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インド映画『バーフバリ』のS.S.ラージャマウリ監督にインタビュー!

写真・角戸菜摘(S.S.ラージャマウリ監督) 文・尹秀姫 — 2018.5.18
2017年12月29日の公開から異例のロングランヒットとなったインド映画『バーフバリ 王の凱旋』。その勢いはとどまるところを知らず、声出し・鳴り物持ち込み可能な絶叫上映が全国各地で開催されては、チケットが瞬時に完売するという人気ぶりを見せています。

日本での熱狂ぶりはSNSを通して本国インドにも伝わり、登場人物のコスプレをした写真やファンアートの投稿に監督やプロデューサーから「いいね」がつくなど、海を超えた交流も盛んに。こうして日本でのバーフバリ熱は衰えるどころかますます勢いを増し、ついには今まで上映されていたものより26分長い『バーフバリ 王の凱旋<完全版>』(オリジナル・テルグ語版)が6月1日より全国公開されるに至ったのです。

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そして4月26日、創造神が日本に降臨! 新宿ピカデリーの絶叫上映にS.S.ラージャマウリ監督とプロデューサーのショーブ・ヤーララガッタ氏が登壇。この一連の奇跡としか言いようのない出来事の翌日、幸運にも単独インタビューをさせていただくことに。『バーフバリ』のアイディアの源から監督の次回作の構想まで、様々な話をうかがいました!

奇抜なアイディアも個性的なキャラクターも、まずはストーリーありき

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S.S.ラージャマウリ監督。

−−まずは『バーフバリ』という素晴らしい作品を作ってくださってありがとうございます!

監督 こちらこそありがとうございます(笑)。

−−昨日は初めて日本の絶叫上映をご覧になったと思うのですが、日本の観客の盛り上がり直に見てみて、いかがでしたか?

監督 映画の作り手、ストーリーの語り部として、私にも欲があります。ひとりでも多くの人に自分の話を楽しんでいただきたい、届いてほしいという想いがあったのですが、昨日はまさにそれを目の当たりにしました。私が作ったものに対する見返りというには十分すぎるほどのものをいただいたと感じています。昨日は私の家族、そしてプロデューサーであるショーブ・ヤーララガッタと彼の家族も同席していたのですが、みんな感動で涙目になっていました。ありがとうという言葉だけでは伝えきれない思いでいっぱいです。私が作ったものに比べて、みなさんが寄せてくれた愛情の大きさは比較にならないほど大きいと感じました。

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--『バーフバリ』はどのシーンにおいても素晴らしいアイディアが発揮され、しかもその物量が半端ないところが稀有な作品だと思います。こういった奇想天外なアイディアはどこから生まれるのでしょう?

監督 私のアイディアの源は幼い頃から読んできた『マハーバーラタ』です。なかでも、子どもの頃はアマル・チットラ・カター社から出版されている子ども向けのインド神話のコミックに夢中になっていました。『バーフバリ』のストーリーに関しては、こういったインドの神話や歴史が土台になっています。

--椰子の木を使って城壁を飛び越えるシーンは神話には出てこないと思うのですが、そういったアイディアはどうやって思いつくのですか?

監督 そうですね(笑)。それは各々のキャラクターの立場の視点で考えて、自然に生まれてきたものだと思います。椰子の木のシーンで言うと、父アマレンドラは幼い頃から王になるための教育を受けて育ちますが、シヴドゥは普通の村人として育ちますよね。父アマレンドラは非常に思慮深くて頭脳明晰な人なのですが、息子のシヴドゥはあまり後先を考えないタイプ(笑)。でも、素晴らしい行動力と身体能力を持っています。そしてあの場面でカッタッパはシヴドゥにこう告げます。「ただ感情に任せて動くのではなく、父のように頭を使いなさい」と。あの場面はまさに父親の頭脳的戦略と、シヴドゥの身体能力が融合されるシーンであり、シヴドゥが父アマレンドラのようになっていくということを示すのに必要なシーンだったのです。

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−−『バーフバリ』に登場する女性はみんな強くてカッコよく、観ていて爽快でした! 守られるだけでなく自ら戦う女性というのはまさに今の時代に求められているヒロイン像だと思うのですが、監督が描く女性はなぜみんな強いのでしょう?

監督 この作品の主人公は2人のバーフバリですが、バーフバリが立派な人になれたのは周りの人の影響や育ち方のおかげだと思うのです。たとえばアマレンドラにはシヴァガミという非常に優れた母親がいて、だからこそああいう人物になったと思うのですが、そう考えた時、そんな彼が選ぶ人生の伴侶も当然彼に見合った女性でなくてはいけないでしょう。

物語の中で当初、バーフバリはデーヴァセーナを捕虜として連れていかなくてはいけないことになりますが、そこでデーヴァセーナは彼にこう告げます。「私はあなたを愛しているから、あなたのために死ぬことはできる。でも、あなたのために生きることはしない」と。この台詞は彼女が強い主体性を持った人間だということを物語っています。そんな彼女だからこそバーフバリはひれ伏すわけです。

バーフバリにとってデーヴァセーナは敬意を持って接すべき相手であり、自分より人間として上だとも見ているわけですね。バーフバリは自分と同等、もしくは自分より上のレベルの女性でないと伴侶に選ばないだろうという、非常に理にかなった流れでデーヴァセーナのこういったキャラクターが決まりました。なので、最初から強い女性を描こうと考えて強いヒロインが誕生したわけではなく、ドラマとして成立するかどうかが重要でした。

−−デーヴァセーナに出会ったアマレンドラが「私はあなたのもの」と言う台詞が非常に印象的でした。彼女を自分のものにするのではなく、自分が彼女のものになるという考え方は目からウロコでした。

監督 本当の愛というものは男女問わず相手のために自分を犠牲にできること、自分よりも相手を優先できることだと思います。デーヴァセーナの場合はアマレンドラのために王宮での暮らしを捨てて村人のように生きることも厭わないわけですよね。ただ、彼女は自分の信念を曲げることはしません。そのことを強く打ち出しているのがこの台詞です。

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--次回作についてもおうかがいしたいのですが、監督の代表作といえば『バーフバリ』以前に『マッキー』がありますが、こちらの続編の予定はありますか?

監督 実は『マッキー』に関しては以前から続編の構想を考えているんですよ。後のストーリーが膨らませられる話なので、続編を作りたいという気持ちはずっとあります。うまくいけばシリーズ化したいという思いもあって、ここ半年くらいずっと考えていたんですけど、『バーフバリ』の成功のおかげでちょっと怠けてしまいまして(笑)。というのは冗談で、なかなかアイディアを練る時間を割くことができなくて、宙に浮いているというのが現状ですね。

--アーミル・カーンの『Mahabharata マハーバーラタ』を監督するという噂もありますが、これは本当ですか?

監督 たしかにアーミル・カーンからそのような話を依頼されたのは事実です。ただ、私にはもうすでに撮ることが決まっている作品があるので、まずはそちらを優先しなくてはいけないという状態なんです。ですが、アーミルの話も僕は断ったつもりはないので、可能性があるかないかで言ったら、今の段階ではあるとお答えしたいと思います。

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--『バーフバリ』以降、日本でもインド映画に出たいと熱望している俳優がいます。今後、日本の俳優を起用してみたいという考えはありますか?

監督 僕はストーリーありきですべてを考えるタイプなので、僕が作る作品に日本の俳優が出演する必然性があるかどうかが肝要ですね。個人的には『ラストサムライ』といった作品も好きなので、サムライ映画には興味があります(笑)。

--今後の作品で言うと、『バーフバリ』のスピンオフについても期待したいところです。昨日の舞台挨拶では日本でのカッタッパ、クマラ人気を実感し、この2人で続編を作ろうという話もありましたが、実際に実現する可能性はありますか? 個人的には『バーフバリ』の前日譚とも言うべきシヴァガミの少女期を描いた小説の映像化を期待しています。

監督 実は『バーフバリ』に登場するすべてのキャラクターについては、彼らの人生を映画に出てこないところまで詳細に考えてあるんですよ。映画にはおさまりきらないので、もちろん全部は反映していないのですが、時には省略してしまった部分のほうがおもしろいと思うキャラクターもいます。たとえば今おっしゃったシヴァガミの少女期を描いた『THE RISE OF SIVAGAMI』という小説もそのひとつです。『バーフバリ』には彼女の人生の3分の1程度しか描かれていませんが、この小説を、僕がプロデューサーという立場で映像化することが、実はすでに決まっています。日本のバーフバリ・ファンの方にもご覧いただけるような形で発表になるのではないかと思いますので、どうぞ期待していてください。

『バーフバリ』の世界はまだまだ終わらない! そんな強い希望が持てたところで、最後に監督からとんでもない話が飛び出しました。

監督 ひとつ、秘密を教えましょう。16歳の少女シヴァガミの野望は、マヒシュマティ王国を滅ぼすことだったのです。

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それはいったいどういう意味ですか、監督!? と問いただそうとしたところで、インタビュー時間は終了。最後に映画会社ツインの方も、前日から取材に帯同している通訳さんすらも驚くような話をうかがうことができました。監督の意味深発言は気になりますが、今後もまだまだ『バーフバリ』の世界が続くというのは、マヒシュマティの民にとっては朗報ですよね。でもその前に、まずは6月1日より全国公開の『バーフバリ 王の凱旋<完全版>』(オリジナル・テルグ語版)を盛り上げようではありませんか。
ジャイ、マヒシュマティ! バーフバリ、ジャイホー!

Information

バーフバリ

願いは叶う。待望の完全版、ついに公開! 2017年末の公開以来、異例のロングラン・ヒットを記録中の『バーフバリ 王の凱旋』141分のインターナショナル版から、さらに26分の初公開シーンを加えたオリジナル・テルグ語完全版(上映時間167分)が、ついに日本に上陸! ヒロイン・デーヴァセーナが歌い踊る「かわいいクリシュナ神よ」など、ファンなら見逃せないシーンが満載。完全版もお見逃しなく!

『バーフバリ 王の凱旋<完全版>』(オリジナル・テルグ語版)
6月1日より新宿ピカデリーほか、全国順次“熱狂”ロードショー

http://baahubali-movie.com/

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