森七菜、奥平大兼の靴紐に注目した理由「丸太らしくて好きです」

写真・安田光優 文・田嶋真理 スタイリスト・山口香穂(森さん) 伊藤省吾(奥平さん) ヘアメイク・宮本愛(森さん) 速水昭仁(奥平さん) — 2023.6.25 — Page 1/2
今回、ご紹介するのは、映画『君は放課後インソムニア』。眠れない高校生を満点の星が優しく包む青春物語です。ダブル主演を務めた森七菜(もり・なな)さんと奥平大兼(おくだいら・だいけん)さんにお話をうかがいました。

「出演は叶うことのない夢だと思っていました」


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左から、奥平大兼さん、森七菜さん


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映画『君は放課後インソムニア』(通称:君ソム)の原作は、『富士山さんは思春期』『猫のお寺の知恩さん』などで知られる青春漫画の旗手・オジロマコト氏が手がけた人気コミック。

不眠症という共通の悩みを持つ主人公ふたりが、休部中の天文部を復活させるため、周りの人たちの温かいサポートを受けながら一歩ずつ歩みを進め、次第に絆を強めていく姿を描いた物語は、幅広い世代の共感を呼んでいます。

そんな中、2023年4月からアニメ版が放送を開始。実写映画が現在全国で公開中など、多方面で“君ソム”が話題となっています。

映画『君は放課後インソムニア』のダブル主演を務めるのは、今、もっとも注目を集める若手実力派のふたり。

不眠症に悩む女子高生・曲伊咲(まがり・いさき)を演じるのは、新海誠監督の『天気の子』でヒロインの声優に抜擢され、是枝裕和監督が総合演出・脚本を担当したNetflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』で主演を務める森七菜さん。

そして、伊咲と同じ不眠症に悩むもうひとりの主人公・中見丸太(なかみ・がんた)を演じたのは、映画『MOTHER マザー』で第44回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した奥平大兼さん。

本作の撮影は、2022年の7月から8月にかけて、原作漫画の舞台でもある石川県七尾市を中心に敢行。海や山に囲まれた土地に流れる空気の中、フレッシュなキャストたちが、細かく揺れ動く主人公たちの心情を見事に演じきっています。


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ーー原作者のオジロ氏が「実写化するなら伊咲は森さんしかいない」と熱望されていたそうですね。しかも、森さんご自身が原作のファンで「この作品を実写化するなら絶対参加したい」と思っていらしたとか。本作の出演オファーをいただいたとき、どう思いましたか?

森さん 出演は叶うことのない夢だと思っていたので、オファーをいただいたことが信じられませんでした。私が現場に存在した意味があるように、撮影を頑張ろうと思いました。

ーー役柄に共感したところや役作りについて教えてください。

森さん 眉毛が太いところや、明るくふるまおうとする性格は、自分と似ていると思っていました。自分にならないよう、伊咲を大切にして演じました。

奥平さん 丸太は、最初は素直じゃなくても、ちゃんと成長できるところが良い子だなと思いました。僕自身、高校生の頃は、悩みを打ち明けたり、共有したりすることをハードルが高いと感じていました。それができる伊咲と丸太の関係は素晴らしいと思いました。

役作りとしては伊咲ありきの丸太、伊咲からもらうものに対して、素直に反応する丸太でいようと心がけました。どう反応するかを僕の感覚に任せてくれた監督に感謝しています。


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森七菜さん


ーーおふたりは初共演だそうですね。お互いの演技から、気づきを得たところは?

奥平さん 僕はこれまでシリアスな役を演じることが多くて。自分を出すような明るい役をやってみたいと思っていました。森さんはそういう演技のお手本のようなことができる方でした。演技を観ていると、感覚で演じているのかなと思うほどすごく楽しい気持ちになるんです。

森さんが演じる伊咲は噓をつかないし、丸太に何をしようとしてくるのか分からない。次に何が来るのか分かってしまうと、「こうしようかな」と準備してしまうのですが、森さんについては本番中にダジャレを言うなど、全く予測ができなくて、こちらも丸太として自由に反応できました。

ーーそのダジャレはアドリブですか?

森さん そうです(笑)。

奥平さん よく思いつくよね(笑)。

森さん 本編に使われないかもしれないけれど、丸太に聞いてほしいと思いながら言いました。

奥平さん でも使われていたね。すごく面白かったです。

森さん 笑ってくれてよかったです。


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奥平大兼さん


ーー奥平さんの印象はいかがでしたか?

森さん 出演された作品を観て、すごい演技をされる方だなと思っていました。お会いする前は、何でも自分でやって、自分の世界を完全に確立している、一匹狼のような印象を抱いていましたが、撮影に入ると、私がうまくいかないときに、奥平くん自身のボルテージも上げて、助けてくれるんです。自分の世界と優しさを持ってお芝居ができる方なんだなと思いました。

ーー主なロケ地となった石川県七尾市は、とても美しい場所ですね。

奥平さん 映像を観ていると七尾市に行きたくなります。映画のチラシに載っている田んぼ道は、とても印象に残っています。

森さん 私もこの写真がとても良いなと思っています。特に丸太の靴紐が片方はずれているところが、彼らしくて好きです。

奥平さん (爆笑)

ーーこの靴紐はわざとですか?

奥平さん 無意識です。

森さん 役作りですよ。現場で奥平くんが「ちょっとはずして良いですか?」と言っていました(笑)。

奥平さん そんなことは、言っていません(笑)。


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ーー最後に本作の見どころをお願いいたします。

奥平さん 登場人物が、実際に七尾市でちゃんと生きているように感じる映画です。伊咲と丸太の高校生ならではの行動に、同世代の方は共感できると思います。伊咲と丸太の家庭環境にも重きを置いているので、そこは大人の方も共感できると思います。いろんな世代の方に観ていただきたいです。

森さん 原作コミックもアニメも素晴らしい内容です。映画は、原作のお話をより現実に近づけて描いています。自分の隣にいる方の想い出のような、近い距離の物語です。

友だち関係、恋愛関係、親子関係など、いろんな立場のキャラクターが登場します。観ていただいた方すべてにあてはまる場所があると思いますので、ぜひ気軽に劇場へ観に来ていただきたいです。

インタビューのこぼれ話

映画のチラシに使われているのは、ゲームセンターまでの道のりをふたりで自転車に乗っていくシーン。「撮影2日目ぐらいの、序盤に撮ったシーンです。海もキレイでした。写真を見返していると、七尾市に行きたくなります」(奥平さん)。「後でこんなに大きく使われるとは知らず、このときは気を抜いて笑っているんです。とても楽しい撮影でした」(森さん)。

Information


【メイン】reMT

映画『君は放課後インソムニア』全国公開中
出演:森 七菜、奥平大兼
原作:オジロマコト「君は放課後インソムニア」(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中/単行本1~13集発売中。
監督:池田千尋
脚本:髙橋泉 池田千尋
主題歌:TOMOO「夜明けの君へ」(ポニーキャニオン/IRORI Records)
企画・制作プロダクション:UNITED PRODUCTIONS
製作:映画「君ソム」製作委員会
配給:ポニーキャニオン
©オジロマコト・小学館/映画「君ソム」製作委員会
公式サイト:https://kimisomu-movie.com/

写真・安田光優 文・田嶋真理  スタイリスト・山口香穂(森さん) 伊藤省吾(奥平さん) ヘアメイク・宮本愛(森さん) 速水昭仁(奥平さん)