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黙ってたら美人なのに「結婚できない女」|12星座連載小説#46~獅子座4話~

文・脇田尚揮 — 2017.3.29
12人の女性たちの生き方を、12星座になぞらえて紹介していくショートクロスストーリー『12星座 女たちの人生』。 キャリア、恋愛、不倫、育児……。男性とはまた異なる、色とりどりの生活の中で彼女たちは自己実現を果たしていく。 この物語を読み進めていく中で、自身の星座に与えられた“宿命”のようなものを感じられるのではないでしょうか。

【12星座 女たちの人生】第46話 ~獅子座-4~


前回までのお話はコチラ

今日もようやく1日が終わったわ……。

あの佐々木って子にペースを崩されそうになったけど、そこは私・黒木麻利子。何とか乗り切ったわ。

内藤様にも喜んでもらえたし、今日もなんだかんだで売上は上々。気持ちよく締めの作業ができるわ。

……ふ~ん、今日も売り上げトップは玲衣かぁ。私とはタイプが全く違うから、何とも言えないけど、あの“売ろうとしない感”が、逆にお客の購買意欲を掻き立てるのかしらね。不思議な子。勤務時間は私たちよりも少ないというのに、やるわね。

2時間前に帰宅した玲衣のタイムカードを見ながらしみじみする。

「社長、今日もお疲れ様でした! 先に上がらせていただきます!」

美夕だ。朝からこのテンションをキープできるこの子もなかなかのもの。うちは人員こそ少ないけど……、少数精鋭ってところね。

『はいよ~お疲れ! また明日もよろしくね』

クロージング作業をしながら、美夕に手を振る。

『は~、今日も終わった~』

「お疲れ、麻利子」

尾田ちゃんが、後ろからポンと肩を叩く。私たち二人きりの時は、社長と支配人という関係ではなく、仲の良いパートナーという関係に戻ってタメ口になる。

「……何、あなた婚活してるの?」

ニヤリと尾田ちゃん。

……ドッキーン!

『尾田ちゃんよぉ、あのね、これには深いワケがあんのよ』

「まぁまぁ、別に恥ずかしいことじゃないじゃない。“アリアンロッド”の女社長が、まるで男っ気ないっていうのも、何だか締まらないしさ。……で、良い人いたの?」

コイツは昔から、“誘導尋問”するのが上手い。自分のことはあんまり語らないクセにさ!

『いや、まぁ前回はいなかった……かな』

「前回は?」

マズい……。結構通っているのがバレたか! なんでこう、尾田は人の弱みを握るのが上手いのか。

昔からこうだ。この感じになったら、“開き直る”しかないのよね。

『あ~、もう! 知ってるでしょうが! 私は苦手なんだよ、恋愛がさぁ』

「知ってる」

『だから、婚活パーティーに行ってるってだけの話よ』

なんだこれ、拷問か!?

「で、どうなの?」

『いや……さ、金持ちの男ばっか集まるパーティーって聞いたから、どんな奴が来るんだろうと思って覗いてみたら、酷いもんよ』

――それから私は、ベタベタ触ってくる医者の手を思い切りつねったこと、下ネタばかり連発してくる弁護士に酒をガンガン飲ませて酔い潰したこと、そして、ウンチクばかり垂れてくる大学の教授だかを口で言い負かしたことなんかを暴露した。

「……麻利子、あなた本気で男見つける気あるの?」

尾田ちゃんが、呆れたような目で私を見つめてくる。やめてくれ。自分でも分かってるよ。

調子に乗ってる男を見ると、つい、鼻っ柱をへし折りたくなっちゃうんだよ。

「あなたさ、黙ってたら美人なんだから、もう少し、慎み深く振る舞いなさいよ。損するよ?」

『分かってるよ! そういうアンタはどうなのよ?』

「私? 私は上手くやるわよ。そんなに高望みもしてないし。そこそこ経済力があって、私に理解あるフツメンで十分だもの。今の彼もこれといって、凄いところはないけど、優しくて付き合いやすいし」

『え~! アンタ男いたの!?』

ビビった。最後に尾田ちゃんから男の話を聞いたのは、もう2年くらい前。いつできたのよ!

「うん。昨年、友達の紹介で付き合い始めた」

『おお……ぉ』

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「結局さ、麻利子。男って普通が一番なんじゃないかな。金とか地位とかさ、何か秀でたところがある男って、その分どこか欠落した面があるものなのよ。でも、本人は自信満々だから、女に対して強く出る」

……何か、尾田っちは大人だ。もっともなことを言ってる気がする。

「でね、そんなやつに限って女にコンプレックス持ってて、実は卑屈だったりするのよ。その点、普通の男って素直で、アクがなくてさ……平和だよ。」

『うん…まあ分からんでもないよ。でもさ、私はフツーの男って、何かモノ足んないのよね』

「そんなんだと、いつまでも良い人掴まえられないよ、麻利子は」

――カチーン

『分かってるわよ! それくらい!』

「あっ、ゴメン……言いすぎた。」

正論は時として、胸をえぐるものね……。

分かってる。分かってんだけどさ……できないから悩んでんじゃん。

「それじゃあ、また明日ね」

『うん、じゃまた』

それから私たちは気まずい空気のまま店を閉め、それぞれの帰路に着いた。

あ~もう! モヤモヤする! こういうのが私は一番ヤなのよね! 早く帰ってビールでも飲も!

――ガタンゴトン、ガタンゴトン

帰宅する電車の中で、今週末開かれる“ロイヤル・ヴェイル”に参加予約をする。私だって寂しいもんは寂しいのよ。でも、男とどう付き合ったら良いか分かんないの。

なまじ女社長なんてやってるから、恋の仕方が見えなくなっちゃうのかもね……。

でも! だからと言って、諦めるのは私の性分に合わない。

前に進むだけよ!

スマホをポケットに入れて、電車を降りた。



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【今回の主役】
黒木真利子 獅子座31歳 経営者
女性向け下着ブランド『アリアンロッド』の経営者。プライドが高く、自分の力で今の会社を立ち上げ軌道に乗せたことに誇りを持っている。しかし、恋愛はあまり得意でなく、強気な性格ゆえに男性との関わり方について悩んでいる。顧問税理士の茂木篤史は心を許せる存在。

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