インターネット上や雑誌など、さまざまなフィールドで作品を発表する詩人・最果タヒさんの、待望の最新詩集が発売された。
BOOK1

“みんなのことがあまり好きじゃない、ということがばれないようにしたくて、丁寧に、親切に接している。(「かるたの詩」)”のように、今作にも、私たちに寄り添う言葉が綴られている。

「読む人が“ん?”と止まって現実に戻らないよう、できるだけ自然に読める言葉を使いたいんです。それは、生活と地続きの状態で読んでほしいから。今作にはルミネのクリスマスキャンペーンのために書いた詩がありますが、それは街中に出るものなので、景色と馴染みながらも、溶け込まない文章になるように意識しました。こうして、さまざまなお仕事をするにつれ、想像の中にしかいなかった“読者”の姿が見え、実感が蓄積し、言葉に手応えが増していく感覚があります。インスタで私の本を映している写真を見るのも、実感を得るのにとてもいいです」

詩の選択や順番は自身で決める。

「詩集を作るというのはただ詩をまとめるというよりは、それもまた一つの創作と思っています。タイトルは、詩集『空が分裂する』の作品のタイトルで、急に“これしかない”と思いだしたんです。また、今作には1行空きの詩がいくつかあります。普通、詩はページの一か所に塊となって載っていますが、全体に行き渡るように、まんべんなく載せたい詩が何編かありました。詩の印象は、レイアウトでかなり変わりますね」

「言葉は、思いを伝えるには少なすぎる」と最果さん。

「人それぞれ思うことが違うのに、言葉は同じものを使わなくてはいけないなんて無茶苦茶なことだと思い ます。気持ちを言葉にあてはめていくことで、本来あったものが切り捨てられていくこともあるはず。たとえば、大切な人を“親友だ”と表現した途端、たった一つだった関係性が、凡庸なものに変わってしまう。私にとって詩は、そうした固まった言葉に気持ちをあてはめていくのではなく、気持ちと同じぐらい曖昧で流動的な言葉を見つけ出していくこと。気持ちを切り捨てずに、言葉にしていくこと。そんな言葉は、きっと誰かに、共感よりずっと深くまで届くことができると思うんです。私は、そんな詩を目指しています」

『天国と、とてつもない暇』現代を生きる若者たちを魅了した詩集三部作に次ぐ、最新詩集。「自分にご褒美」「冬の濃霧」「声」をはじめ、43編を収録。あとがきも必読。小学館 1200円

さいはて・たひ ’86年生まれ。’07年に第一詩集『グッドモーニング』(新潮社)を刊行。『死んでしまう系のぼくらに』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(共にリトル・モア)など、数々の詩集を発表。

※『anan』2018年12月12日号より。写真・中島慶子(本) インタビュー、文・重信 綾

(by anan編集部)


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