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熱血だけが青春じゃない! “不器用だらけ”の小説『ウチらは悪くないのです。』

2019.3.26
阿川せんりさんの『厭世マニュアル』は、殻に閉じこもっていたヒロインが周囲の人と関わることで“ありのままの自分”を肯定できるようになる物語だ。安易な成長を描かない作風でデビュー時から注目を集めたが、最新刊『ウチらは悪くないのです。』もまた、何者かにならなきゃいけない、恋愛くらいしなくちゃいけない、とがんじがらめになっている人にエールを贈るような一冊だ。

熱血じゃない青春だって楽しいんだ。元気になれるアンチ青春ストーリー。

ウチらは悪くないのです。

「小説やマンガでは、自分には何もないと悩む主人公が夢中になれる何かに出合って成長する物語が王道。でも、私の中には『もし何にも出合えなかったらどうするんだい?』という素朴な疑問があります」

主人公は、これといった趣味や特技がない〈あさくら〉。美人なのにおしゃれや恋愛には興味なし。彼女の楽しみといえば、昔からの友人である〈うえぴ〉と、スタバでおしゃべりすることくらい。大学2年の選択必修科目のクラスで〈あさくら〉に話しかけてきた〈さわみー〉のお節介で、一度会っただけの〈にさか君〉とつきあうことになるのだが…。

一見そつがなく思える〈さわみー〉や〈にさか君〉も、実は不器用な人。〈あさくら〉や〈うえぴ〉との意外な接点も見つかり、彼女たちのこじれた青春が笑いと涙を誘う。

「大人になってから『学生時代に、もっと青春しておけばよかった』と言う人がいるけれど、そんなふうに記憶を上書きする必要はあるのかなと。友人と一緒だった他愛ない時間とかが『それなりに楽しかった』なら思い出上等。そんな青春があってもいいじゃないかと思うんです」

ちなみに、小説家志望で文芸サークル所属、コツコツ作品を書き続けている〈うえぴ〉は、阿川さんの青春と大いに重なる存在だとか。

「〈コシミズ〉のように批判してくる人もいたけれど、私の作品を『好きだ』と言ってくれる人もいました。あのころ、その言葉をもっと素直に信じればよかったなと。なので、〈うえぴ〉には、信じてがんばってもらおうと思いました」

阿川さんの描く人物はみな、少しやっかいな人たちに見えるが、

「個人的には、すごく変わった人たちだとは思っていません。このぐらいのめんどうくささを抱えているのが普通だし、よくいる人たちの物語を素直に書いたらこうなった、という感じですね(笑)」

ウチらは悪くないのです。

あがわ・せんり 1988年、北海道生まれ。作家。’15年、野性時代フロンティア文学賞を受賞した『厭世マニュアル』でデビュー。『森見登美彦リクエスト! 美女と竹林のアンソロジー』(光文社)にも寄稿。

『ウチらは悪くないのです。』 小説家志望の親友〈うえぴ〉とスタバで話すのが楽しみな〈あさくら〉。ある日、〈さわみー〉からボランティアサークルに勧誘され…。新潮社 1450円

※『anan』2019年3月27日号より。写真・土佐麻理子(阿川さん) 中島慶子(本) インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)

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