フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『中華可菜飯店』のおまかせコースです。
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大きな木の円卓、満月のようなライト、ガラス戸に浮かぶ湯気のような書体の店名は『中華可菜飯店』。食べる前からすてきな予感に満ちた小さな中華料理店。キッチンに立つのは五十嵐可菜さん。これまで“健全でヘルシーな中国料理をお届けするプロジェクト”として「中華可菜」の屋号でケータリングやお弁当の販売で注目されてきた人気者が、今年の7月、永福町に遂にお店を開いたのだ。

料理は月替わりのおまかせコースのみ。蒸篭(セイロ)をぱかっと開けば、手切り肉のゴロゴロ歯ごたえがたまらない五目焼売。大きな深皿にはタレがしみしみのジューシースペアリブ。お肉を頬張ったあとの〆は、ジャスミンライス粥。鶏のスープで炊いたとろとろで香り高い魅惑のお粥のアイデアソースはタイのお粥・ジョーク。中国料理に軸を置きつつも、アジアの様々な食文化やハーブやスパイスが気持ちよく編み込まれていく。スペアリブの余ったタレをお粥にかけるのも、可菜さん推奨の幸せの味。「余ったタレをごはんにかけて食べる一石二鳥スタイルが好きなんです」と笑う可菜さん。自分が食べたいものをしっかり相手に届ける。手間がかかっても自分が嬉しいものをみんなに振る舞う。日々の仕事は地道でも、その先で食が生み出す幸せを、心から信じている人の料理だと思った。

おまかせコースは、前菜の盛り合わせに、点心2種、一品料理にメイン、〆の一皿にデザートまでついて1人¥5,500。ありがたいお値段に涙……。「高級な店にしたくないんです」と可菜さん。通常営業のほか、お弁当の販売やイベントを行うことも。

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中華可菜飯店 東京都杉並区永福2‐50‐1 TEL:080・7297・8010 18:00~21:00(緊急事態宣言期間中は20:00まで) 日・月曜休、不定休 完全予約制

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。

※『anan』2021年8月25日号より。写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子

(by anan編集部)

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