貯金額はたった1万2000円…24歳セクキャバ嬢の「時間だけが過ぎる現実」

文・三松真由美 — 2022.3.31
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、24歳セクキャバ嬢。やりたいことはあるけれど、先延ばしするばかりで貯金もできぬ日々。焦燥感を覚え自暴自棄になる彼女に三松先生は…?

澪(24歳)意志力レスでだらだら先延ばし。そんなんで夢を叶えるなんて無理っしょ

キャバ嬢 夢 目標 人生 現実 理想 焦燥感 焦り

【レスなひとびと】vol. 153


嘘…今月のカードの請求、25万円!?  澪はカード会社からのメールを見て、真っ青になる。先月は19万円だった。そろそろ、ホントに貯金しなくちゃマズいことに。

福岡のセクキャバで働く澪は、いつか上京するのを夢見て5年。24歳。20代前半が終わる焦燥感があるにもかかわらず、貯金額12,000円。食事は毎日のように外食。出勤は間に合わないからほぼタクシー。築14年1Kの家賃と、スマホ代を払ったらもう、収支はマイナスになるだろう。

と言っても正直、全然計算もしてないからどのくらいマズいのかもわかってない。計算は大の苦手。収支という言葉もよくわからず使っている。

「たけしー。なにしてるん?  澪の今月のカードの請求、ヤバめやーん」

「いや、おれもヤバめ。来月からモヤシ生活決まり」

彼氏のたけしと電話をしながら、出勤準備。

「あん、内藤さん、ダメっ…」

「こんなにエッチな格好してるほうがイケナイんよ」

澪はシースルーのベビードールを着て、内藤さんの上にまたがっている。隙間から乳首を何度もペロペロされて、もう痛いくらい。
ああ、いつまでこんなことしてるんだろ。ほんとはパパでも見つけて、とっととキャバ辞めて東京で暮らすはずだったのに。5年もたっとるやん。

午前1時過ぎに自宅に帰ったあとは、SNSやYoutubeを見ながらお菓子を食べるのが日課だ。

ポコチャで人気ライバーの配信を観ながら、たけしにLINE。

「澪もポコチャとかやろうかなー。やればお金たまるかもしんないな」

「それ、ええなあ。やってみ。投げたるし」

「でも人気ある子は、みんなかわいいもんね。澪はもうちょっとクリニックでお直ししてからかな」

「えー、そう?  今もかわいいやん。ってかお直しでまたお金なくなるやろ」

ゆるい会話。きっと、たけしも家でゴロゴロしているのだろう。大丈夫、彼だって毎日進歩のない日々。そう思うことで安心を得ようとしている。だらだらとスマホをいじっているうちに、また寝落ち。

「ヤバい、もう18時じゃん!」

急いでシャワーを浴びて、間に合わないからタクシー出社。お金貯まるわけないし。タクシーのなかで開いたInstagramの投稿に、ショックを受ける。

【勢いで上京してきちゃいましたー。 貯金が減ったのはぴえんだけど、ほんと来てよかった!】

お店で働いていた3つ下のぴえん系、琴音ちゃんが、いつのまにか上京。最近入ってきたばかりだと思っていたのに。おそらく写真は歌舞伎町。きれいに巻いたツインテールをして、MCMのリュックを背負う彼女がまぶしい。なんか…苦しい。

「ねーたけし、毎日寝てばっかりいて苦しくならんの? こんな人生でええん?」

八つ当たりのLINEを送って、タクシーを降りる。


【三松さんからのコメント】

ダメダメなように見えますが、澪さんみたいなあせる気持ちって誰しも抱いたことがあるのではないかと。

「やらなきゃいけないけど、なかなか始められない」「〇〇をしていれば、うまくいったかも」「今日もなにもできなかった」「お金たまらん」つうか「何から始めるん?」。

そういう日が続くと胸の奥のほうがズーンと苦しくなりますね。

ひとつ、誰にでもできる簡単な解決方法。

それは、己のダメだと思うことを意識に上げること。ぐちゃぐちゃのまま、何がダメなん? と考えても全然先には進まない。

まずは「整える」。

澪さんは、上京のためにお金がいるーと言いますが、具体的にはいつまでにいくら必要なのか。日々の生活で、いくら使っているのか。いくらあれば、東京で暮らせるのか。

いや、東京の職の相場賃金、家賃も綿密に調べないとエライ目に遭います。東京に住んだはいいけど、お金に困って危ないお店で働いてしまうと一生を台無しにしかねない。

最終目標と現状を整えるのです。サウナに行くだけではここまでは整わないからね。机の上で書き出して整える。まず日々のやることルールを決めるという簡単なことから始めてみてね。

1日いくらだったら使ってOKとか。
朝の20分は部屋とお風呂の掃除するとか。
今日は職探しに5時間かけるとか。
今日はライブアプリのプロフィール登録するとか。

スモールステップでいいのです。ずるずるだらだらのループから、抜け出して。

それから、お付き合いしている相手は自分の鏡ともいいます。相手に不満を抱いて八つ当たりしそうになったら、まずは自分に不満がないか、要チェックです。

「意思力レスでグダグダしてると気づいたあなた。意志貫通力は磨けばパワーアップする。今日やることを3つ決めて完遂してみろ」

実は大変! 琴音についてのお話はコチラをどうぞ。
https://ananweb.jp/column/lessbito/407196/

三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。


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真由美所長、フェムテックの新会社Gladでinsta開始
https://www.instagram.com/glad.official2021/

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