がんばって完食したのに…【食事マナー】 日本人が失敗しがちな海外でのNG作法

文・能美黎子 — 2024.8.31 — Page 1/2
休みに海外旅行に出かけたという方も多いかと思いますが、海外での食事マナーをご存知でしょうか? 日本に滞在中の海外のかたのマナー違反が指摘されることもありますが、逆も然りです。私たちが海外にいるときに、知らないうちにマナー違反をしてしまっている可能性があります。今回は、意外と知らない海外の食事マナーについて、秘書歴約15年でマナーに詳しい、能美黎子さんが説明します。

日本と海外の国・地域の食事マナーの違い

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【元社長秘書のマナー講座】vol. 52


今年は海外旅行に行った、またこれから行こうと思っているかたも少なくないかと思います。海外旅行に行くと、気づくのがマナーの違いではないでしょうか。日本と海外のマナーの違いはたくさんありますが、特に食事マナーについても異なることが多く存在します。例えば、中国や韓国では出された料理はすべて食べきらずに少し残すのがマナーです。日本でも海外のお客様のマナー違反の場面を見たことがあると思いますが、それと同じく、もしかすると私たちも海外で知らない間にマナー違反をしてしまっている可能性があります。

今回は、日本と海外で異なる食事マナーについてご紹介をします。意外と知らないことが多くあるかもしれませんので、ぜひチェックしてみてくださいね。知識を身につけて楽しい海外旅行をお過ごしください。


海外での食事のNGマナー

韓国編

1. お皿は持ち上げず、取り箸は使わない
日本では、お茶碗やお椀を持って食事するのがマナーですが、韓国ではお皿を持ち上げることはマナー違反。また、トングや取り箸は使わず、自分の箸で直接大皿から小皿に取り分けるのが基本と覚えておきましょう。大皿から直接食べてもOKです。

2. 箸とスプーンは横向きに置かない
日本では箸を箸先が左側を向くように置きますが、韓国では箸とスプーンはそれぞれ縦向きに置くのがマナーです。箸とスプーンをセットで使うのが基本で、箸は右側にスプーンは左側に置きます。

3. ごはんは完食しない
日本では食事を残すのは失礼と考える場合もありますが、韓国では食事を残すのが満足したという気持ちを表すための礼儀とされています。そのため、韓国では少しだけごはんを残すのがマナーと覚えておきましょう。

台湾編

1. 地下鉄では飲食禁止
日本では地下鉄でも飲食を禁止にしていませんが、台湾の地下鉄では、ホームや車内での飲食は禁止です。違反をすると罰金が科せられますので注意をしましょう。食べる物だけではなく、飲み物や飴やガムを噛んだりすることも違反となりますので覚えておきましょう。

2. 麺類や汁物はすすって食べない
台湾では麺類を食べる時には、音を立てるのはNGマナーです。食べる際にはレンゲを使い、音を立てないように気をつけましょう。

アメリカ編

ナイフとフォークの使い方
アメリカでは食事の際、ナイフとフォークを使うのが基本となりますが、日本と大きく異なることは「食べる都度料理をカットしフォークを持ちかえる」という点です。食べ物を一度に切り分けるのではなく、食べるときにその都度カットし、一度ナイフを置き、フォークを右手に持ち替えて食べるのがマナーです。日本ではナイフで切り分けたら、左手に持ったフォークでそのまま食べる人が多いと思いますので注意をしましょう。

イギリス編

1. ナイフとフォークの使い方
イギリスでは右手にナイフ、左手にフォークを持ち、カットしても持ち替えずにそのままフォークで食べます。イギリスとアメリカではナイフとフォークの使い方が異なるため覚えておきましょう。

2. 麺類や汁物はすすって食べない
イギリスでも麺類や汁をすすって食べるのはNGマナーです。日本のうどんやラーメンなど麺類が人気ですが、無意識のうちにすすってしまわないように注意しましょう。スープを「飲む」ものではなく、「食べる」ものだと覚えておくといいかもしれません。

イタリア編

パスタを食べるときにスプーンは使わない
イタリアではパスタを食べるときにスプーンを使うのはNGマナーです。日本ではパスタを食べるとき、スプーンを使ってフォークに巻きつけて食べることが多いかと思いますが、本場のイタリアでは、一口で収まるサイズにフォークに巻き付けて食べるのが基本マナーと覚えておきましょう。


おわりに

意外と知らない世界の食事マナーがあったのではないでしょうか。日本には日本の食事マナーがあるように、それぞれの地域にマナーがあります。マナーを知らずに周囲の人を不快にさせてしまう可能性もあるため、初めての地域に行くときには、気持ちよく旅行先の食事を楽しめるように最低限の食事マナーを調べておくのがおすすめです。ただ、各地域とも旅行者のマナーには穏やかに対処してくださるところが多いように感じます。あまり意識して緊張した食事になるよりは、楽しく、コミュニケーションをとりながら食事ができるといいですね。皆様にとって、素敵な記憶に残る旅行にになりますように。


<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。


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