眠るのに適した部屋の温度は? 良質な睡眠に導く“入眠習慣”9つ

2023.4.8
「ターンダウン」とはホテルなどでベッドを整えて客室を寝室仕様にすること。自宅でも、ベッドはもちろんパジャマや照明、マッサージなどを含めたターンダウンを行うことで睡眠の質はグンと改善します。無理のない範囲で自分に合ったものを選び、まずは2週間続けてみて!

心と体がリラックスする入眠習慣を身につけよう。

体調やメンタル、仕事の効率、幸福感など、あらゆることを左右する睡眠。だからこそ、メンテナンスすることで、人生のパフォーマンスがアップする可能性がある。

「より良い睡眠をとるのに大事なことは、ベッドに入るときにどれだけリラックスできるかどうか。だからこそ、心と体を睡眠に向かわせる『ホームターンダウン』の習慣が大切なのです」と言うのは、快眠コンシェルジュのヨシダヨウコさん。眠る直前まで、ついベッドでスマホを使ってしまいがちだけど、それでは交感神経が優位になってしまう。寝る目的での飲酒も睡眠が浅くなるのでNG。

「まずはそんな悪習慣と決別して、“これをしたら眠くなる”というような行動を3~4つルーティン化するのがおすすめ。寝具やパジャマ、照明などの環境を整えることも大切です。マッサージやヨガなどで心と体をゆるめてリラックスさせ、リッチで深い睡眠を手に入れましょう」

1、食事とお酒は寝る3時間前までに。

お腹がいっぱいになると眠くなりがちだけど、就寝前の食事は睡眠の質を低下させてしまう。「消化するために胃が働き続けるため、体が休まらず、浅い眠りになってしまいます。どうしてもお腹がすいて眠れない、というときは、血糖値を安定させるためにハチミツをひと匙食べるのがおすすめ。ぬるめのお湯に溶かして飲めば体が温まり、眠りにつきやすくなります」

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ハチミツには血糖値をゆるやかに上げて長時間安定させる働きがある。

2、ベッドでは「寝る」以外しない。

「ベッドに入ると自然と眠くなる」とクセづけるためにも、読書や仕事、スマホなどはベッド以外の場所ですることを鉄則に。おやつなどを食べるのもNG。「ベッドをソファ代わりに使っているなら、ベッドメイキングを習慣にしましょう。眠るときはカバーやクッションなどをどかして、完全に“睡眠仕様”に。寝返りの妨げになるので、枕の両側には何も置かないで」

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寝床は眠るだけの場所。それ以外のことは別の場所でしよう。

3、枕とマットレスは寝返りのしやすさで選ぶ。

人は一晩で平均20回ほど寝返りを打つため、いかに寝返りをしやすい寝具で寝るかが睡眠の質を大きく左右する。「お店で枕やマットレスを選ぶときは、仰向けで寝るだけでなく、寝返りを打ってみましょう。枕は、寝返りを打ったときに頭が落ちないよう、幅が広めのものを選ぶのがおすすめです。マットレスは、長持ちさせるために、季節ごとに裏表、上下を入れ替えて」

4、部屋着でなくパジャマに着替える。

入眠儀式の一つとして、寝るときはパジャマに着替えることを習慣づけよう。「パジャマは夏でも体を冷やさないように長袖長ズボンを選びましょう。また、睡眠中は一晩でコップ1杯分の汗をかくといわれています。体の熱をこもらせて寝汗の原因になってしまう化学繊維はできれば避けて。吸湿性と通気性の良い麻や綿、シルクなどの天然繊維のものがベストです」

5、好きな精油の香りを枕元に。

副交感神経を優位にして、心身ともにリラックスするために、香りの力も利用したい。「緊張やストレスを和らげる香りはラベンダー、ジャスミン、クラリセージなどがありますが、自分が落ち着く香りを選ぶのが一番。ディフューザーなどを使ってもいいし、エッセンシャルオイルを1~2滴ティッシュに垂らしてベッドサイドに置くだけでも十分効果があります」

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アロマが脳の視床下部に直接働きかけて睡眠モードに。

6、夕食後は大きな照明を消す。

夜になったら部屋のメインの照明や蛍光灯はオフに。間接照明や手元のスタンドに切り替えるなどした上で、光が直接目に入らないように工夫すれば、入眠を促すメラトニンの分泌が抑制されるのを防げる。「間接照明などがない場合は、部屋の照明を消したらキッチンの照明だけをつける、などでも大丈夫。寝室となる部屋はほのかな明かりになるよう照度を調整しましょう」

7、部屋の温度は、夏26°C、冬16°Cが目安。

日照条件や部屋の広さなどによっても変わってくるけれど、眠るのに適した温度は夏26°C、冬16°C前後。「特に夏は、暑くて汗をかくと交感神経が優位になって入眠しにくいので、エアコンのタイマーをセットして眠るとよいでしょう。冷感シーツやブランケットを利用するのも◎。冬は寝具で調節を。深部体温が下がるのを妨げるので、できるだけ靴下を履くのは避けて」

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自律神経の機能が落ちる夜間はエアコンや寝具、寝装で温度調整を。

8、脚を温めてマッサージ。

寝る1~2時間前に入浴するなどして脚を温めて、マッサージをすることでリラックスでき、スムーズに眠りにつきやすくなる。「夜は脚がむくんでいることが多いので、温めてマッサージすることにより、滞った水分が排出されやすくなります。マッサージ後はトイレに行ってから眠れば、夜中に目が覚めることも少ないはず。脚が軽くなって気持ち良く眠りにつけますよ」

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入浴後、ボディクリームを塗るついでなどにマッサージをして。

9、笑いながら寝る。

ベッドに入って、眠りたいのについ不安になるようなことを考えてしまうときは、ウソ笑いでもいいので笑うのがおすすめ。「口角を思い切り上げて、ニーッと笑いましょう。笑顔をつくることで脳が喜んでいると勘違いし、心身がリラックスして眠りにつきやすい状態になります。また、笑顔のままマイナスなことを考えるのは難しいので、そのまま眠れることも多いはず」

ヨシダヨウコさん 快眠コンシェルジュ、ネムリノチカラ代表、日本睡眠協議会認定 睡眠改善インストラクター。著書は『眠りのチカラ』(みらいパブリッシング)。

※『anan』2023年4月12日号より。イラスト・山中玲奈 取材、文・古屋美枝

(by anan編集部)