彫刻“考える人”の姿勢は排便の理想型!? 便のプロ直伝、腸を活性化する一日の過ごし方

2023.7.5
腸活とはすなわち、“いい便”を育むこと。いい便を育むためのヒントを日々の食事法から、行動まで、便のプロが指南。まだ取り入れていない習慣は一度試してみる価値アリ! 人気イラストレーター原田ちあきさんの漫画でヒントを紹介!

便秘に悩む人々の腸活をサポートしてきた、医師の神山剛一さんと、腸活プロデューサーの長瀬みなみさんの二人が口を揃えて言うのが、何をするかより、“自分の便と向き合う”ことの大切さ。

「なぜなら、腸の状態の良し悪しを教えてくれるのは、日々の便でしかないからです」(神山さん)

幼い頃からひどい便秘に悩んできた長瀬さんは、腸活への間違った思い込みの問題を訴える。

「下痢を繰り返しているのに、毎日便が出ているから大丈夫だと思っている人、薬に頼ってでも便を出しさえすれば腸に良いと思っている人…。どれも間違いです。肌のトラブルや放っておけない体調不良など、マイナスな点が現れれば気にするのに、日々の便に関しては無関心な人が多いもの。腸の健康状態は心身の健康にも直結するので、便の状態に着目して過ごしてほしいです」(長瀬さん)

ここでは、腸と便のために良い一日の過ごし方を紹介するが、できない日があったり、すぐ改善しなくても一喜一憂しないこと。

「腸内環境は人それぞれなので、何が奏功するかは試さないと分かりません。また、運動と一緒で続けられなければ意味がないので、自分の生活と腸に合わせて気楽に試してみましょう」(神山さん)

【朝】白湯や朝食を摂り、腸にスイッチオン。

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目覚めたら、まずは歯磨きで就寝中に繁殖した口腔内の菌を除去。

「かかとを上げっぱなしの状態で歯磨きを。足裏からお尻まで、いきむ筋肉を満遍なく鍛えられて一石二鳥です」(長瀬さん)

1杯の白湯を飲むことは腸活の王道。実は、食道や胃を白湯が通るとき、粘膜を通じて副交感神経が活性化されて胃や腸の動きが良くなる、と最新の医学データからも太鼓判を押されている。

「さらに腸を目覚めさせる朝食を。食欲がないなら、ヨーグルトに食物繊維が摂れるグラノーラをプラスする程度でもいいですし、冷えが気になる人は温かいお味噌汁を飲みましょう」(長瀬さん)

排便の習慣を身につけるため、便意がなくてもトイレに行こう。

「座って肘を膝の上に乗せ、45度の前傾姿勢。膝は少し開いてかかとを上げて。彫刻の“考える人”の姿勢は、便を押し出しやすい排便の理想型なんです。ただ、トイレの滞在時間は1~2分に。ながら排便も禁止です」(長瀬さん)

「いきみすぎず出なくてもがっかりせず、その後便意が来たらいつでもトイレに行くようにすればいいですよ」(神山さん)

バッグや服も腸ファーストで厳選。お腹を締め付けない服、歩きやすいスニーカー、荷物の重さの偏りで姿勢が崩れにくいリュックを選び、いざ出発!

【昼】口に入れるのは、腸が喜ぶものを厳選。

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腸にとって良くないのが、日中、座りっぱなしで過ごすこと。

「お腹や鼠径部がカチコチになって、便を押し出す力が弱まってしまいます。こまめに立って歩いたり、ストレッチしたり、お腹を冷やさないのも肝心です」(長瀬さん)

さらに水分補給も忘れずに。

「一気に水分を摂ると胃への負担が増すので要注意。1時間おきに、コップ1杯程度をちびちび飲むのがいいでしょう。また、ビタミンCは腸のぜん動運動を促進するといわれているので、ビタミンC豊富なローズヒップティーもおすすめ。暑い季節でも、腸のためには温かいもの、せめて常温のものにするといいですね」(長瀬さん)

昼食は食物繊維や発酵食品など、腸が喜び、便の材料にもなる素材豊富な和定食を選びたい。

「おにぎりやパンだけなど単品で済ませず、口にする種類を増やすよう心がけましょう。食物繊維の多い芋類や酵素が摂れるフルーツなど、腸に良いおやつでバランスをとって」(長瀬さん)

日中、トイレやおならを我慢しないのも腸ケアでは大切なこと。

「便意を無視すると排便のシステムが狂うので、便意を感じたら必ずトイレへ」(神山さん)

「おならは肛門を広げるイメージですると、音が防げます。立ち動きながらすると臭いもごまかせるのでは…」(長瀬さん)

【夜】一日の締めくくりに、お腹を癒してあげる。

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一日の疲労を癒してリラックスし、胃腸の働きを促進させてくれる、自律神経の副交感神経が優位な状態に誘うことが、夜の課題。

「夕食を食べすぎたり、脂質を摂りすぎると消化に時間がかかって胃腸の負担になります。でも全く食べないと全体の食事量が減り、便の量が減ってしまうので、胃腸に負担がかからないものを選びましょう。特に、海藻類やきのこ類、野菜、発酵食品など、日中不足した食材を食べるといいですね。お酒は飲みすぎると水分摂取量が増え、下痢の原因にもなるのでほどほどを楽しんで」(長瀬さん)

また、発酵食品で菌を摂るなら就寝1時間前に。寝る前にも白湯を飲むといい。

「夏は冷房や冷たいものを飲んだ影響で、多くの人のお腹は冷えています。湯船に入って温めてほしいですが、それが億劫なら、シャワーでお腹まわりを温めたり、足湯に浸かるのも下半身の冷え予防には効果があります」(長瀬さん)

湯船に入ったら、お腹まわりを優しくマッサージすると、さらに腸の働きを改善できる。

「ストレッチなどをして日中硬くなった下半身を緩めてから眠ると、疲労解消にもなるし、翌朝の排便が促されます。さらにお腹まわりや鼠径部を締め付けない寝間着を選び、下半身が冷えないようにすればいいですね」(長瀬さん)

神山剛一さん 医師。寺田病院で外科、胃腸科、肛門科担当。日暮里健診プラザ予防医学管理センター副センター長。排便機能の専門家として啓発活動に尽力。健やかな排便習慣に導く生活術も指南している。

長瀬みなみさん 腸活プロデューサー。うんち記録アプリ「ウンログ」運営に携わり独立。腸活に関するセミナー講師、コラム執筆などで活動。著書は『うんちを見るだけで腸ハッピー! 腸活メソッド』(主婦の友社)。https://www.hani-yasu.jp

※『anan』2023年7月12日号より。漫画・原田ちあき 取材、文・板倉ミキコ

(by anan編集部)