千駄ヶ谷の路地裏にまるでパリのヴィンテージショップのような店ができたと思いきや、それが中華食堂だった時の驚きったらない。今年4月にオープンした『サルーズ キッチン マーケット』は、ヨーロッパの家具や食器に囲まれながら砂肝の紹興酒漬けや四川風水餃子を楽しめる“らしくない”店。でも「らしくないのがいい」のだと、オーナーのオサキカオルさんは言う。「リラックスできてヴァンナチュールが飲めて、高級すぎず普段から楽しめる中華料理店が欲しかったんです」。自分が満足できる食体験を追い求めてできあがったのがこの店なのだ。
元来オサキさんは超がつくほどの食いしんぼう。7年ほど北京に在住した舌の記憶を生かしつつ、さらりと食べられる“疲れない中華料理”がメニューに並ぶ。登場すればワッとテーブルを沸かさずにはいられないのが、中華クレープ・春餅(チュンピン)。蒸籠で蒸されたクレープに色とりどりの野菜や叉焼、甜麺醤などを好きに包んで頬張れば、食感も風味もカラフルに広がりおめでたい気持ちに。心はすっかり中国の春節風景に持っていかれつつも、おかずを盛ったペールトーンの小皿はイングランドのヴィンテージで、トレイは梅干し用(!)のザルというカルチャーミックスっぷりは見事。オサキさんならではのセンスと想像力を積み上げた先に生まれたのは、どこにもなかった新しい中華食堂の姿なのだ。
春餅¥900(1人前。注文は2人前から。写真は4人前)。地元の人々に根強い人気を誇る『ビストロ コンカ』の姉妹店として、『コンカ』の2軒裏隣にオープン。
SALUTS KITCHEN Market 東京都渋谷区千駄ヶ谷4‐22‐6 TEL:03・6804・6034 ランチ11:30~18:00 、ディナー18:00~22:00(通し営業) 火曜休
ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
※『anan』2018年6月20日号より。写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子
(by anan編集部)
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