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“I believe.”~私は信じる。~|12星座連載小説#144~魚座 最終話~

文・脇田尚揮 — 2017.8.22
12人の女性たちの生き方を、12星座になぞらえて紹介していくショートクロスストーリー『12星座 女たちの人生』。 キャリア、恋愛、不倫、育児……。男性とはまた異なる、色とりどりの生活の中で彼女たちは自己実現を果たしていく。 この物語を読み進めていく中で、自身の星座に与えられた“宿命”のようなものを感じられるのではないでしょうか。

【12星座 女たちの人生】第144話 ~魚座-最終話~


前回までのお話はコチラ

―――1年後……

入口のウェルカムボードを“CLOSE”から“OPEN”に変える。

鍵を開け、お店の照明をつけて、お気に入りのアロマを焚く。

照明の白い光が、天蓋の薄い布を通して、部屋全体に柔らかく降り注ぐ。

『今日も良い感じね……!』

天使と妖精の置物に、落ち着いたブラウンの刺繍入りカーテン。全部、私のチョイスだ。

自分のサロンがあるって、本当に素敵―――

ここ“angelic smile”を立ち上げたのは、3か月前。

電話占い鑑定で1年間コツコツ貯めたお金で、やっと持てた“自分の城”。あの時は本当に嬉しかったわ……!

ここなら、ただの占いじゃなくて、フラワーエッセンスも併せた、私だけの鑑定ができる―――

フラワーエッセンスは、私にピッタリの内容だった。

その時の“感情”に重点を置いて、時間をかけて緩やかに癒していくという手法が、何だかとても自然で好感触だった。「頑張って!」と、無理強いをするのが好きじゃないから。

最初は表面の感情から。それが癒されたら、今度はその下に隠れている、深い感情に働きかけていく。それを繰り返していくことで、だんだんと本来の自分へと近づくことができる。

学べば学ぶほど、のめり込んで……。こんなに真剣に勉強したのは、学生のとき以来だった。

安岡さんが紹介して下さった先生も、丁寧に分かりやすく教えてくれたし。

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フラワーエッセンスの講座を受講し終えた私は、早速自分の占い鑑定に取り入れてみたくなった。ただ、勤めている占いの館では、特別なものを使うのは禁止されていたの。

せっかく学んだのに活用できないなんて……って、しばらく落ち込んだわ。

でも、そこで私の旦那“てっちゃん”が、意外な提案をしてくれたのよね……。

「せっかく勉強したんだから、独立したら?」って。あの時は、“目が点”になった。

家のことをキチンとして欲しいんじゃなかったの? って聞いたら、

「自分のサロンを持って、完全予約制にすれば融通利くんじゃないか? それに……花が落ち込んでいるの見ると、こっちまで元気がなくなるからなぁ」

その言葉を聞いて、私、ますます惚れ直しちゃった! こんなに理解のある旦那サマ、他には絶対いないはずよ……。

ただし、条件が3つ。

・自分で貯めたお金で物件を借りること(てっちゃん名義だけど)。
・無理して予約を詰めないこと(家事をしろってことね)。
・家族が遊びに行っても良いこと(子供の面倒も見てってことかな)。

この3つを約束した。

てっちゃんらしいしっかりした条件。お陰で私も罪悪感なく決断できたし、電話鑑定も頑張ることができた。

不思議なもので、夢があると人は努力できるのよね―――

独立するまでは、どこか占い師としてのプロ意識が欠けていたかもしれない。職場の“館”に守られていて、さらには“主婦に戻る”という逃げ道も私にはあったから。

ふと、麗蘭先生のことを想う。

プロ意識を持ってこそ、占いの世界から一線を退いた先生。

あの時、私の意識が変わった……。

独立してやっていくのは、確かに大変なこと。でも、全てが自己責任で、自分のやったことがそのまま返ってくる。

それは、ちょっと怖いことだけど、とても刺激的。お客様ひとりひとりとの時間に、すごく意味を感じる。

あの時、麗蘭先生が私に声を掛けてくれた理由が、何となく分かりかけていた―――

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『今日は……3件ね。最初は13時から中田さんか。』

名刺とHPは自分の手作り。今では“アンジェリカ・華”というセラピスト名でやらせてもらっている。

幸いにも、すぐに良い物件が見つかり、お客様からの評判も上々。
占いだけじゃなく、フラワーエッセンスも取り入れた鑑定は人気だ。

毎日2、3件の予約を入れて、日曜日は休むようにしている。
土曜日の夜は、てっちゃんと夢叶、長輝が遊びにくるなんてことも。自分のペースでできている。幸せなことね。

夢叶も小学校に入ってから、あまりワガママを言わなくなってきた。
フラワーエッセンスのラベンダーが好きらしく、たまに背中にちょっとだけ塗ってあげたりする。

ちょっぴり“お姉さん”になったのは、そのせいもあるのかしら?

愛する家族がいて、大好きな仕事ができ、自分のサロンまで持っている。私にとって、最高の贅沢。

―――ピンポーン

チャイムが鳴る。

予約のお客様がくる時間だ―――

魚座の女の人生は、

“I believe.” ~私は信じる。~

自分の夢を想うこと。それは、誰にでも等しく与えられた“特権”のようなもの。

想像するのはどこまでも自由だから。

でも、いざ行動しようとすると、怯んでしまうこともある。

現実の厳しさ、理不尽さの中で自分の夢を叶えることは、簡単なことじゃない。

だけど、根拠なんてなくたっていい。ポジティブな気持ちを忘れず、信じて進んでいけば、根拠は後からついてくるもの。

人生は思い通りにいくことの方が少ない。でも振り返って見ると、きちんと結果は出ているものだ。

今、私は達成感でいっぱいです―――。

魚座の女の人生 ~Fin~


【これまでのお話一覧はコチラ♡】

【今回の主役】
和辻花子(フレイア華) 魚座33歳 占い師
既婚者であり、夫に和辻哲夫、子供に和辻長輝(9歳)と和辻夢叶(5歳)がいる。家庭と仕事の兼ね合いで悩みつつも、占い師としてそこそこの人気を得ている。しかし、あるお客の鑑定をきっかけに、占いの限界を感じて心理カウンセラーの資格を取ろうと考える。


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