おすそわけ参加もOK…! 人気の『BENTO おべんとう展』を体験
どんな展覧会?
【女子的アートナビ】vol. 124
『BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン』では、おなじみの “お弁当” をコミュニケーション・デザインの視点からとらえ、写真や映像、参加型のインスタレーション作品などで紹介。歴史や食文化など、知っているようで知らないお弁当の魅力を、見て感じて再発見できる楽しい展覧会です。
まずはお弁当箱!
最初の展示室でまず目に入るのが、江戸時代など昔のお弁当箱。インパクトが強めのものも並んでいます!
例えばこちらは、個人蔵の《楼閣型弁当》。沈金(ちんきん)という技法を使って、楼閣の広間などが描かれています。
このお弁当箱、いったいどんな構造になっているのか、どこにおかずを詰めるのか気になりませんか? 会場では分解された写真も一緒に展示されているので、ぜひ確認してみてください。
さらに、手袋をつけて触れるお弁当箱もあります。実際手にしてみると、質感や温もりなどが感じられて楽しいです!
お弁当の精霊がかわいい~!
次の章では、現代作家2名によるインスタレーション作品が展示されています。まず、オランダで活動されているイーティング・デザイナー、マライエ・フォーゲルサングさんの作品《intangible bento》(2018)から体験。
体験前に、係の人から音声ガイドのような機械「精霊フォン」を借りてください。これで精霊の声を聞きながら、リボンで囲まれたbentoの世界に入っていきます。
作品を上から見ると、こんな感じ。ひとつひとつがお弁当箱のようになっています。このリボン空間の中に何が入っているのかというと……
例えばこんな感じのかわいい精霊に会えたりします! 精霊は全部で10種類いて、ふだんは見えないお弁当のさまざまな側面について、語ってくれます。
“おすそわけ” を楽しむ!
続いて上の階に行くと、展示室内に市場のような空間が広がっています。これは、北澤潤さんのインスタレーション作品《FRAGMENTS PASSAGE ―おすそわけ横丁》(2018)。 “おすそわけ” しながら人とつながっていくお弁当のマインドを空間で表現したもので、アジアの屋台風の場所に雑貨や服、本、玩具など、さまざまなおすそわけ品が並んでいます。
そして、ここでは来場者も “おすそわけ” に参加できるんです! 家におすそわけしたい品がある人は、まずスタッフの方に声をかけてください。
そして専用ボックスを預かります。なぜおすそわけしたいのか、そのストーリーもぜひ考えてみてください。あとは品物を持ってくればOK。再訪の際、このボックスを入口で見せると、2回目の入場料は無料になります。ちなみに…、もしおすそわけしてもらいたいモノがあった場合は、スタッフの方に相談してみてくださいね。
来場者のおすそわけ品で、展示風景も変わっていきます。美術館での貴重なおすそわけ体験、参加して知らない誰かとつながってみるのも楽しいですよ。
父娘のお弁当にほっこり
最後の章では「お弁当から考えるコミュニケーション・デザイン」と題して、森内康博さんの《Making of BENTO》(2018)と小山田徹さんの《お父ちゃん弁当》(2017)の写真や映像などが展示されています。
小山田さんは、幼稚園に通う息子さんのためのお弁当を、小学生の娘さんが描く指示書に従って作っています。その記録がパネルになっているのですが、これが本当におもしろい。
娘さんが出すテーマは動物や植物などシンプルなものから「光合成」や「傾斜地層」など学校で習ったことまでバラエティに富んでいます。どんなテーマでも、お父ちゃんはおいしそうなお弁当に仕上げています。
父娘が小さな弟に喜んでもらおうと作業している姿が目に浮かび、なんとも言えずほほえましい気持ちになります。時には「おじさん犬弁当」など無茶振りされても見事に完成させるお父ちゃん、かっこいいです!
すべての展示を見終わると、改めて “お弁当” という食文化の奥深さに気づきます。大切な誰かのためにつくるのも、また誰かにつくってもらうのもうれしいお弁当。人と人をつなぐ最強ツールの新たな魅力を会場で発見してみませんか?
Information
会期:~10月8日(月・祝)
時間:9:30~17:30 *金曜日は20時まで開室。入室は開室の30分前まで。
休室:月曜日。9月18日(火)、25日(火)。ただし9月17日(月・祝)、24日(月・休)、10月1日(月)、8日(月・祝)は開室。
料金:一般¥800/大学生・専門学校生¥400/65歳以上¥500/高校生以下無料
*10月1日(月)は「都民の日」によりどなたでも無料
公式サイト:http://bento.tobikan.jp