を見て終わりという人は要注意! 「年収によって変わる税金や社会保険料がいくら引かれているのか。稼いだお金に意識を向けることは、お金を貯める出発点であり非常に大事。給与明細は細かく見ましょう」

20~30代の備え5:「ねんきん定期便」「ねんきんネット」を見る。

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毎年、誕生月にはがきで届き、年金額が知れる「ねんきん定期便」。「必ず見て、年金額を把握し、加入期間などに誤りがないか確認を」。「ねんきんネット」は、年金手帳にある基礎年金番号と「ねんきんネット」のIDでアクセスできる。

20~30代の備え6:勤務先の福利厚生ガイドをチェック。

意外と充実している福利厚生を使わないでいるのは損! 「旅行やスポーツクラブの割引があったり、保険も団体割引が利いたり、せっかくある手厚い制度は使ってこそ」。法律上は、派遣社員も正社員と同様の福利厚生が利用できる。

40代からの備え1:生活水準を上げすぎない。

ひとたび上げると、なかなか下げられないのが生活水準。「特にシングル女性は、自由に使えるお金が多く、収入増に伴い生活水準を上げがちです。できるだけそれまでの生活水準を維持して、増えた分は貯金や投資に回しましょう」

40代からの備え2:親の介護や年金などお金について確認する。

親子間でもお金の話をするのは気まずい…。「それでも、老後資金や介護について親の備えを知っておくことが、家族のためになります。細かい資産内容や金額はともかく、年金額と万が一に備えて預け先だけでも聞いておきましょう」

40代からの備え3:積立投資の額を見直す。

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一般に、大きなライフイベントが終わり、キャリアも積んで収入が増える40代。「金銭的余裕がある時期が、資産作りを加速させるタイミング。支出額は維持して、積立投資を増額するなどして、将来への不安を減らしましょう」

井戸美枝さん ファイナンシャルプランナー、経済エッセイスト。『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP)第2弾を6月出版予定。

※『anan』2022年4月27日号より。イラスト・岡田 丈 取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)